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第三章 幸せの行方
68 成人 70
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「緋色、金魚。」
お迎えが来てしまったけど、俺は金魚から目が離せない。あ、金魚のおしりから、紐みたいなものが出てきた。
え、何なに?もしかして、うんちさん?
ぶら下げたまま、ふよー、ふよーと動く。
何で、ぶら下げてるの?
ふふ、ふふふふ。
笑いが止まらなくなる。
雫石さんが、抱いてくれている腕の力をぎゅっと強めてきた。あ、動いたら重たいかな。
振り向いてみる。
優しく笑って俺の方を見ていた。
「雫石さん。重たい?」
「全然、重たくないわよ。なるひとちゃん、楽しい?」
俺は、また金魚を見た。まだ、おしりにくっついている。
「ふふっ。あのねえ。おしりにねえ。ふふふっ。」
「あら、本当。くっついているわねえ。」
「お口ぱくぱくしてる。まだ、食べるのかな?」
「ずっと、ぱくぱくしてるのよ。餌をね、あげたらあげただけ食べちゃうの。」
「すごいねえ。」
「すごくないのよ。食べ過ぎたかどうか自分で分からないから、お腹がふくれすぎて死んじゃうんだもの。」
「えー?」
「だから、餌はあげすぎたら駄目なのよ。」
「そうかあ。」
「そんなに気に入ったのか。うちでも、飼うか?」
いつの間にか、すぐ横にいた緋色が言った。
「ここにいるのだから、飼うことないわ。」
雫石さんが、緋色に言った。
「ここに会いに来たらいいものね、なるひとちゃん。」
お家にいても嬉しいけど、ずっと見ていたら、お仕事ができないかも。ここに、会いに来たらいいか。
うんうんと頷くと、また雫石さんがぎゅっと抱き締めてくれた。
「母上、成人をそろそろ返して頂いても?」
「なるひとちゃんが、まだ金魚を見たいなら置いておけばいいじゃない。心配いらないわ。ジュースもあるし、おやつもあるし、置いて行っていいわよ。」
「仕事なら終わりましたので、帰りますが。」
「なるひとちゃん。おやつ、食べる?アイスクリームがあるのよ。」
「アイスクリーム?」
「冷たくて美味しいの。食べる?」
冷たいおやつ!食べてみたい。
でも、いいのかな?
悩んでる間に、部屋にずっといる女の人が隣の部屋へ行って、ガラスの器に入った白いものを四つ持ってくる。座卓へ並べて、また部屋の隅に下がった。
揺り椅子から、雫石さんと二人で降りて床に座る。
「緋色さんもあなたも、どうぞ。」
あなた?と思って見ると、部屋の入り口のところに男の人が一人いた。
「入っていいのか、悩んでいたよ。」
そう言って入ってきた男の人は、赤虎に顔だけ似ていた。
「こんにちは。赤石です。」
「成人です。こんにちは。」
赤石さんのことは、あなたと呼んだらいいのだろうか……。
お迎えが来てしまったけど、俺は金魚から目が離せない。あ、金魚のおしりから、紐みたいなものが出てきた。
え、何なに?もしかして、うんちさん?
ぶら下げたまま、ふよー、ふよーと動く。
何で、ぶら下げてるの?
ふふ、ふふふふ。
笑いが止まらなくなる。
雫石さんが、抱いてくれている腕の力をぎゅっと強めてきた。あ、動いたら重たいかな。
振り向いてみる。
優しく笑って俺の方を見ていた。
「雫石さん。重たい?」
「全然、重たくないわよ。なるひとちゃん、楽しい?」
俺は、また金魚を見た。まだ、おしりにくっついている。
「ふふっ。あのねえ。おしりにねえ。ふふふっ。」
「あら、本当。くっついているわねえ。」
「お口ぱくぱくしてる。まだ、食べるのかな?」
「ずっと、ぱくぱくしてるのよ。餌をね、あげたらあげただけ食べちゃうの。」
「すごいねえ。」
「すごくないのよ。食べ過ぎたかどうか自分で分からないから、お腹がふくれすぎて死んじゃうんだもの。」
「えー?」
「だから、餌はあげすぎたら駄目なのよ。」
「そうかあ。」
「そんなに気に入ったのか。うちでも、飼うか?」
いつの間にか、すぐ横にいた緋色が言った。
「ここにいるのだから、飼うことないわ。」
雫石さんが、緋色に言った。
「ここに会いに来たらいいものね、なるひとちゃん。」
お家にいても嬉しいけど、ずっと見ていたら、お仕事ができないかも。ここに、会いに来たらいいか。
うんうんと頷くと、また雫石さんがぎゅっと抱き締めてくれた。
「母上、成人をそろそろ返して頂いても?」
「なるひとちゃんが、まだ金魚を見たいなら置いておけばいいじゃない。心配いらないわ。ジュースもあるし、おやつもあるし、置いて行っていいわよ。」
「仕事なら終わりましたので、帰りますが。」
「なるひとちゃん。おやつ、食べる?アイスクリームがあるのよ。」
「アイスクリーム?」
「冷たくて美味しいの。食べる?」
冷たいおやつ!食べてみたい。
でも、いいのかな?
悩んでる間に、部屋にずっといる女の人が隣の部屋へ行って、ガラスの器に入った白いものを四つ持ってくる。座卓へ並べて、また部屋の隅に下がった。
揺り椅子から、雫石さんと二人で降りて床に座る。
「緋色さんもあなたも、どうぞ。」
あなた?と思って見ると、部屋の入り口のところに男の人が一人いた。
「入っていいのか、悩んでいたよ。」
そう言って入ってきた男の人は、赤虎に顔だけ似ていた。
「こんにちは。赤石です。」
「成人です。こんにちは。」
赤石さんのことは、あなたと呼んだらいいのだろうか……。
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