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「国王陛下、何故このような場所に……」
「うむ、我が息子が卒業する晴れの舞台だ。一保護者としてそれほど驚くことでもないだろう?」
確かにここには卒業者たちの保護者も集まっている。
しかし、国の最高権力者はまた話が違うだろう。
現に周りの貴族たちも驚き、ざわざわと騒いでいる。
その中で、リカ王子とアンナだけは驚く様子もなく平然としていた。
それがまた新たな不安を煽る。
「時に、アイシラ嬢」
「はい……」
「なにやらせっかくのおめでたいパーティが険悪な雰囲気のように感じるが、いかがしたかな?」
「それは……」
すかさずリカ王子が前で出た。
「父上!アイシラは罪深い女です!このいたいけなアンナを毒で殺そうとしたのです!」
「それは、なんと。事実かな、アイシラ嬢」
事実、か?
まさか国王陛下まで、この被害さえ起きていない罪を疑おうというのか。
「事実のはずがございません。そもそもそのような事態さえ起こっていないのです!」
「何を言うか!この期に及んで苦しい言い訳をしやがって!」
「信じてください、国王陛下!」
国王陛下は顎の髭を撫でながら何やら考える素振りを見せた。
しばらくして、
「しかしのぉ、アイシラ嬢。現にわしの耳にも入ってきておるのだ」
「え……」
「常日頃からアンナ嬢に対してひどい仕打ちをしているとな」
「そんなはずはっ……」
何故やってもいないことが国王陛下の耳に?
私が気付いていないだけでそう思わせるようなことをアンナにしていた?
知らず知らずのうちにアンナにも周りもそんな風に思わせることをしていた?
そんなはずは……。
確かに貴族としての意識が足りないように見えたアンナに幾度か注意をしてきたことはあったけど、暴言や暴力なんて……。
「アイシラ嬢は我が息子の婚約者であるが、自分よりも立場が下の者にそのような仕打ちをするような女性は未来の国母にふさわしいだろうか」
「してない……断じて、そのようなことはしておりません!」
しっかりしなさい!
弱気になってどうするの!
悔しさに、悲しさに身を任せてはだめ。
「なぁ、アイシラ嬢。火のない所に煙は立たないという言葉を知っておるか?」
その言葉に絶望した。
あぁ、国王陛下は本当に私がそんな非道なことをしたとお思いなのだ。
私がアンナにひどい仕打ちをしていた噂を知っていると国王陛下は言った。
そして、国王陛下がこの場に姿を見せても全く驚かなかったリカ王子とアンナ。
きっと全てが仕組まれていたこと。
この国では有名なことだ。
国王陛下ができの悪い息子をこよなく溺愛している、と。
愛息子が、婚約者はアンナがいいと言えば、国王陛下はそれを叶えようとするのだろう。
その口実として私に無実の罪を着せてでも……。
王子の婚約者として厳しいお妃修行も、国のことをより深く知るための勉学も頑張ってきたのに。
こんなあっさり……。
このまま無実の罪を着せられれば、牢獄行きとなってしまう。
牢獄?
なんにもしていないのに?
そっと顔を上に向け、豪華で煌びやかなシャンデリアを見つめた。
だめ。心を無にして。
悲しいなんて、思っちゃだめ。
あぁ、でもやっぱり理不尽すぎる。
ひどい……。
つらいなぁ……。
ぐっと目に力を入れる。
泣いちゃだめ。
泣いちゃ……。
つらい……。
助けて……。
「うむ、我が息子が卒業する晴れの舞台だ。一保護者としてそれほど驚くことでもないだろう?」
確かにここには卒業者たちの保護者も集まっている。
しかし、国の最高権力者はまた話が違うだろう。
現に周りの貴族たちも驚き、ざわざわと騒いでいる。
その中で、リカ王子とアンナだけは驚く様子もなく平然としていた。
それがまた新たな不安を煽る。
「時に、アイシラ嬢」
「はい……」
「なにやらせっかくのおめでたいパーティが険悪な雰囲気のように感じるが、いかがしたかな?」
「それは……」
すかさずリカ王子が前で出た。
「父上!アイシラは罪深い女です!このいたいけなアンナを毒で殺そうとしたのです!」
「それは、なんと。事実かな、アイシラ嬢」
事実、か?
まさか国王陛下まで、この被害さえ起きていない罪を疑おうというのか。
「事実のはずがございません。そもそもそのような事態さえ起こっていないのです!」
「何を言うか!この期に及んで苦しい言い訳をしやがって!」
「信じてください、国王陛下!」
国王陛下は顎の髭を撫でながら何やら考える素振りを見せた。
しばらくして、
「しかしのぉ、アイシラ嬢。現にわしの耳にも入ってきておるのだ」
「え……」
「常日頃からアンナ嬢に対してひどい仕打ちをしているとな」
「そんなはずはっ……」
何故やってもいないことが国王陛下の耳に?
私が気付いていないだけでそう思わせるようなことをアンナにしていた?
知らず知らずのうちにアンナにも周りもそんな風に思わせることをしていた?
そんなはずは……。
確かに貴族としての意識が足りないように見えたアンナに幾度か注意をしてきたことはあったけど、暴言や暴力なんて……。
「アイシラ嬢は我が息子の婚約者であるが、自分よりも立場が下の者にそのような仕打ちをするような女性は未来の国母にふさわしいだろうか」
「してない……断じて、そのようなことはしておりません!」
しっかりしなさい!
弱気になってどうするの!
悔しさに、悲しさに身を任せてはだめ。
「なぁ、アイシラ嬢。火のない所に煙は立たないという言葉を知っておるか?」
その言葉に絶望した。
あぁ、国王陛下は本当に私がそんな非道なことをしたとお思いなのだ。
私がアンナにひどい仕打ちをしていた噂を知っていると国王陛下は言った。
そして、国王陛下がこの場に姿を見せても全く驚かなかったリカ王子とアンナ。
きっと全てが仕組まれていたこと。
この国では有名なことだ。
国王陛下ができの悪い息子をこよなく溺愛している、と。
愛息子が、婚約者はアンナがいいと言えば、国王陛下はそれを叶えようとするのだろう。
その口実として私に無実の罪を着せてでも……。
王子の婚約者として厳しいお妃修行も、国のことをより深く知るための勉学も頑張ってきたのに。
こんなあっさり……。
このまま無実の罪を着せられれば、牢獄行きとなってしまう。
牢獄?
なんにもしていないのに?
そっと顔を上に向け、豪華で煌びやかなシャンデリアを見つめた。
だめ。心を無にして。
悲しいなんて、思っちゃだめ。
あぁ、でもやっぱり理不尽すぎる。
ひどい……。
つらいなぁ……。
ぐっと目に力を入れる。
泣いちゃだめ。
泣いちゃ……。
つらい……。
助けて……。
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