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第19話 『ディープキス』
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1985年(昭和60年)6月27日(木)<風間悠真>
「ああ~終わった終わった~」
と頭の上で両手を組んで伸ばす美咲。制服越しの胸のシルエットが美しい。
「ほんっと~、私理科と社会苦手だあ~」
同じように伸びをする凪咲。こちらもいい感じ。うーん、BからC? いやBよりのC?
「ふふふ。私は国語と社会が苦手かな……」
おっとり純美は机の筆箱を整理している。こちらはなにもしなくても美巨乳 。
今のところ、純美が先頭を走っている。事故とは言え胸を触り、そしてこの前キスをして胸を触っても抵抗がなかった。これは次はいけるか! ? と期待大!
2番は美咲だ。顔で言えば1番のタイプであるが、スタイルもいい。神社でキスをしたものの、胸を触ろうとしたらストップがかかった。うーん、慎重に事を運ばねば。
途中からのダークホースで先頭に躍り出るかと期待大だった凪咲だが、修学旅行でキスはしたものの、それ以降が続かない。オレ達の関係性に疑問を抱いているのか、それとも他に男が?
そして最新ニュースは礼子だ。
キスとかそういうのはまだだが、オレに好意を持っているのは間違いない。で、あればやり方によっては、ある。
……なんて事を2組から1組の教室に向かう廊下に出る前、オレは考えていた。まあ中学生~20代の男なんてみんなサルだからな(横暴! 極論! 偏見!)。ヤル事しか考えていない。
中間テストはまずまずで、学年順位が出ていたが、確か7位以だった。学年で60人足らずの学校だからレベルも知れたものだが、今回から学力診断(学診)テストを受ける。
早い時期から全国レベルのでどのくらいの学力かを知っておくべきだと思ったからだ。これは先生からじゃなく、オレが親父達やじいちゃんに言って受けさせて貰えるようにした。
「あ、悠真~今日は練習できないでしょ? 私達もないから、一緒に帰ろうよ」
と美咲が言ったので、凪咲と純美も同調して声をかけてきた。
テスト期間中は部活動がない。したがってオレと祐介も練習ができない。
「ああ悪い! 今日は祐介んとこ行って練習するんだ。ゴメンな」
「じゃあ私達も行っていい? ね! 行こうよ2人とも!」
美咲は凪咲と純美を誘って多数決に持ち込もうとしているようだ。この状況で多数決も何もないのだが。
「え? いやそれはちょっと難しいかな……。オレは前もって言ってるけど、それに1回帰らないと親が心配するだろ?」
「うーん」
3人は迷っているようだが、仕方がないと諦めたようだ。
「わかった。じゃあまた明日ね♪」
本当は祐介と一緒に練習するのが目的ではない。いや、確かに練習はするのだが、それよりもファーストミッションがあったのだ。
「ごめん、待った?」
「ううん、ぜんぜん」
中学校の目の前には国道が通っていたが、坂道だったので、正門では平坦でも裏門は小高い丘の様になっていた。裏門から上り下りして出入りするのだ。
周囲を誰もないのを確認して、オレは礼子と待ち合わせをして一緒に帰ることになった。
祐介が転校してきたのは南小の校区で、礼子も南小出身だから方向は同じになる。祐介にはなんだかんだ理由をつけて先に帰って貰ったのだ。ちなみに西小出身者は歩いて帰るが、南小出身者は若干遠い事もあり、バス通学である。
今思えば、オレもバス通学に憧れたものだ。高校では毎日バスに乗るのだが、この時は知るよしもない。
だから、裏門はあるが、ほとんど使わない。南小出身者は正門前にあるバス停を使うからだ。
見つかる可能性はないが念には念を入れる。
「悪かったね。今日も弁当作ってくれたんでしょ? ちゃんと言っておけば良かったよ。あんまり礼子の弁当が美味いから、甘えちゃった」
オレは頭をかいて笑った。
なんだ、美咲や凪咲とも、純美とも違う感覚だぞ?
「ううん、いいの。それより悠真が気に入ってくれて嬉しかった。これからも作るね」
「うん。どこで食べようか」
オレ達2人は秘密で一緒に帰り、その途中で弁当を食べようという計画をたてたのだ。30分後くらいにバスが来るから、それまでに隠れて弁当が食べられる場所を見つけなければならない。
裏門を降りて国道に出たオレ達は、自販機でジュースを買って帰り道を急ぐ。
「ねえ、この辺で食べられるとこあったっけ?」
オレは礼子に聞いてみる。なにしろ、こっちの方角は行ったことが(今世では)ないのだ。前世の記憶では、たしか民家もまばらで何もなかったはずだ。
「うーんと、確かこっちの裏山の方に神社があるよ」
え? と思わずオレは声に出してしまった。前世ではなかったはずの神社があるのだ。
ともあれ、オレは車道側を歩き、礼子は左側だ。そして、何気なく手を握ってみる。
「! あ、う、うん……」
礼子は最初は驚いたようだが、オレをチラっと見てはにかんで握り返してきた。
……これはいけるんじゃないか? 神社なら人通りも少ないし、裏山だから誰も来ないだろう。
「あの神社かな?」
しばらく歩くと左手に獣道のようになってしまっている細い道があった。草をかき分けというほどでもなかったが、オレは礼子の手を引きながら鳥居らしきものに向かって歩く。
「ちょ、ちょっと悠真……」
「あ、ごめん。痛かった?」
手を離そうとすると、ぎゅっと握り返された。
「ううん……もうちょっと繋いでたい」
「え? あ、うん……そうか。じゃあこのままで行こうか」
うん。これはまず、間違いない。
オレは前世ではなかったはずの神社で、礼子とキスしようと考えている。それが出来れば中1の段階ですでに4人目だ。人数どころか初キッスまで記録を更新している。
このままいけば、目標の中3までに童貞卒業も現実味を帯びてきたぞ!
オレは礼子の手を引いて鳥居をくぐる。
そして境内に足を踏み入れると、予想通りの古びた境内で何もない。狛犬がいて賽銭箱があった。オレ達2人はお賽銭を入れて、その横の石のベンチのようなものに腰をかけた。
「あ~、ちょっと狭いね。でも誰もいないしいいか」
この神社のご神体はあの大きな樹だろうか? 小ぶりだが太い幹の大樹がオレ達を見下ろすようにそびえている。うん、雰囲気はあるぞ。
「どうしたの?」
「いや、何でもないよ。さあ、食べよう」
オレは下心を悟られないように普通を装った。
礼子はにっこりと笑って学生鞄と一緒にもってきた小さなバッグに入った弁当箱を開ける。オレと礼子は置かれた弁当箱を2人でつっつきながら、色んな話をする。
「ねえ悠真?」
「ん、なんだい?」
「悠真って誰にでもやさしいよね?」
「え、そうか? 自分じゃよくわからんけど」
いーや、十分わかっている。転生してからずっと、それは計算でやっています。モテるために!
「そうだよ。女子の間でも人気だし、直接聞いた訳じゃないけど、噂になってるよ」
「へーどんな?」
エゴサーチへの欲求は今も昔も健在なのだ。ただ、その媒体がないだけ。
「うーん、例えばどんか子が好きなんだろう、とか。誰かと付き合ってるのかな、とか」
「へー」
おおお、予想以上に脱童貞路線をまっしぐらじゃないか! ニヤケが止まらない。
「でね、悠真。この前も言ったけど、私のお弁当、迷惑じゃない?」
礼子は不安げにこちらを見上げてきた。
「え、どうして?」
オレは冷静にそう返す。
「……ううん、なんでもないの」
礼子はそう言うと弁当箱に視線を落とした。
「あ、いや……迷惑じゃないよ。むしろ助かってるくらいだ。いつもありがとう」
これは本心だ。前世ではこんな美少女と一緒に弁当を食べるなんてなかったし、今世でもこんなにかわいい子と一緒にいられて幸せだ!
「本当? あ、あの……」
「うん?」
「……私ね、悠真が喜んでくれると、すごく嬉しいの」
「え……」
あれ、今オレ……告られた! ? 違うか?
あまりにストレートな言葉だったので、思わず勘違いしそうになった。落ち着け。ゆっくりいくんだ。12脳のオレは正式に女子と付き合ったことがないから、性欲だけが先行して空回りしてしまうのだ!
「……悠真?」
礼子はオレの顔を下から覗き込んできた。その目は潤んでいるように見える。オレはゴクリと唾を飲み込んだ。そしてゆっくりと顔を近づける。
「あ……」
礼子は目を閉じ、オレはそのまま唇を奪う。よし! ついに礼子とキスをした! いや、でも展開早すぎないか? もう1度オレと礼子の唇が重なり合う。心臓の鼓動が爆発するかのように鳴り響いている。
これはオレと礼子どっちの音なのか?
しばらくして、顔を離そうとした瞬間だった。
「ん……」
あれ! ? な、なんか舌がオレの口の中をまさぐっているんですけど! お、おいおいおい! ! いや、むしろ歓迎ですよ……。オレも舌を動かすと、礼子も舌を絡めてきてくれた。ああもう!
「ん……ちゅ……」
ヤバい、これは完全にスイッチが入った。オレはさらに大胆に舌を絡ませる。すると、礼子の腕がオレの首に回ってきた。これってOKだよね?
オレは礼子の胸を触ろうと左手を動かしたが、その時!
『止めておけ! まだ早い! この子とはまだ早い!』
脳天をぶち抜くような声が頭に響き、おれはゆっくりと、ゆっくりと体を離し、ディープキスからフレンチキス、そしておでこや頬へのキスに切り替えてクールダウンした。
なんでそんな事をしたのかわからない。51脳が指示をだしたのか? 確認しても答えはない。
……。
「帰ろっか……」
「うん……」
オレ達2人は神社を後にして、手をつなぎながら帰った。礼子は恥ずかしそうに顔を赤らめている。俺の顔は……鏡がないからわからないが、耳が火照っていたので、おそらく似たようなものだったのだろう。
礼子の家はわからなかった。玄関前まで送ろうとしたんだが、礼子がここでいい、といって拒んだのだ。
まあオレも実家は古い。あまり同級生に見せたい物じゃないから、似たようなものなのか? と思って納得した。
「遅え! ! 何やってたんだよ!」
「あ、ごめん、悪い……」
次回 第19話 (仮)『スクール水着と先生との交渉』
「ああ~終わった終わった~」
と頭の上で両手を組んで伸ばす美咲。制服越しの胸のシルエットが美しい。
「ほんっと~、私理科と社会苦手だあ~」
同じように伸びをする凪咲。こちらもいい感じ。うーん、BからC? いやBよりのC?
「ふふふ。私は国語と社会が苦手かな……」
おっとり純美は机の筆箱を整理している。こちらはなにもしなくても美巨乳 。
今のところ、純美が先頭を走っている。事故とは言え胸を触り、そしてこの前キスをして胸を触っても抵抗がなかった。これは次はいけるか! ? と期待大!
2番は美咲だ。顔で言えば1番のタイプであるが、スタイルもいい。神社でキスをしたものの、胸を触ろうとしたらストップがかかった。うーん、慎重に事を運ばねば。
途中からのダークホースで先頭に躍り出るかと期待大だった凪咲だが、修学旅行でキスはしたものの、それ以降が続かない。オレ達の関係性に疑問を抱いているのか、それとも他に男が?
そして最新ニュースは礼子だ。
キスとかそういうのはまだだが、オレに好意を持っているのは間違いない。で、あればやり方によっては、ある。
……なんて事を2組から1組の教室に向かう廊下に出る前、オレは考えていた。まあ中学生~20代の男なんてみんなサルだからな(横暴! 極論! 偏見!)。ヤル事しか考えていない。
中間テストはまずまずで、学年順位が出ていたが、確か7位以だった。学年で60人足らずの学校だからレベルも知れたものだが、今回から学力診断(学診)テストを受ける。
早い時期から全国レベルのでどのくらいの学力かを知っておくべきだと思ったからだ。これは先生からじゃなく、オレが親父達やじいちゃんに言って受けさせて貰えるようにした。
「あ、悠真~今日は練習できないでしょ? 私達もないから、一緒に帰ろうよ」
と美咲が言ったので、凪咲と純美も同調して声をかけてきた。
テスト期間中は部活動がない。したがってオレと祐介も練習ができない。
「ああ悪い! 今日は祐介んとこ行って練習するんだ。ゴメンな」
「じゃあ私達も行っていい? ね! 行こうよ2人とも!」
美咲は凪咲と純美を誘って多数決に持ち込もうとしているようだ。この状況で多数決も何もないのだが。
「え? いやそれはちょっと難しいかな……。オレは前もって言ってるけど、それに1回帰らないと親が心配するだろ?」
「うーん」
3人は迷っているようだが、仕方がないと諦めたようだ。
「わかった。じゃあまた明日ね♪」
本当は祐介と一緒に練習するのが目的ではない。いや、確かに練習はするのだが、それよりもファーストミッションがあったのだ。
「ごめん、待った?」
「ううん、ぜんぜん」
中学校の目の前には国道が通っていたが、坂道だったので、正門では平坦でも裏門は小高い丘の様になっていた。裏門から上り下りして出入りするのだ。
周囲を誰もないのを確認して、オレは礼子と待ち合わせをして一緒に帰ることになった。
祐介が転校してきたのは南小の校区で、礼子も南小出身だから方向は同じになる。祐介にはなんだかんだ理由をつけて先に帰って貰ったのだ。ちなみに西小出身者は歩いて帰るが、南小出身者は若干遠い事もあり、バス通学である。
今思えば、オレもバス通学に憧れたものだ。高校では毎日バスに乗るのだが、この時は知るよしもない。
だから、裏門はあるが、ほとんど使わない。南小出身者は正門前にあるバス停を使うからだ。
見つかる可能性はないが念には念を入れる。
「悪かったね。今日も弁当作ってくれたんでしょ? ちゃんと言っておけば良かったよ。あんまり礼子の弁当が美味いから、甘えちゃった」
オレは頭をかいて笑った。
なんだ、美咲や凪咲とも、純美とも違う感覚だぞ?
「ううん、いいの。それより悠真が気に入ってくれて嬉しかった。これからも作るね」
「うん。どこで食べようか」
オレ達2人は秘密で一緒に帰り、その途中で弁当を食べようという計画をたてたのだ。30分後くらいにバスが来るから、それまでに隠れて弁当が食べられる場所を見つけなければならない。
裏門を降りて国道に出たオレ達は、自販機でジュースを買って帰り道を急ぐ。
「ねえ、この辺で食べられるとこあったっけ?」
オレは礼子に聞いてみる。なにしろ、こっちの方角は行ったことが(今世では)ないのだ。前世の記憶では、たしか民家もまばらで何もなかったはずだ。
「うーんと、確かこっちの裏山の方に神社があるよ」
え? と思わずオレは声に出してしまった。前世ではなかったはずの神社があるのだ。
ともあれ、オレは車道側を歩き、礼子は左側だ。そして、何気なく手を握ってみる。
「! あ、う、うん……」
礼子は最初は驚いたようだが、オレをチラっと見てはにかんで握り返してきた。
……これはいけるんじゃないか? 神社なら人通りも少ないし、裏山だから誰も来ないだろう。
「あの神社かな?」
しばらく歩くと左手に獣道のようになってしまっている細い道があった。草をかき分けというほどでもなかったが、オレは礼子の手を引きながら鳥居らしきものに向かって歩く。
「ちょ、ちょっと悠真……」
「あ、ごめん。痛かった?」
手を離そうとすると、ぎゅっと握り返された。
「ううん……もうちょっと繋いでたい」
「え? あ、うん……そうか。じゃあこのままで行こうか」
うん。これはまず、間違いない。
オレは前世ではなかったはずの神社で、礼子とキスしようと考えている。それが出来れば中1の段階ですでに4人目だ。人数どころか初キッスまで記録を更新している。
このままいけば、目標の中3までに童貞卒業も現実味を帯びてきたぞ!
オレは礼子の手を引いて鳥居をくぐる。
そして境内に足を踏み入れると、予想通りの古びた境内で何もない。狛犬がいて賽銭箱があった。オレ達2人はお賽銭を入れて、その横の石のベンチのようなものに腰をかけた。
「あ~、ちょっと狭いね。でも誰もいないしいいか」
この神社のご神体はあの大きな樹だろうか? 小ぶりだが太い幹の大樹がオレ達を見下ろすようにそびえている。うん、雰囲気はあるぞ。
「どうしたの?」
「いや、何でもないよ。さあ、食べよう」
オレは下心を悟られないように普通を装った。
礼子はにっこりと笑って学生鞄と一緒にもってきた小さなバッグに入った弁当箱を開ける。オレと礼子は置かれた弁当箱を2人でつっつきながら、色んな話をする。
「ねえ悠真?」
「ん、なんだい?」
「悠真って誰にでもやさしいよね?」
「え、そうか? 自分じゃよくわからんけど」
いーや、十分わかっている。転生してからずっと、それは計算でやっています。モテるために!
「そうだよ。女子の間でも人気だし、直接聞いた訳じゃないけど、噂になってるよ」
「へーどんな?」
エゴサーチへの欲求は今も昔も健在なのだ。ただ、その媒体がないだけ。
「うーん、例えばどんか子が好きなんだろう、とか。誰かと付き合ってるのかな、とか」
「へー」
おおお、予想以上に脱童貞路線をまっしぐらじゃないか! ニヤケが止まらない。
「でね、悠真。この前も言ったけど、私のお弁当、迷惑じゃない?」
礼子は不安げにこちらを見上げてきた。
「え、どうして?」
オレは冷静にそう返す。
「……ううん、なんでもないの」
礼子はそう言うと弁当箱に視線を落とした。
「あ、いや……迷惑じゃないよ。むしろ助かってるくらいだ。いつもありがとう」
これは本心だ。前世ではこんな美少女と一緒に弁当を食べるなんてなかったし、今世でもこんなにかわいい子と一緒にいられて幸せだ!
「本当? あ、あの……」
「うん?」
「……私ね、悠真が喜んでくれると、すごく嬉しいの」
「え……」
あれ、今オレ……告られた! ? 違うか?
あまりにストレートな言葉だったので、思わず勘違いしそうになった。落ち着け。ゆっくりいくんだ。12脳のオレは正式に女子と付き合ったことがないから、性欲だけが先行して空回りしてしまうのだ!
「……悠真?」
礼子はオレの顔を下から覗き込んできた。その目は潤んでいるように見える。オレはゴクリと唾を飲み込んだ。そしてゆっくりと顔を近づける。
「あ……」
礼子は目を閉じ、オレはそのまま唇を奪う。よし! ついに礼子とキスをした! いや、でも展開早すぎないか? もう1度オレと礼子の唇が重なり合う。心臓の鼓動が爆発するかのように鳴り響いている。
これはオレと礼子どっちの音なのか?
しばらくして、顔を離そうとした瞬間だった。
「ん……」
あれ! ? な、なんか舌がオレの口の中をまさぐっているんですけど! お、おいおいおい! ! いや、むしろ歓迎ですよ……。オレも舌を動かすと、礼子も舌を絡めてきてくれた。ああもう!
「ん……ちゅ……」
ヤバい、これは完全にスイッチが入った。オレはさらに大胆に舌を絡ませる。すると、礼子の腕がオレの首に回ってきた。これってOKだよね?
オレは礼子の胸を触ろうと左手を動かしたが、その時!
『止めておけ! まだ早い! この子とはまだ早い!』
脳天をぶち抜くような声が頭に響き、おれはゆっくりと、ゆっくりと体を離し、ディープキスからフレンチキス、そしておでこや頬へのキスに切り替えてクールダウンした。
なんでそんな事をしたのかわからない。51脳が指示をだしたのか? 確認しても答えはない。
……。
「帰ろっか……」
「うん……」
オレ達2人は神社を後にして、手をつなぎながら帰った。礼子は恥ずかしそうに顔を赤らめている。俺の顔は……鏡がないからわからないが、耳が火照っていたので、おそらく似たようなものだったのだろう。
礼子の家はわからなかった。玄関前まで送ろうとしたんだが、礼子がここでいい、といって拒んだのだ。
まあオレも実家は古い。あまり同級生に見せたい物じゃないから、似たようなものなのか? と思って納得した。
「遅え! ! 何やってたんだよ!」
「あ、ごめん、悪い……」
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