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第44話 『オレファンクラブと祐介ファンクラブ』
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1985年(昭和60年)12月15日(日) <風間悠真>
よし、現状を整理しよう。
美咲……キス&おっぱい+α。
凪咲……キス&おっぱい&スカートの下。
純美……キス&おっぱい+α。
礼子……キス&おっぱい+α……エッチの一歩手前?
菜々子……手をつなぐだけ。
恵美……好意のみ。
山本先輩……別格。なんというか今のオレの(12脳の)何歩も先を行っているような大人の女性。
うーん、菜々子と恵美は別として、他の4人は押し切ってやっちゃえばヤレそうな気がしないでもないんだけど、最後の砦というかなんというか、それで一気にハーレム状態が崩れそうで怖いのはあるな。
まあ、いいか。卒業までに考えよう。
2年の終わりまでに途中まで進めばいいよな。
あ、それから今月はクリスマスもあるじゃん。これはさすがに1人でってわけにはいかないか。
全員一緒にパーティーやるか?
■PM2:00
最初はオレ達は個人の自宅で練習するか、祐介の自宅のガレージで練習していたのだが、日曜日にはときどき町の文化ホールの一室を借りて練習するようになっていた。
その名も『五峰町文化ホール』
ベタすぎる名前だ。シーサイドモールの近くにあって、国道沿いだからアクセスも良かった。
「あれ? あの子たちなんなん?」
オレが休憩のために自販機でジュースを買おうとしてエントランスに出ると、数人の女子中学生が小ホールをじっと見つめていた。
見た感じ、他の中学校の制服だ。
「ねぇねぇ、あの人、NICKEY&YUMAの……」
小声で話している声が聞こえる(ような気がする)。オレ達のバンド名だ。
へえ……オレ達のファンかな?
正直、ちょっと誇らしい気分になる。合同音楽祭の評判が他校にも広がっているみたいだ。
「あ! 風間くんだ!」
一人が気づいて声を上げた。他の子たちも振り向く。
「えーと、その……先日の合同音楽祭で演奏を聴かせてもらいました!」
「かっこよかったです! 特にあの洋楽の曲が」
照れくさいような、でも嬉しいような気分だ。12脳が浮かれそうになるのを、51脳が抑えている。
「ありがとう。でも、まだまだ練習中なんだよね」
「あの……その……練習、見学させてもらえませんか?」
うーん、どうしようか。
今日は新曲の練習をしてるし、でも、こういう熱心なファンを大切にするのも大事だ。
「ちょっと待ってね。祐介に聞いてくるから」
オレは女たちを待たせて小ホールに戻り、祐介に確認する。
「……てなわけだけど、どうする?」
「へえ、俺たちのファンか」
祐介も目を輝かせる。こいつはバンドのことになると本気だからな。
「いいんじゃない? 見学くらい。それに……」
祐介がニヤリと笑う。
「なあ、今って仮のメンバーだろ? もしかしたら、その子たちの中に才能のある子がいるかもしれないぜ」
なるほど。祐介らしい考えだ。確かにドラムやキーボード、それにギター(ボーカル)の経験者がいれば……。
「いやいや、女だぞ? VixenやGirlschoolはあるけど、あれは全員女だからな。差別じゃないけど、ちょっとリスキーだぞ?」
「女だからってのはないだろ。才能あるやつはいるはずだし。なあ、まずは見学させてみようぜ」
この提案には一理あるし、確かにその通りだと思う。でも、でもね。男と女なんだよ。もし恋愛問題に発展して、途中脱退とかになったらどうするんだ? そういう意味でリスキーなんだよ。
プロを目指すなら、性別なんて関係ない。むしろ、話題性という意味じゃプラスかもしれない。でも、プロでさえ、その恋愛関係のもつれで解散なんてうわさもいろいろ聞いた(前世)。
「わかった。じゃあ、呼んでくるよ」
エントランスに戻ると、女子たちはまだ待っていた。
「見学、いいよ。ただし静かにね」
「は~い!」
「風間くん、すごかった! 特にギターソロのときの指の動きが……」
「もう1回見せて~!」
「私、ドラムをちょっとやってたんだけど……」
練習後、見学に来た女子たちがオレの周りに集まってキャッキャしている。
正直、この雰囲気は悪くない。12脳が完全にご機嫌だ。一方祐介は、少し離れたところでクールに機材の片付けをしている。彼女持ちだからな。こういう時の対応は手慣れたものだ。
「ねえねえ、次はいつ練習するんですか?」
「また見に来ていい?」
「私も楽器やってみたいな~」
オレがデレデレと応対している時だった。
「悠真~♪ 差し入れ持ってき……」
……げっ!
美咲の明るい声が、ピタリと止まる。
「あれ? 随分とにぎやかだね……」
今度は凪咲の冷たい声。
「まあまあ、みんな落ち着いて……」
純美が間に入ろうとしているが、顔は笑っていない。
「ふーん、こんなところで何をしてるのかな?」
礼子まで来てるじゃないか!
51脳が警告を発する。これはマズい、本当にマズい。修羅場確定だ。
「え? 風間くんのお知り合い……?」
見学組の女子が不安そうな声を上げる。祐介がクールに苦笑いを浮かべながら、小声で言う。
『おまえ、刺されんなよ』
「え? いや……これは何て言うか、君たちが1期生で、彼女たちが2期生……みたいな?」
オレの美咲達への返事は苦しい言い訳だが仕方がない。だって男の子なんだから! こんな状況で鼻の下を伸ばすのは生理現象だ! それにバンドをやっていれば遅かれ早かれこんな時期はくる。
たまたま早かっただけだ……。
と、美咲たちにはなんとか納得してもらったオレであった。
次回 第45話 (仮)『クリスマスと大みそか、そして正月』
よし、現状を整理しよう。
美咲……キス&おっぱい+α。
凪咲……キス&おっぱい&スカートの下。
純美……キス&おっぱい+α。
礼子……キス&おっぱい+α……エッチの一歩手前?
菜々子……手をつなぐだけ。
恵美……好意のみ。
山本先輩……別格。なんというか今のオレの(12脳の)何歩も先を行っているような大人の女性。
うーん、菜々子と恵美は別として、他の4人は押し切ってやっちゃえばヤレそうな気がしないでもないんだけど、最後の砦というかなんというか、それで一気にハーレム状態が崩れそうで怖いのはあるな。
まあ、いいか。卒業までに考えよう。
2年の終わりまでに途中まで進めばいいよな。
あ、それから今月はクリスマスもあるじゃん。これはさすがに1人でってわけにはいかないか。
全員一緒にパーティーやるか?
■PM2:00
最初はオレ達は個人の自宅で練習するか、祐介の自宅のガレージで練習していたのだが、日曜日にはときどき町の文化ホールの一室を借りて練習するようになっていた。
その名も『五峰町文化ホール』
ベタすぎる名前だ。シーサイドモールの近くにあって、国道沿いだからアクセスも良かった。
「あれ? あの子たちなんなん?」
オレが休憩のために自販機でジュースを買おうとしてエントランスに出ると、数人の女子中学生が小ホールをじっと見つめていた。
見た感じ、他の中学校の制服だ。
「ねぇねぇ、あの人、NICKEY&YUMAの……」
小声で話している声が聞こえる(ような気がする)。オレ達のバンド名だ。
へえ……オレ達のファンかな?
正直、ちょっと誇らしい気分になる。合同音楽祭の評判が他校にも広がっているみたいだ。
「あ! 風間くんだ!」
一人が気づいて声を上げた。他の子たちも振り向く。
「えーと、その……先日の合同音楽祭で演奏を聴かせてもらいました!」
「かっこよかったです! 特にあの洋楽の曲が」
照れくさいような、でも嬉しいような気分だ。12脳が浮かれそうになるのを、51脳が抑えている。
「ありがとう。でも、まだまだ練習中なんだよね」
「あの……その……練習、見学させてもらえませんか?」
うーん、どうしようか。
今日は新曲の練習をしてるし、でも、こういう熱心なファンを大切にするのも大事だ。
「ちょっと待ってね。祐介に聞いてくるから」
オレは女たちを待たせて小ホールに戻り、祐介に確認する。
「……てなわけだけど、どうする?」
「へえ、俺たちのファンか」
祐介も目を輝かせる。こいつはバンドのことになると本気だからな。
「いいんじゃない? 見学くらい。それに……」
祐介がニヤリと笑う。
「なあ、今って仮のメンバーだろ? もしかしたら、その子たちの中に才能のある子がいるかもしれないぜ」
なるほど。祐介らしい考えだ。確かにドラムやキーボード、それにギター(ボーカル)の経験者がいれば……。
「いやいや、女だぞ? VixenやGirlschoolはあるけど、あれは全員女だからな。差別じゃないけど、ちょっとリスキーだぞ?」
「女だからってのはないだろ。才能あるやつはいるはずだし。なあ、まずは見学させてみようぜ」
この提案には一理あるし、確かにその通りだと思う。でも、でもね。男と女なんだよ。もし恋愛問題に発展して、途中脱退とかになったらどうするんだ? そういう意味でリスキーなんだよ。
プロを目指すなら、性別なんて関係ない。むしろ、話題性という意味じゃプラスかもしれない。でも、プロでさえ、その恋愛関係のもつれで解散なんてうわさもいろいろ聞いた(前世)。
「わかった。じゃあ、呼んでくるよ」
エントランスに戻ると、女子たちはまだ待っていた。
「見学、いいよ。ただし静かにね」
「は~い!」
「風間くん、すごかった! 特にギターソロのときの指の動きが……」
「もう1回見せて~!」
「私、ドラムをちょっとやってたんだけど……」
練習後、見学に来た女子たちがオレの周りに集まってキャッキャしている。
正直、この雰囲気は悪くない。12脳が完全にご機嫌だ。一方祐介は、少し離れたところでクールに機材の片付けをしている。彼女持ちだからな。こういう時の対応は手慣れたものだ。
「ねえねえ、次はいつ練習するんですか?」
「また見に来ていい?」
「私も楽器やってみたいな~」
オレがデレデレと応対している時だった。
「悠真~♪ 差し入れ持ってき……」
……げっ!
美咲の明るい声が、ピタリと止まる。
「あれ? 随分とにぎやかだね……」
今度は凪咲の冷たい声。
「まあまあ、みんな落ち着いて……」
純美が間に入ろうとしているが、顔は笑っていない。
「ふーん、こんなところで何をしてるのかな?」
礼子まで来てるじゃないか!
51脳が警告を発する。これはマズい、本当にマズい。修羅場確定だ。
「え? 風間くんのお知り合い……?」
見学組の女子が不安そうな声を上げる。祐介がクールに苦笑いを浮かべながら、小声で言う。
『おまえ、刺されんなよ』
「え? いや……これは何て言うか、君たちが1期生で、彼女たちが2期生……みたいな?」
オレの美咲達への返事は苦しい言い訳だが仕方がない。だって男の子なんだから! こんな状況で鼻の下を伸ばすのは生理現象だ! それにバンドをやっていれば遅かれ早かれこんな時期はくる。
たまたま早かっただけだ……。
と、美咲たちにはなんとか納得してもらったオレであった。
次回 第45話 (仮)『クリスマスと大みそか、そして正月』
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