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賢くて優しい
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≪ラビットヒュームとワーウルフの村≫
翔はラビットヒュームとワーウルフの食糧を観察した。
「お前達の食事は効率が悪い」
翔は今まで誰も気付かなかった事を指摘する。
「こうりつ……ですか?」
ラビットヒュームの村長が問う。
「そうだ。お前達は生の肉をそのまま食べるだけだ」
「……?」
ラビットヒュームもワーウルフも翔の言葉を理解できない。
「なんだいなんだい!みんな物分かりが悪いね!」
ユリアは嬉しそうに声を上げる。
「なんですかっ!ユリアさんには分かったっていうんですかっ!?」
マリーはムッとして問い詰める。
「ああ~勿論さ!アタイはショウ様の言わんとするところが分かっちまったんだね~これが。なんてったって、アタイとショウ様は心が通じ合ってるからね~」
ユリアは得気に語る。
そして翔の腕に抱きつく。
ユリアの豊満な胸が翔の腕に押し付けられる。
その様子にマリーは更にムッとして翔のもう片方の腕に抱きつく。
「マリーの方がショウ様と心が通じ合ってますっ!」
マリーは負けじと爆乳を押し付ける。
「何言ってんだい!アタイの方がショウ様と心が通じ合ってるに決まってんだろ!一騎打ちまでしたんだ!アンタはショウ様と一体なにをしたって言うんだ~い?」
「マリーはショウ様に抱っこされましたっ!」
「だだだだっこ?ずるいよ!ショウ様!アタイも抱っこしておくれ!」
狼娘と兎娘の争いを止めたのは、やはり翔だった。
「それで、ユリアは俺の言わんとすることを察知したんだろう?」
「そうさ~ショウ様!聞いておくれ!」
「言ってみろ」
「それはね!食べる前にみんなでダンスを踊るのさ!そうすればもっと食事が楽しくなるだろう?」
ユリアは得意げに語る。
「うぐぐ、名案です」
マリーは悔しそうにしながらも自分と翔が手をつなぎ踊る場面を想像していた。
「いや、違うが」
翔はユリアの回答が間違っていると指摘する。
「ええっ?違うのかい?」
「ぷくく、ザマァです」
マリーは笑う。それでも翔と手をつなぎ踊るのはしてみたいと思った。
「いいか、よく聞け。生のままで食すだけでは消費期限が短くなる」
「しょ、しょうひきげん?」
翔の言葉にラビットヒュームとワーウルフは首を傾げる。
「食べられる期間、ということだ。放っておけば、肉は腐るだろう?」
「で、ですがショウ様、一度にすべて食べつくしてしまえば良いのでは?」
ラビットヒュームの村長が疑問を口にした。
「それでは動物や魚が見つからない時に困るだろう?だから、見つけられた時に捕獲して、長く保存できるようにすればいい」
「そ、そのようなことが可能なんですか?」
「ああ、容易いことだ。空腹を感じてから食糧を探しに行くよりも、あらかじめ食料を捕獲する時間を決めておいて、空腹になったら蓄えておいた食糧を口にすれば良い」
「な、なるほど」
「おおー」
村長や他のラビットヒュームやワーウルフは翔の提案に驚嘆する。
「そのような考えがあったとは、しかし、いったいどのようにすればそんな夢のようなことが出来るのですか?」
「案ずるな、すでに考えてある」
翔は勇者としての強さ、精神だけではなく、賢者さながらの知恵を兼ね備えていた。
「まず、この肉。これをそのまま食べるのでは無く、加熱する。そうすれば鮮度の落ちた肉でも安全性が増す」
「か、かねつ?」
「火を使って、温めるという事だ」
「しかしショウ様、我々の中に魔法使いはおりませんぞ」
「心配無用。それもすでに代案を考えてある」
翔は木の板を置き、木の枝を持つ。
「い、いったいショウ様はなにをなさるおつもりなのか???」
翔は木の板に木の枝を擦り始める。
「ショウ様はいったいなにをなさっておられるのだ???」
群衆は翔の行為を理解出来ずにいた。
「ん?」
「どうした?」
「なにか匂わないか?」
嗅覚の鋭いワーウルフが気付き始める。
「まるで火がなにかを燃やすような臭いが」
「ま、まさか、ショウ様?」
翔の動かす木の枝が、木の板との摩擦により燃焼を始めていた。
「そ、そんな、ショウ様は魔法使いでもあらせられたのか!?」
皆は翔の偉業に驚くばかりだった。
「これは魔法では無い。自然の摂理だ」
「し、しぜんのせつり?」
「特定の誰かでは無く、誰でも手順を踏めば、出来るってことさ」
「そ、そのようなことが?」
「ああ」
「うおおおおおお」
翔の言葉に皆は狂喜乱舞した。
「しかしショウ様、火で焼いては、肉が消し炭になってしまうのでは??」
村長が疑問を口にする。
「ちょうどよく焼けば良いんだ」
「ちょ、ちょうどよく焼く??」
「論より証拠。百聞は一見に如かず、だ。肉を持ってこい。焼いてやる」
皆は翔の言葉にざわめく。
皆が固唾を飲み見守る中、翔は肉を焼き始める。
「よっ、こんなものかな」
翔は腐りかけていた肉を手際よく焼いた。
「食べてみろ」
翔は肉を差し出す。
「い、いやしかし」
村長は焼かれた肉に戸惑う。
「いくらショウ様が言うからって、なあ?」
「たしかに炭にはなっていないが。。。」
皆は肉を焼くと言う行為、そして焼かれた肉に困惑していた。
「マリーが食べても良いですか?」
「アタイも食べたいよ」
マリーとユリアは率先して焼かれた肉を食べる事を望んだ。
マリーとユリアは翔に絶対的信頼を置いているのだ。
皆が固唾を飲み見守る中、マリーとユリアが焼かれた肉を口にする。
「お、おいしいですっ!そのまま食べるよりも、ずっとずっとおいしいですっ!」
「ああ、こりゃあウマい!腐りかけの嫌な臭いも全然しないよ!」
マリーとユリアは顔をほころばせる。
「ほ、ほんとうかな」
「そ、そんなにうまいのか」
「おれ、食べてみようかな」
「お、おれも」
皆がショウの所へ殺到し、焼いた肉を食べ始める。
「う、うまい!」
「なんだこれ!こんなにうまいものがあったのか!」
皆も焼いた肉の美味さを実感する。
「わ、わしにも食べさせてくれい」
村長が叫ぶ。
「なんだよ、村長はショウ様にすすめられた時、断ったじゃねえかよ」
「そうだそうだ!」
皆が村長を責める。
「そ、そうじゃな、さすがに少し虫が良すぎたわい」
村長は肩を落とす。
「村長」
翔は村長を呼び止める。
「ほら、食べろよ」
翔は村長に焼けた肉を差し出す。
「シ、ショウ様」
村長は翔の寛大さに感動していた。
「まったく、ショウ様にはかなわないね」
ユリアが感心する。
「ですね!」
マリーも同意する。
皆は笑いながら焼いた肉を食べた。
そして誰もが翔の偉大さを思い知った。
戦士としての圧倒的強さ。
勇者としての勇気。
戦略家としての状況判断。
指導者としての決断力。
賢者としての圧倒的知性。
そして世界をも包み込む寛大な心。
皆は満腹になった。
それでも肉が余った。
「これでこの肉が腐っても、食べることができるな」
「ああ」
皆は肉が腐るという恐怖から解放されたと思った。
「まだだ」
翔が鋭く指摘した。
「シ、ショウ様?」
翔の発言に皆は驚く。
「まだ最善では無い」
「さ、さいぜんではない???」
「これよりも良い状態が有ると言う事だ」
「こ、これよりも、ですか??」
「そうだ」
「そ、それはいったい、どのようにして???」
皆は困惑している。
「塩だ」
「し、しおですか???」
「そうだ」
誰も翔の言葉を理解出来なかった。
「し、しかしショウ様、塩というのはしょっぱすぎて、とても食べられたものではありませんが。。。」
「それは塩だけで食べるからだ」
「し、しおだけでたべる???」
皆には翔の指摘が理解出来なかった。
「塩を肉に振りかけて食べるんだ」
「し、しおをにくにふりかけてたべる???」
翔は焼いた肉に塩を振りかける。
「食べてみろ」
翔は塩で味付けした肉を差し出す。
「い、いやしかし」
村長は塩を振りかけた肉に戸惑う。
「いくらショウ様が言うからって、なあ?」
「たしかに焼いた肉はウマかったが」
皆は肉に塩を振りかけるという行為に困惑していた。
「マリーが食べても良いですか?」
「アタイも食べたいよ」
マリーとユリアは率先して塩で味付けした肉を食べる事を望んだ。
マリーとユリアは翔に絶対的信頼を置いているのだ。
皆が固唾を飲み見守る中、マリーとユリアが塩で味付けした肉を口にする。
「お、おいしいですっ!焼いたまま食べるよりも、ずっとずっとおいしいですっ!」
「ああ、こりゃあウマい!肉の脂と塩が調和して見事な味わいだよ!」
マリーとユリアは顔をほころばせる。
「ほ、ほんとうかな」
「そ、そんなにうまいのか」
「おれ、食べてみようかな」
「お、おれも」
皆がショウの所へ殺到し、塩で味付けした肉を食べ始める。
「う、うまい!」
「なんだこれ!こんなにうまいものがあったのか!」
皆も塩で味付けした肉の美味さを実感する。
「わ、わしにも食べさせてくれい」
村長が叫ぶ。
「なんだよ、村長はショウ様にすすめられた時、断ったじゃねえかよ」
「そうだそうだ!」
皆が村長を責める。
「そ、そうじゃな、さすがに少し虫が良すぎたわい」
村長は肩を落とす。
「村長」
翔は村長を呼び止める。
「ほら、食べろよ」
翔は村長に塩で味付けした肉を差し出す。
「シ、ショウ様」
村長は翔の寛大さに感動していた。
「まったく、ショウ様にはかなわないね」
ユリアが感心する。
「ですね!」
マリーも同意する。
皆は笑いながら塩で味付けした肉を食べた。
そして誰もが翔の偉大さを思い知った。
戦士としての圧倒的強さ。
勇者としての勇気。
戦略家としての状況判断。
指導者としての決断力。
賢者としての圧倒的知性。
そして世界をも包み込む寛大な心。
皆は満腹になった。
それでも肉が余った。
「余った肉は塩漬けと干し肉にするぞ」
「し、しおづけとほしにく???」
皆は翔の提案を理解出来なかった。
「そうだ。肉全体に塩を塗したり肉を干す事で、さらに長期間、肉の保存が可能になるというわけだ」
「そ、そのような事が本当に???」
「まあ、これは今すぐ味わえる訳では無いからな。その時が来ての、お楽しみという訳だ」
翔の湧き上がる叡智に皆は驚嘆してばかりだった。
戦闘以外でも皆を超越した事を難無く成し遂げてしまう。
これもまた一つのショウ・タイム(翔の時間)だった。
翔はあくびをする。
異世界に現れて一日で成し遂げた英雄としての軍事的偉業。
そして指導者としての政治的偉業。
それらは翔にとって難しくも何とも無い容易な事だった。
自然体からなされる翔のあくびがそれを物語っている。
「そろそろ日も暮れた。寝るとするか」
「ショウ様!マリーと一緒に寝てください!」
「ずるいよ!ショウ様、アタイと寝ておくんな!」
翔とマリーとユリアは三人で寝転がる。
勿論、最初は翔が一人で寝ているだけだったが、マリーとユリアが忍び込んで翔に寄り添って寝ているのだ。
「うー。ショウ様だいすきです」
マリーは赤く大きな目をクリクリと輝かせる。
白いウサギの耳をピョコピョコさせながら、白く大きな胸を翔に押し当てる。
「ショウ様、アタイの方がもっともっとショウ様の事を愛しているよ。愛しているし尊敬してる。信頼している。ユリアはショウ様の命ずることなら何だってします。
だからユリアがショウ様のそばにいる事をお許しください」
ユリアは青く鋭い目をウットリとさせる。
茶色い狼の耳と尻尾をフリフリさせながら大きな胸を翔に押し当てる。
「マリーだって、ショウ様の命令なら何だってします!マリーの方がショウ様の事を愛してるし尊敬してるし信頼してます!だからマリーをショウ様のとなりにいさせてください」
「なに言ってるんだい、アタイの方が!」
「うるさい。寝ろ」
マリーとユリアの言い争いを止めたのは、やはり翔だった。
上を向いて寝転がる翔の右腕にはマリーが胸を押し当てて抱きつき、左腕にはユリアが胸を押し当てて抱きつく。
敵対関係に有ったワーウルフとラビットヒューム。
そのマリーとユリアが仲良く言い争う。
この様な光景は有史以来初めてだった。
これもまた、ショウ・タイム(翔の時間)である。
皆はかつてない幸福の中で眠りについた。
翔はラビットヒュームとワーウルフの食糧を観察した。
「お前達の食事は効率が悪い」
翔は今まで誰も気付かなかった事を指摘する。
「こうりつ……ですか?」
ラビットヒュームの村長が問う。
「そうだ。お前達は生の肉をそのまま食べるだけだ」
「……?」
ラビットヒュームもワーウルフも翔の言葉を理解できない。
「なんだいなんだい!みんな物分かりが悪いね!」
ユリアは嬉しそうに声を上げる。
「なんですかっ!ユリアさんには分かったっていうんですかっ!?」
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その様子にマリーは更にムッとして翔のもう片方の腕に抱きつく。
「マリーの方がショウ様と心が通じ合ってますっ!」
マリーは負けじと爆乳を押し付ける。
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「マリーはショウ様に抱っこされましたっ!」
「だだだだっこ?ずるいよ!ショウ様!アタイも抱っこしておくれ!」
狼娘と兎娘の争いを止めたのは、やはり翔だった。
「それで、ユリアは俺の言わんとすることを察知したんだろう?」
「そうさ~ショウ様!聞いておくれ!」
「言ってみろ」
「それはね!食べる前にみんなでダンスを踊るのさ!そうすればもっと食事が楽しくなるだろう?」
ユリアは得意げに語る。
「うぐぐ、名案です」
マリーは悔しそうにしながらも自分と翔が手をつなぎ踊る場面を想像していた。
「いや、違うが」
翔はユリアの回答が間違っていると指摘する。
「ええっ?違うのかい?」
「ぷくく、ザマァです」
マリーは笑う。それでも翔と手をつなぎ踊るのはしてみたいと思った。
「いいか、よく聞け。生のままで食すだけでは消費期限が短くなる」
「しょ、しょうひきげん?」
翔の言葉にラビットヒュームとワーウルフは首を傾げる。
「食べられる期間、ということだ。放っておけば、肉は腐るだろう?」
「で、ですがショウ様、一度にすべて食べつくしてしまえば良いのでは?」
ラビットヒュームの村長が疑問を口にした。
「それでは動物や魚が見つからない時に困るだろう?だから、見つけられた時に捕獲して、長く保存できるようにすればいい」
「そ、そのようなことが可能なんですか?」
「ああ、容易いことだ。空腹を感じてから食糧を探しに行くよりも、あらかじめ食料を捕獲する時間を決めておいて、空腹になったら蓄えておいた食糧を口にすれば良い」
「な、なるほど」
「おおー」
村長や他のラビットヒュームやワーウルフは翔の提案に驚嘆する。
「そのような考えがあったとは、しかし、いったいどのようにすればそんな夢のようなことが出来るのですか?」
「案ずるな、すでに考えてある」
翔は勇者としての強さ、精神だけではなく、賢者さながらの知恵を兼ね備えていた。
「まず、この肉。これをそのまま食べるのでは無く、加熱する。そうすれば鮮度の落ちた肉でも安全性が増す」
「か、かねつ?」
「火を使って、温めるという事だ」
「しかしショウ様、我々の中に魔法使いはおりませんぞ」
「心配無用。それもすでに代案を考えてある」
翔は木の板を置き、木の枝を持つ。
「い、いったいショウ様はなにをなさるおつもりなのか???」
翔は木の板に木の枝を擦り始める。
「ショウ様はいったいなにをなさっておられるのだ???」
群衆は翔の行為を理解出来ずにいた。
「ん?」
「どうした?」
「なにか匂わないか?」
嗅覚の鋭いワーウルフが気付き始める。
「まるで火がなにかを燃やすような臭いが」
「ま、まさか、ショウ様?」
翔の動かす木の枝が、木の板との摩擦により燃焼を始めていた。
「そ、そんな、ショウ様は魔法使いでもあらせられたのか!?」
皆は翔の偉業に驚くばかりだった。
「これは魔法では無い。自然の摂理だ」
「し、しぜんのせつり?」
「特定の誰かでは無く、誰でも手順を踏めば、出来るってことさ」
「そ、そのようなことが?」
「ああ」
「うおおおおおお」
翔の言葉に皆は狂喜乱舞した。
「しかしショウ様、火で焼いては、肉が消し炭になってしまうのでは??」
村長が疑問を口にする。
「ちょうどよく焼けば良いんだ」
「ちょ、ちょうどよく焼く??」
「論より証拠。百聞は一見に如かず、だ。肉を持ってこい。焼いてやる」
皆は翔の言葉にざわめく。
皆が固唾を飲み見守る中、翔は肉を焼き始める。
「よっ、こんなものかな」
翔は腐りかけていた肉を手際よく焼いた。
「食べてみろ」
翔は肉を差し出す。
「い、いやしかし」
村長は焼かれた肉に戸惑う。
「いくらショウ様が言うからって、なあ?」
「たしかに炭にはなっていないが。。。」
皆は肉を焼くと言う行為、そして焼かれた肉に困惑していた。
「マリーが食べても良いですか?」
「アタイも食べたいよ」
マリーとユリアは率先して焼かれた肉を食べる事を望んだ。
マリーとユリアは翔に絶対的信頼を置いているのだ。
皆が固唾を飲み見守る中、マリーとユリアが焼かれた肉を口にする。
「お、おいしいですっ!そのまま食べるよりも、ずっとずっとおいしいですっ!」
「ああ、こりゃあウマい!腐りかけの嫌な臭いも全然しないよ!」
マリーとユリアは顔をほころばせる。
「ほ、ほんとうかな」
「そ、そんなにうまいのか」
「おれ、食べてみようかな」
「お、おれも」
皆がショウの所へ殺到し、焼いた肉を食べ始める。
「う、うまい!」
「なんだこれ!こんなにうまいものがあったのか!」
皆も焼いた肉の美味さを実感する。
「わ、わしにも食べさせてくれい」
村長が叫ぶ。
「なんだよ、村長はショウ様にすすめられた時、断ったじゃねえかよ」
「そうだそうだ!」
皆が村長を責める。
「そ、そうじゃな、さすがに少し虫が良すぎたわい」
村長は肩を落とす。
「村長」
翔は村長を呼び止める。
「ほら、食べろよ」
翔は村長に焼けた肉を差し出す。
「シ、ショウ様」
村長は翔の寛大さに感動していた。
「まったく、ショウ様にはかなわないね」
ユリアが感心する。
「ですね!」
マリーも同意する。
皆は笑いながら焼いた肉を食べた。
そして誰もが翔の偉大さを思い知った。
戦士としての圧倒的強さ。
勇者としての勇気。
戦略家としての状況判断。
指導者としての決断力。
賢者としての圧倒的知性。
そして世界をも包み込む寛大な心。
皆は満腹になった。
それでも肉が余った。
「これでこの肉が腐っても、食べることができるな」
「ああ」
皆は肉が腐るという恐怖から解放されたと思った。
「まだだ」
翔が鋭く指摘した。
「シ、ショウ様?」
翔の発言に皆は驚く。
「まだ最善では無い」
「さ、さいぜんではない???」
「これよりも良い状態が有ると言う事だ」
「こ、これよりも、ですか??」
「そうだ」
「そ、それはいったい、どのようにして???」
皆は困惑している。
「塩だ」
「し、しおですか???」
「そうだ」
誰も翔の言葉を理解出来なかった。
「し、しかしショウ様、塩というのはしょっぱすぎて、とても食べられたものではありませんが。。。」
「それは塩だけで食べるからだ」
「し、しおだけでたべる???」
皆には翔の指摘が理解出来なかった。
「塩を肉に振りかけて食べるんだ」
「し、しおをにくにふりかけてたべる???」
翔は焼いた肉に塩を振りかける。
「食べてみろ」
翔は塩で味付けした肉を差し出す。
「い、いやしかし」
村長は塩を振りかけた肉に戸惑う。
「いくらショウ様が言うからって、なあ?」
「たしかに焼いた肉はウマかったが」
皆は肉に塩を振りかけるという行為に困惑していた。
「マリーが食べても良いですか?」
「アタイも食べたいよ」
マリーとユリアは率先して塩で味付けした肉を食べる事を望んだ。
マリーとユリアは翔に絶対的信頼を置いているのだ。
皆が固唾を飲み見守る中、マリーとユリアが塩で味付けした肉を口にする。
「お、おいしいですっ!焼いたまま食べるよりも、ずっとずっとおいしいですっ!」
「ああ、こりゃあウマい!肉の脂と塩が調和して見事な味わいだよ!」
マリーとユリアは顔をほころばせる。
「ほ、ほんとうかな」
「そ、そんなにうまいのか」
「おれ、食べてみようかな」
「お、おれも」
皆がショウの所へ殺到し、塩で味付けした肉を食べ始める。
「う、うまい!」
「なんだこれ!こんなにうまいものがあったのか!」
皆も塩で味付けした肉の美味さを実感する。
「わ、わしにも食べさせてくれい」
村長が叫ぶ。
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「そうだそうだ!」
皆が村長を責める。
「そ、そうじゃな、さすがに少し虫が良すぎたわい」
村長は肩を落とす。
「村長」
翔は村長を呼び止める。
「ほら、食べろよ」
翔は村長に塩で味付けした肉を差し出す。
「シ、ショウ様」
村長は翔の寛大さに感動していた。
「まったく、ショウ様にはかなわないね」
ユリアが感心する。
「ですね!」
マリーも同意する。
皆は笑いながら塩で味付けした肉を食べた。
そして誰もが翔の偉大さを思い知った。
戦士としての圧倒的強さ。
勇者としての勇気。
戦略家としての状況判断。
指導者としての決断力。
賢者としての圧倒的知性。
そして世界をも包み込む寛大な心。
皆は満腹になった。
それでも肉が余った。
「余った肉は塩漬けと干し肉にするぞ」
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皆は翔の提案を理解出来なかった。
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翔とマリーとユリアは三人で寝転がる。
勿論、最初は翔が一人で寝ているだけだったが、マリーとユリアが忍び込んで翔に寄り添って寝ているのだ。
「うー。ショウ様だいすきです」
マリーは赤く大きな目をクリクリと輝かせる。
白いウサギの耳をピョコピョコさせながら、白く大きな胸を翔に押し当てる。
「ショウ様、アタイの方がもっともっとショウ様の事を愛しているよ。愛しているし尊敬してる。信頼している。ユリアはショウ様の命ずることなら何だってします。
だからユリアがショウ様のそばにいる事をお許しください」
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「なに言ってるんだい、アタイの方が!」
「うるさい。寝ろ」
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上を向いて寝転がる翔の右腕にはマリーが胸を押し当てて抱きつき、左腕にはユリアが胸を押し当てて抱きつく。
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えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
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