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6 リュシルの力
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「食べてはいけないものが、視える……」
「……いえ。どう、と詳しく説明はできないのですが、食べてはいけないものが視える、のではなく、食べられないものとして視えるのです。」
「目に、魔力を込める、か。私も、魔力を込めれば視えるだろうか。」
シリルの呟きに、リュシルの背を支えていたマクシムが、はっとする。
「なるほど……それができれば。」
考え込んでしまった二人を黙って見ていたリュシルは、ふっとその目のままシリルを視た。
「殿下は、食べられないものを、取り込んでしまわれたのですね……」
「……それも、視えるか。」
「……少し、お手をお借りしても?」
そっと細い指がシリルの右手を握ると、何か温かいものがそこから流れてくるのが感じられた。あまりに心地いいので黙って見つめていると、温かい流れがゆっくりと身体を一周して左手に出口を求めるようにしている感覚がする。リュシルの細い指が今度は左手を握る。するり、と何かが出ていく気がした。声もなく驚いていると、
「う、う。」
と、リュシルの呻く声。シリルから離した手を口元に当てて苦しんでいる。マクシムが慌てて、支えていた背中を擦ると、卵ほどの大きさの紫と黒の斑模様の玉が口から吐き出された。間を開けずに、もう一つ。は、は、と荒い呼吸を繰り返して、ぐったりとしてしまった。
「これは……」
マクシムは、とりあえずリュシルを布団に横たえ、手の中の禍々しい色の卵を受け取ると、机に置く。
「殿下、何がありましたか?」
「……身体の中を洗われたような心地だ。」
少し考えて呟いた言葉は、まさにぴったりだと、声に出してから思った。とても、息がしやすい。体調が良いとはこういうことか。しかし、これは……。
「ひどく魔力を使うのではないのか?ブラン子爵令嬢は、ご無事か?」
「……少し、疲れ、ました。自分の、体調を、失念して、おり、ました。申し訳……」
「よい。休んでおれ。食事時間にはまた、声を掛ける。共に食べよう。」
シリルは、布団の上からリュシルの身体をぽん、ぽんと優しくたたいた。寝かしつけるようにそっと。微かな寝息が聞こえるまで、穏やかな顔で繰り返されるそれを、マクシムは、静かに見ていた。
「どう思う?」
「令嬢の目、ですか?」
初めて見る主の穏やかな顔に驚きながら、マクシムは答える。
「ああ。もし、目に魔力を込めれば、毒の有無が分かるのであれば、これからは、毒に煩わされずにすむ。目下の心配事は、解決だ。だが、彼女にしかできないのであれば、常に共に居てもらわねばならぬことになる。」
「確かに。しかし、昼食は共に取れたとして、朝と夜は食堂の場所も違いますし、殿下が常に、特定の子爵令嬢を側に置いているとなると、色々と問題が出るでしょう。」
「ふむ。まずは夕食で、魔力の件を試してみるか。私も少し寝る。夕食時間に起こしてくれ。」
マクシムが頭を下げるのを見て、中の扉で続き部屋となっている自分の部屋へ戻っていったシリルは、いつになくぐっすりと深く眠ることができたのだった。
「……いえ。どう、と詳しく説明はできないのですが、食べてはいけないものが視える、のではなく、食べられないものとして視えるのです。」
「目に、魔力を込める、か。私も、魔力を込めれば視えるだろうか。」
シリルの呟きに、リュシルの背を支えていたマクシムが、はっとする。
「なるほど……それができれば。」
考え込んでしまった二人を黙って見ていたリュシルは、ふっとその目のままシリルを視た。
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「……それも、視えるか。」
「……少し、お手をお借りしても?」
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「う、う。」
と、リュシルの呻く声。シリルから離した手を口元に当てて苦しんでいる。マクシムが慌てて、支えていた背中を擦ると、卵ほどの大きさの紫と黒の斑模様の玉が口から吐き出された。間を開けずに、もう一つ。は、は、と荒い呼吸を繰り返して、ぐったりとしてしまった。
「これは……」
マクシムは、とりあえずリュシルを布団に横たえ、手の中の禍々しい色の卵を受け取ると、机に置く。
「殿下、何がありましたか?」
「……身体の中を洗われたような心地だ。」
少し考えて呟いた言葉は、まさにぴったりだと、声に出してから思った。とても、息がしやすい。体調が良いとはこういうことか。しかし、これは……。
「ひどく魔力を使うのではないのか?ブラン子爵令嬢は、ご無事か?」
「……少し、疲れ、ました。自分の、体調を、失念して、おり、ました。申し訳……」
「よい。休んでおれ。食事時間にはまた、声を掛ける。共に食べよう。」
シリルは、布団の上からリュシルの身体をぽん、ぽんと優しくたたいた。寝かしつけるようにそっと。微かな寝息が聞こえるまで、穏やかな顔で繰り返されるそれを、マクシムは、静かに見ていた。
「どう思う?」
「令嬢の目、ですか?」
初めて見る主の穏やかな顔に驚きながら、マクシムは答える。
「ああ。もし、目に魔力を込めれば、毒の有無が分かるのであれば、これからは、毒に煩わされずにすむ。目下の心配事は、解決だ。だが、彼女にしかできないのであれば、常に共に居てもらわねばならぬことになる。」
「確かに。しかし、昼食は共に取れたとして、朝と夜は食堂の場所も違いますし、殿下が常に、特定の子爵令嬢を側に置いているとなると、色々と問題が出るでしょう。」
「ふむ。まずは夕食で、魔力の件を試してみるか。私も少し寝る。夕食時間に起こしてくれ。」
マクシムが頭を下げるのを見て、中の扉で続き部屋となっている自分の部屋へ戻っていったシリルは、いつになくぐっすりと深く眠ることができたのだった。
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