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第八章 郷に入っては郷に従え
85 金魚のお菓子は絶対食べる! 成人
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「成人。あの二人と何を話していた?」
あの二人?あ、鶴丸と松吉?
炊き込みご飯とお汁を半分ずつ食べて、よし、金魚のお菓子をかじろう、と眺めていたら緋色に聞かれた。
「あのね、松吉がね」
あ、アイスクリームが離宮でいつでも食べられるのは内緒だった。こそこそ話をしようと緋色に近付いた時。
五人の男の人が、弐角の前に平伏した。
「若様、奥方様。この度は、誠におめでとうございます。家臣を代表致しまして、不詳、七宝佐兵衛が、寿ぎを申し上げます」
「ああ。ありがとう」
最後に、挨拶にきた人たちがいた。
「末永く仲睦まじくあられますよう、お祈り申し上げます」
「ああ。仲良く歳を重ねられるよう努力すると誓おう。俺は、生涯、橙々と共にある。七宝よ。もう何処のどのような娘も、俺の前には連れてきてくれるな」
「は、はは。いや、某の主家を思う老婆心ながら、まことに返す言葉もなく」
「そなたの娘や親戚の娘たちにも良縁があることを、心の底から願っておる」
「は。お優しきお言葉、胸に刻みまする」
それから、ざざっと俺たちの前に移動して平伏する。
「緋色殿下並びに妃殿下にご挨拶できますこと、九鬼の家臣一同、望外の喜びにございます。幾久しく、よろしくお願い申し上げます」
「九鬼をよく助け、領地の発展に務めよ」
「ははっ」
おおお。なんか、何を言いあっているかよく分からないけど、緋色、格好良い!
強い視線を感じて前を向くと、七宝という人もその隣の人たちも頭を下げながら、俺の方をものすごく見ていた。
あ、そうか。こういう時は、俺も前を向いて格好良い顔をしていなくちゃいけないんだった。横にいると、格好良い緋色を皆と同じように見られないのが残念だ。でも、俺にも挨拶してくれてるんだもんね。挨拶を受けてますよって顔をしていなくちゃいけない。
きりっ。
そうしていたら、その人たちは次に壱鷹の前に移動して、また挨拶をした。
「殿。この度は、若様がご伴侶をお迎えになりましたこと大変にめでたく、家臣一同、心よりお祝い申し上げます」
「ああ。この日を無事に迎えられたこと、大変に嬉しく思う。九鬼はこの後も、西方の人々の平穏な暮らしのために力を尽くそう。心して、我らに仕えよ!」
「ははっ」
それで、挨拶は終わり。
家臣の人が元の席に戻って、主役の二人がみんなに向けて挨拶をして退席した。
あれ?終わり?
え?俺、金魚のお菓子、まだ食べてない。持って帰っていい?
「まだ話の尽きぬ方も、食事が済んでおらぬ方もおられよう。急かれる事はない。ゆるりと楽しまれよ」
「ん?」
「ゆっくり食べろ、だと」
壱鷹の言葉を、緋色が分かりやすく直してくれた。
良かった。
俺は持って帰ろうとしていた金魚のお菓子のお皿をお膳に置いた。
いただきまーす。
あの二人?あ、鶴丸と松吉?
炊き込みご飯とお汁を半分ずつ食べて、よし、金魚のお菓子をかじろう、と眺めていたら緋色に聞かれた。
「あのね、松吉がね」
あ、アイスクリームが離宮でいつでも食べられるのは内緒だった。こそこそ話をしようと緋色に近付いた時。
五人の男の人が、弐角の前に平伏した。
「若様、奥方様。この度は、誠におめでとうございます。家臣を代表致しまして、不詳、七宝佐兵衛が、寿ぎを申し上げます」
「ああ。ありがとう」
最後に、挨拶にきた人たちがいた。
「末永く仲睦まじくあられますよう、お祈り申し上げます」
「ああ。仲良く歳を重ねられるよう努力すると誓おう。俺は、生涯、橙々と共にある。七宝よ。もう何処のどのような娘も、俺の前には連れてきてくれるな」
「は、はは。いや、某の主家を思う老婆心ながら、まことに返す言葉もなく」
「そなたの娘や親戚の娘たちにも良縁があることを、心の底から願っておる」
「は。お優しきお言葉、胸に刻みまする」
それから、ざざっと俺たちの前に移動して平伏する。
「緋色殿下並びに妃殿下にご挨拶できますこと、九鬼の家臣一同、望外の喜びにございます。幾久しく、よろしくお願い申し上げます」
「九鬼をよく助け、領地の発展に務めよ」
「ははっ」
おおお。なんか、何を言いあっているかよく分からないけど、緋色、格好良い!
強い視線を感じて前を向くと、七宝という人もその隣の人たちも頭を下げながら、俺の方をものすごく見ていた。
あ、そうか。こういう時は、俺も前を向いて格好良い顔をしていなくちゃいけないんだった。横にいると、格好良い緋色を皆と同じように見られないのが残念だ。でも、俺にも挨拶してくれてるんだもんね。挨拶を受けてますよって顔をしていなくちゃいけない。
きりっ。
そうしていたら、その人たちは次に壱鷹の前に移動して、また挨拶をした。
「殿。この度は、若様がご伴侶をお迎えになりましたこと大変にめでたく、家臣一同、心よりお祝い申し上げます」
「ああ。この日を無事に迎えられたこと、大変に嬉しく思う。九鬼はこの後も、西方の人々の平穏な暮らしのために力を尽くそう。心して、我らに仕えよ!」
「ははっ」
それで、挨拶は終わり。
家臣の人が元の席に戻って、主役の二人がみんなに向けて挨拶をして退席した。
あれ?終わり?
え?俺、金魚のお菓子、まだ食べてない。持って帰っていい?
「まだ話の尽きぬ方も、食事が済んでおらぬ方もおられよう。急かれる事はない。ゆるりと楽しまれよ」
「ん?」
「ゆっくり食べろ、だと」
壱鷹の言葉を、緋色が分かりやすく直してくれた。
良かった。
俺は持って帰ろうとしていた金魚のお菓子のお皿をお膳に置いた。
いただきまーす。
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