魔王様と禁断の恋

妄想計のひと

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4章

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この行動に、サイは憤慨し剣に力を込めようとしたがそれは叶わなかった。

身体の主導権が自分にはないように感じた。

「どうして……?」

「貴方は、私の能力を知っておきながら、私に血を渡した過去がありますよね?それはあまりにも不用心です」

サイの腕は勝手に動き、剣を鞘に戻した。

リタの手を拘束していた術は解け、立ち上がると膝を掌で2回叩いて埃を払った。

「リタ、もっと早くしてください。私の演技が上手ではないことを知っているでしょう?」

魔王様は元天帝の上から退き、元天帝に手を差し出して起き上がらせた。

「陛下は戦いにおいては、天帝をも騙したことがあります。自信を持ってください」

サイが2人の殴り合いに夢中になっている隙に、以前受け取ったことのあるサイの血液を摂取し、リタは魔術を発動させていた。

「それに、私達のことを選んでくれて嬉しかったです」

どうやらグランは分かっていて、魔王様と元天帝が戦うように話を持っていったようだった。太陽のような笑顔を魔王様に向けている。

「選んだのは私であってグラン様ではありません」

リタは対抗心をあらわにした。

元天帝はリタと魔王様を交互に見てからため息を吐いた。

「よく、レイリンはリタがサイの血を持っているってわかったね」

「リタの表情です」

魔王様は誇らしげに言うが、元天帝からしたら全て同じ無表情だ。

「こちらで気を引けば、サイに隙ができるかと」

「本当に最悪な台本だね」

苦々しい表情を浮かべる元天帝だが、魔王様は元天帝にだけは言われたくないと思った。

2人の目線はサイへと向いた。彼は無表情でその場で棒立ちになっていた。

「彼はどうしますか?」

リタはサイを操れるが、彼の力をあまり知らない以上、出来るだけ早く無力化出来るに越したことはなかった。

「とにかく、宝珠の力を奪っておかないと、また天界を滅ぼすかもしれません」

リタとグランは眉を上げて驚いた。まさか自分たちの目の前にいる人間が、それほどの力を持っているとは思わなかったのだろう。

元天帝はサイに近づき、手をかざした。
だが、元天帝の眉が僅かに中心へと寄っただけだった。

「シュエイシカ様、今更遅いのです」

その言葉に、魔王様とリタは顔を顰めた。
元天帝は首を左右に振って、右手をひらひらと振った。

「彼の身体から力は感じられなかった」

「何処へやったのですか?」

魔王様はサイをじっと睨んだ。
他の3人の視線もサイへと集まり、彼は壊れたように笑い始めた。

そして、ひとしきり笑った後に彼は言った。

「あは、あははははは……シュエイシカ様が好きなものに変えました」

「レイリン?」

「本気であっても、今は軽口を叩かないでください」

子気味よく元天帝と魔王様はやりとりをし、魔王様はじろりと元天帝を一瞥するが、元天帝は「それ以外に思いつかない」と笑顔で見つめ返した。

「リタ、サイを操って突き止める事はできませんか?」

魔王様は元天帝の相手をやめて、リタへ訊いた。
リタは目を閉じて何かを感じようとするが、首を左右に振った。

「既にこの人間の中から力を感じられませんでした」

一体何に変えたのか、そこにいる全員、何の事か分からなかった。

「拷問する?」

元天帝はサイを掌で指すが、魔王様はそのやり方をあまり推奨しない。

「彼が強大な力を手放してまでも行った術です。相応の覚悟があるはずです」

簡単には口を割らないと、魔王様はサイを眺めて考えた。
そして、彼を見た時にふと、思った事を思い出した。

「ランシュエ、貴方ならどうしますか?」

「私?」

元天帝は目を僅かに張ってから、「うーん」と唸って考えた。

「もし、私が他人と恋に落ちて、ランシュエのモノにならないと分かっていて、サイのように追い詰められた時にすることです」

「あまり考えさせないで欲しいね」

それでも、状況が状況なので肩をすくめて元天帝は想像を巡らせた。

「心中?」

「身体に時限爆弾でも仕掛けたのですか?」

そう魔王様が呟いた時に、リタが言った。

「天雷ではありませんか?」

その場の全員の視線がリタに集まった。

「私は雷なんて好きじゃないけど」

だが今まで何度も落としてきたそれが1番可能性が高いと思った。

サイはそうリタが発した後、口角がグッと上がって話し始めた。

「保険の為に、私が持っていた宝珠の力は全て、空へ天雷として放っておいた」

「では、ここに天雷が落ちるのですか?」

魔王様の方をサイはチラリと見遣り、また微笑んだ。
魔王様は眉間の皺を右手で揉んだ。心中するつもりなのだろう。

天雷が都市に落ちたときは、大地を抉りながら全てを塵へと変えた。

元天帝の裁量で魔界へ影響が出たことはないが、もし魔王城に落ちたのならば、1層にも影響が出る事は逃れられないだろう。

「天雷って、あの100年に1度落ちて来る雷ですか?」

そういえばグランにその辺りを詳しく説明していなかったと、魔王様はそのとき気づいたが、今その話をしている場合ではないと思った。

「その天雷です。外へ出て様子を見ましょう」

魔王様を先頭に、3人が続き、リタはサイを操りながら後を追った。
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