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3日後にサファイア国への出立が決まった。
仮にも一国の姫がよその国へ旅立つというのに3日で準備を整えるのはあまりに異例だった。
それでもその3日間はオリビアにとって今までの生活とは比べものにならないほど恵まれていた。
3日間だけとはいえ塔ではなく王宮の部屋を与えられ、まともな食事をとり、お風呂に入り、ベッドで休むことができた。
なにより義母による虐待がない。
幼い頃には当たり前のことだったこれらが、今のオリビアに束の間の安息を与えた。
いよいよ明日サファイア国へ出立する。
しかし不安も恐怖もなかった。
死んだらきっと優しい母が迎えに来てくれる。
死ぬまで義母からの虐待もない。
幸せだとすら思った。
ただ、母のあの約束を守れないことだけが心苦しかったが。
そういえば母が言っていた「彼」って誰だったんだろう。
私を幸せにしてくれる人。
会ってみたかったな。
きっと素敵な人だったんだろうなぁ。
死んでお母さんに会えたら聞いてみよう。
お母さん、早く会いたい。
わずかに残る母の記憶をかき集め、オリビアは眠りについた。
翌日オリビアは朝早く出立した。
オリビアのために用意された荷物は本当にわずかなものだった。
すぐ死ぬのだからと衣類さえも惜しまれたのだ。
外は朝日が差し始め、オリビアは馬車の窓からその景色を見た。
城の外に出るのは初めてだった。
それがまさかこんな形で出ることになるとは。
「さようなら」
この城も、この国も、この世にさえも未練はない。
きっとこの世界だって、私に未練などない。
半日ほど馬車に揺られ、サファイア国へ到着した。
「ようこそお越しくださいました。陛下がお待ちでございます」
若い男に促され、オリビアはすぐにサファイア国の王の間へ通された。
アリスと違う人物が嫁に来て、この場ですぐ殺されてしまうかもしれない。
死ぬことに恐怖はなかったが、殺される瞬間を思うとやはり怖かった。
できれば苦しまずに死なせてほしい。
ぎゅっとドレスを握りしめ、震えそうになるのをこらえた。
恐怖で顔をあげられない。
サファイア国の王に挨拶しないといけないのに。
すると玉座に座っていたサファイア国の王が立ち上がり、こちらに近づいてくるのを感じた。
あぁ、どうしよう。
「エメラルド国の姫よ」
男の人の声。
俯く視界に高級そうな靴が映る。
顔をあげて、名前を……。
「あー……緊張してる?ってそりゃそうか。大丈夫、ゆっくり顔をあげて」
くだけた口調で王は言った。
驚き、おそるおそる顔をあげる。
初めて見るその人は困ったように笑った。
黒い髪に、宝石のように綺麗な青い瞳。
とても美しい人だった。
「よく来てくれたね、オリビア」
仮にも一国の姫がよその国へ旅立つというのに3日で準備を整えるのはあまりに異例だった。
それでもその3日間はオリビアにとって今までの生活とは比べものにならないほど恵まれていた。
3日間だけとはいえ塔ではなく王宮の部屋を与えられ、まともな食事をとり、お風呂に入り、ベッドで休むことができた。
なにより義母による虐待がない。
幼い頃には当たり前のことだったこれらが、今のオリビアに束の間の安息を与えた。
いよいよ明日サファイア国へ出立する。
しかし不安も恐怖もなかった。
死んだらきっと優しい母が迎えに来てくれる。
死ぬまで義母からの虐待もない。
幸せだとすら思った。
ただ、母のあの約束を守れないことだけが心苦しかったが。
そういえば母が言っていた「彼」って誰だったんだろう。
私を幸せにしてくれる人。
会ってみたかったな。
きっと素敵な人だったんだろうなぁ。
死んでお母さんに会えたら聞いてみよう。
お母さん、早く会いたい。
わずかに残る母の記憶をかき集め、オリビアは眠りについた。
翌日オリビアは朝早く出立した。
オリビアのために用意された荷物は本当にわずかなものだった。
すぐ死ぬのだからと衣類さえも惜しまれたのだ。
外は朝日が差し始め、オリビアは馬車の窓からその景色を見た。
城の外に出るのは初めてだった。
それがまさかこんな形で出ることになるとは。
「さようなら」
この城も、この国も、この世にさえも未練はない。
きっとこの世界だって、私に未練などない。
半日ほど馬車に揺られ、サファイア国へ到着した。
「ようこそお越しくださいました。陛下がお待ちでございます」
若い男に促され、オリビアはすぐにサファイア国の王の間へ通された。
アリスと違う人物が嫁に来て、この場ですぐ殺されてしまうかもしれない。
死ぬことに恐怖はなかったが、殺される瞬間を思うとやはり怖かった。
できれば苦しまずに死なせてほしい。
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あぁ、どうしよう。
「エメラルド国の姫よ」
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俯く視界に高級そうな靴が映る。
顔をあげて、名前を……。
「あー……緊張してる?ってそりゃそうか。大丈夫、ゆっくり顔をあげて」
くだけた口調で王は言った。
驚き、おそるおそる顔をあげる。
初めて見るその人は困ったように笑った。
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とても美しい人だった。
「よく来てくれたね、オリビア」
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