歴史の論理：中国の年代記

先史時代

三皇と五帝～堯と舜

「尭」と「舜」は2人の中国上古時代の支配者であり、古代中国の政治思想の中の理想的な君主であり、歴代帝王の道徳模範でもある。
◆尭
『史記・五帝本紀』によると、『尭』は黄帝の玄孫、『舜』は黄帝の八世孫である。『史記』称賛と美化〈尭〉説：
『其仁如天，其知如神。
就之如日，望之如雲。
富而不驕，貴而不舒。
黃收純衣，彤車乘白馬。
能明馴德，以親九族。
九族既睦，便章百姓。
百姓昭明，合和萬國。』
『その仁は天の如し、その知は神の如し。
それは日のように、希望は雲のように。
金持ちでおごらず、高くて気分が悪い。
黄収純衣、真っ赤な車で白馬に乗る。
九族に親しむために徳をならすことができる。
九族は睦まじくて、庶民に印をつける。
百姓は明瞭であり、万国に合致する。』
『尚書・尭典』には少し異なるバージョンが記載されている。
『允恭克讓，光被四表，格于上下。
克明俊德，以親九族。
九族既睦，平章百姓。
百姓昭明，協和萬邦。』
［注：第二次世界大戦中に中国に侵攻した日本の昭和天皇の年号『昭和』は、尚書・尭典の最後の『百姓昭明協和万邦』に由来しており、運命はいつも皮肉なものである。］
*暦
『史記』と『尚書』によると、尭は『羲和』に日月星辰の変化に基づいて暦を制定し、庶民に暦に従って農業生産に従事させるよう命じた。この暦は1年に366日あり、うるう月を設定する方法で四季を調整します。「グレゴリオ暦」と区別するために、この暦は中国では「旧暦」または旧暦、漢暦、陰暦などと呼ばれ、朝鮮半島とベトナムに伝播して現在まで使われてきた。
しかし、ここで「羲和」が実在する人なのかどうかは議論があり、「尚書正義」と「集解」の話法によると、「羲和」は世襲で天文を司る2人の氏族で、いずれも「重黎」の子孫である。
もう一つの説は、ここの「羲和」は天文を司る官吏で、漢王朝に「羲和」という天文官職が設立された。
もう一つの記述は、神話伝説の書物『山海経』に登場する女性神祇で、『羲和』は最初は太陽の母だったが、後に『楚辞』で太陽のために車を運転する女神になったという。その後、天文を司る人になった。
『东南海之外，甘水之间，有羲和之国。有女子名曰羲和，方日浴于甘渊，羲和者，帝俊之妻，生十日。』——《山海经·大荒南经》
［訳：東南海の外、甘水の間には、羲和の国がある。羲和という女性がいて、ある日甘淵で入浴していました。羲和という女性は、帝俊の妻で、10人の太陽を生んだ。
『吾令羲和弭莭兮，望崦嵫而勿迫。』——《楚辞·离骚》
［訳：私は羲和に鞭を止めて徐行させよう、太陽が丘に迫るようなことをしてはいけない］
一部の中国の学者は、「羲和」は1人または1人の伝説から派生した2つの神話体系のうちの1つであり、太陽神話の誕生は必然的にそれに対する月神話を誘発すると考えている。彼らは、古代中国の伝説の太陽の女神「羲和」と月の女神「常羲」は同一人物または同一の物語によって変化した結果だと考えている。
*洪水対策
尭の時期にもう一つよく知られていたことは洪水で、この時期に黄河が道を変えて洪水が人類の集落を水没させる災難をもたらした。尭はこの件を解決するために意見を求めた。
『史記』の記述は、
『堯曰：「誰可順此事？」放齊曰：「嗣子丹朱開明。」堯曰：「吁！頑凶，不用。」堯又曰：「誰可者？」讙兜曰：「共工旁聚布功，可用。」堯曰：「共工善言，其用僻，似恭漫天，不可。」堯又曰：「嗟，四嶽，湯湯洪水滔天，浩浩懷山襄陵，下民其憂，有能使治者？」皆曰鯀可。堯曰：「鯀負命毀族，不可。」嶽曰：「異哉，試不可用而已。」堯於是聽嶽用鯀。九歲，功用不成。』
現代中国語に訳すと：
尭は言った。「誰がこのことを治めることができますか。」
放斉は言った。「あなたの息子の丹朱は道理に通じています。」
［注：斉を置く、一人の臣下の名前。］
尭は言った。「おい！丹朱は頑固で、彼を使うことはできない。」
尭はまた言った。「他に誰ができるの？」
「共工は広く民衆を集めることができて、とても効果があって、彼を来ることができます」と述べた。
尭は言った。「共工の話はとてもうまいが、仕事をすると正道に背き、表面的には恭しく、実際には罪悪感が強く、彼を使うことはできない」。
尭はまた言った。「ああ、四つの岳、波がもうもうとした洪水が空から来て、広々と山々をめぐって、丘陵に突き進んで、庶民はとても心配して、誰が洪水を治すことができますか？」
皆は鲧が適任だと言っている。尭は言った：「鲧は命令に違反して、族の人を傷つけて、彼を使うことができません。」
岳は言った。「違うでしょう。まず彼にやってみて、もしだめならば彼を罷免することができます。」
そこで尭は四岳の提案に従い、鲧治水を任用した。治水に9年かかり、成功しなかった。
（興味深いことに、同時期の古代文明では洪水の記録が出ており、歴史学者はこの時期に世界的な洪水が発生した可能性があると推測している）
*尭舜禅譲
尭は言った。「ああ！四岳、私は70年も在位しているのに、あなたたちは誰が天命に順応して、私のポストを引き継ぐことができますか？」四岳は「私たちの徳行は低く、帝位に登る資格はない」と答えた。尭は言った。「あなたたちは貴族の親戚や傍支の隠遁者を推薦してください。」みんなは尭に言った。「民間にはまだ結婚していない人がいる。彼の名前は虞舜だ」。尭は言った。「はい、この人は聞いたことがあります。彼はどんな人ですか。」四岳は「彼は盲人の息子だ。彼の父は頑固で、母は愚かで、弟は傲慢だが、彼は孝行で家族を和合させ、美徳で家業を治め、家族を邪悪から遠ざけることができる」と言った。尭は「やってみよう」と言った。そこで尭は自分の2人の娘を舜と結婚させ、舜の妻に対する態度を通じて彼の徳行を観察した。舜は姉の水の流れが曲がっているところで尭の2人の娘を迎え、彼女たちに婦人としての礼儀を守らせた。尭は舜のやり方にとても満足して、舜に慎重に各種の倫理教化を改善させて、人々はすべて教化を守ることができます。
尭は舜を聖明だと思って、舜を呼んで言った。「あなたは問題をよく考えて、言ったことはすべてできて、もう3年になりました。今あなたを帝位に登ってください」。
舜は自分の徳行がまだ適任ではないと考え、不安を感じた。正月初一日、舜は禅譲を受けた。この時帝尭は高齢で、舜に代わって摂政を命じ、天命に順応しているかどうかを観察した。
尭は70年在位してやっと舜を得て、20年後に年を取って退位して、舜に自分の代わりに天子の職権を行使させて、天に彼を推薦します。尭は位を譲って28年後に亡くなった。庶民は親を失ったように悲しくなった。尭の死後3年間、各地で音楽を演奏したことがなく、悲しみを表現した。
尭は息子の丹朱が賢明でなく、天下を治める重任を担うことができないことを知って、そこで先に王位を舜に譲った。尭が帝位を舜に伝えると、天下人は利益を得て、丹朱一人を苦しめることになる。帝位を丹朱に伝えると、天下人は苦しみ、丹朱一人だけが利益を得ることができる。尭は「結局、天下の人を苦しめて利益を得ることはできない」と言って、ついに天下を舜に伝えた。
帝尭が亡くなり、その3年の喪期が終わった後、舜は帝位を丹朱に譲った後、南河以南に避難した。結局、諸侯は丹朱に会いに行かずに舜に会いに来て、訴訟を起こした人も丹朱を探しに行かずに舜を探しに来て、賛美した人は丹朱を賛美せずに舜を賛美した。舜は「天命だ」と言って中原に行って再び王位に就いた。
明らかに、これは『史記』の記述と後世の儒家の構築の歴史であり、尭の統治の時間はあまりにも長く、朝鮮半島の伝説の檀君ほどではないが。彼が最後に舜に禅譲した話には、いくつかの説がある。
*囚われと流刑
唐代の『史記正義』は『涿塚竹書』を引用して、舜は尭を監禁し、丹朱を他の場所に監禁して、彼らを会わせないようにして、また『後稷』は丹朱を『丹水』に流したと言った。
『広弘明集・巻十一』は『汲塚竹書』を引用して、舜は尭を〈平陽〉に流し、王位を奪取したと述べた。
『太平御覧』巻六十三は『尚書』の逸文を引用して、丹東は品行が悪く、舜は彼を『丹淵』に住まわせ、諸侯王の地位を維持したため、『丹朱』と呼ばれた。
この説によれば、丹朱は追放され、尭は死ぬまで監禁された。
しかし、さらに可能性が高いのは、この段階の相続制度が貴族選挙制を実行しており、各部族の推挙を通じてようやく担当することができ、首領の息子には法定の相続権がないということだ。
『神話的な（人物）は、偉大であっても、伝承するべきではない。例えば黄帝は偉大だが、本当にその人がいるとは限らない。太史公（司馬遷）は『五帝本紀』を著し、恍惚としている。しかし、彼（生まれて神、弱くて言叶ができ、幼くて徇斉、長くて敦敏、なって聡明）これらの言葉は、語章家の飾り積みに似ていて、少しも地道ではありません。残りの伝説、資料は豊富ですが、決して頼りになりません。たとえ抹殺しなくても、疑うべきだ。』——梁啓超
◆舜
『史記』によると、舜の名前は「重華」で、彼の父は「瞽叟」だという。老人は盲人で、舜の母は亡くなり、老人は妻と結婚して息子「象」を産んだ。
瞽叟は後妻の息子をかわいがり、常に舜を殺そうとしたが、舜は逃げた。舜は小さな過ちを犯すと、父親に罰せられる。それでも父親や継母、弟には恭順に接し、毎日家族に対して誠実で、ゆっくりしているときはありませんでした。
舜は〈冀州〉出身で、〈歴山〉で耕作し、〈レイザー〉で漁をし、黄河のほとりで陶器を焼き、〈寿丘〉で各種の日用器物を作り、〈負夏〉で商売をしていた。舜の父親は頑固で、継母は愚かで、弟の「象」は傲慢で、彼らはみな舜を殺そうとした。舜は彼らに謙虚に接し、道徳を失わず、両親に孝行し、兄弟を友愛した。彼らは彼を殺そうとしたが、なかなか成功できなかった。
帝尭は重用できる人に尋ねて、四岳はすべて〈舜〉を推薦して、彼は任用できると言った。そこで帝尭は2人の娘を舜と結婚させて彼が家庭を治める様子を観察し、9人の息子と舜を派遣して彼の人に接する様子を観察した。
〔尭の二人の娘について、『史記』には記載されていない。伝統的に中国の歴史書には特別な場合を除いて、女性の名前は記載されていないからだ。『列女伝』では、彼女たちの年上の名前は「娥皇」、年下の名前は「女英」と呼ばれている。）
『舜居は〈妫水〉の流れが曲がっているところに住んでいて、彼は家の中で非常に慎み深い態度を示している。尭の2人の娘も高貴な出自で舜の親戚に傲慢な態度で接し、人となりの道を守ることができなかった。尭は舜の細葛布で作った服を賜り、琴を贈ったり、穀物庫を建てたり、牛や羊を贈ったりした。
舜の父「老人」はまた舜を殺そうとしたので、舜に穀物倉の上に泥を塗ってもらい、そして「老人」は下から穀物倉に火をつけて燃やした。舜は二つの笠で自分を守って納屋の上から飛び降りて逃げた。
〈瞽叟〉はまた舜に井戸を掘らせ、舜は井戸を掘るときに外へ通じる隠れ家の通路を掘った。舜が深いところまで掘ると、〈瞽叟〉と〈象〉が一緒に土で井戸の口を埋めると、舜は隠れた通路から逃げ出した。〈瞽叟と象は喜んで、彼らは舜が死んだと思っていた。
そこで、彼らは舜の財産を分割し始め、「この考えはもともと私が考えていたものだ」と言ったように。また、「舜の妻、つまり尭の2人の娘と彼の琴はすべて私のものになった。彼の牛と羊と穀物倉庫は両親にあげた」と話した。
そこで象は舜の居間に駆け込んで住み、また舜の琴を弾いていた。舜は自分の家に帰って象を見て、「あなたのことを思って悲しくなっている」と驚いたように言った。
舜は言った。「はい、あなたは私にあまり差がないのはそうです！」舜は依然として父〈老人〉、友愛兄弟に仕え、さらに勤勉になった。そこで尭は舜に教化と管理官の推進を担当させようとしたが、舜はよくやった。』
この物語は面白いが、後世の儒家がでっち上げた可能性が高い。〈舜の継承者は禹であり、今回の継承は暴力による権力奪取の可能性が高い。尭と舜の間の継承は平和継承である可能性が高く、初期部族連盟の指導者には奴隷王朝と封建国家の君主の巨大な権力はなかった。
尭と舜は緩い部族連盟の共主にすぎない可能性が高いため、ジンギスカン後のモンゴル部族継承制と似ており、尭と舜は同じ血縁の2つの部族結婚と権力交代の正常な継承である可能性が高い。
「禹」は黄帝の子孫ではなく、禹の父「鲧」は洪水対策の失敗で尭に爵位と処刑を奪われた。そのため、尭の娘婿舜と鲧の息子禹は矛盾や世仇を持っている可能性が高い。
『史記』には、禹氏が継承した後、舜は現在の湖南省南部に到着したという奇妙なことが記されている。当時の住民は主に黄河の中流と下流に住んでいたが、そこは辺鄙で長江流域になっていた。
『史記』の後継記述もおかしいが、司馬遷は舜が南巡狩猟であり、〈蒼梧〉の野外で死んだと記している。『史記』と後続の中国の歴史書では、逃亡と捕虜になった君主は往々にして巡行と狩猟と書かれている。
舜の死後、弟の象が彼の部族を継いだのも奇妙なことで、舜と象が個人的に南方の丘陵に来たのではなく、舜が部族全体を率いてそこに着いたのだ。
もし舜と象の関係が本当に憎しみのほど悪いのであれば、連合禹が舜に危害を加えるのではなく、舜に従って南方に到着し、彼の部族を継承するようなのはおかしい。さらに可能性が高いのは、舜と禹の競争に失敗し、兄弟象のように部族を率いて南へ逃げざるを得なくなったことだ。そうしてこそ、なぜ舜がより辺鄙で環境の悪い南に南へ移ったのかを説明することができる。その場に残って禹に復讐される可能性が高いからだ。
もちろん、これは単なる推測です。つまり、『史記』の言い方は、
舜登神位から三十九年後、南方を巡視し、青々とした郊外で亡くなった。彼は長江以南の九稜山、つまり零陵に埋葬された。
舜が神の位に登った後、彼の車には天子の旗が立っていて、車に乗って父の〈老人〉に会いに行き、態度はとても謙虚で従順で、人の子の道を守った。舜は彼の弟「象」を大名に封じた。舜の息子「商均」も才能がなく、舜は自分が死ぬ前に禹を推薦した。
17年後、舜は亡くなった。3年の喪期が終わると、禹は舜の息子「商均」に帝位を譲った。まるで舜が尭の息子「丹朱」に帝位を譲ったかのようだった。諸侯はみな禹に帰順し、それから禹は天子の位に登った。尭の息子「丹朱」、舜の息子「商均」には、祖先を供養するための独自の封地がある。彼らは祖先の服装を着て、祖先の礼楽を使っている。彼らは賓客の礼で天子に会い、天子は彼らを臣下と見なしないことで、自分が天下を独占する勇気がないことを示した。
黄帝から舜、禹まで、彼らは同じ姓で、異なる国号を使って、それぞれの徳行を示した。そのため黄帝は「熊がいる」、颛顼は「高陽」、喾は「高辛」、尭は「陶唐」、舜は「虞がある」と称した。
〈禹〉は〈夏〉と呼び、姓を変えた。〈姉〉氏。〈契』の末裔は〈商〉王朝を創建し、姓は〈子〉氏である。〈棄」の末裔は「周」王朝を創建し、姓は「姫」氏である。
〔注：宗法制の下では、同じ〈姓〉は血縁親疎によって、多くの異なる〈氏〉に分けられる。東周戦国時代になると、宗法制が崩壊してから徐々に分離していった。漢王朝の時、姓は一つになった。漢に住んでいた司馬遷は姓と氏の概念を混同し、『史記』では姓に関する誤った説が何度も出てきた。）