『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

姜維信繁

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第53話 『1組と2組、男女別の性教育』

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 1986年(昭和61年)2月6日(木) <風間悠真>

 寒い。小学校は寒い日は教室の真ん中にストーブがあったが、中学にはない。

 なぜだ? なぜ無意味な事をする。寒いのだ。子供は風の子なんてクソみたいな慣習だぞ。その証拠に令和の時代にそんな事をいっている教師は業界から抹殺される。(多分)




「よーし、じゃあみんな、教科書の24ページを開いて」

 保健体育の川田(宗一郎)先生が黒板に『心身の発達と心の健康』と書き始める。

 後ろの席では康介がすでにふざけ始めていた。
 
「先生! 彼女とキスするときのコツを教えてください!」

「おー康介、お前彼女いるのか?」

 川田が康介(佐藤康介)に答えると、教室が爆笑に包まれる。

「お前、彼女いないじゃん」

 と秀樹(原田秀樹)が突っ込む。『うるせー!』と康介が返してまた笑いが生まれる。

 あーまあ、なんだ。男子中学生だなあ……とオレは思いながら聞いていた。

「まあ、その辺のところは彼女が出来てからだな……。ふふっ……。それからキスの仕方なんて、セオリーはあるだろうけど、人それぞれだぞ。教えられたってファーストキスなんて焦りまくって、先生なんにも憶えてないしな。まあ、そんなもんだ」

 川田はキスの話題を切り上げて授業に入ろうとするが、今度は大前祐二がからかうように声を上げた。

「じゃあせんせーい。その先を教えてください~。初めては焦りまくるっていっても、好きな子なら失敗したくないし、嫌われたくないでしょう?」

 まあ、祐二の言いたい事もわかる。

 それも青春の淡い思い出だ、なんて言えるのは何年も経って笑い話になってからだ。

 初めてでも男は女をリードしなくちゃいけない、恥をかかせちゃいけない、格好つけたいというのがいつの時代でも男の願望だ。

 女にとってみれば一所懸命考えてくれているってだけで、幸せや愛されていると感じるんだろうが、そんなもんは男はわからんのだ。特に中1で、いや大人になっても完全にはわからんのかもしれない。

「うーん、その後っていっても範囲が広すぎるからこの1時間で教える事は難しいなあ……」

 川田は懸命に教科書の話題に進めようとするが、勢いに乗った男子中学生の性への欲求は止められない。言ってしまえば公然と、誰はばかることなく(女子を除く)聞けるのだ。

 このチャンスを逃すはずがない。

 オレは面白くなってきたのでこの件を黙って聞いてみようと思った。

 ……ああ、なんかそう言えば前世でも似たような記憶があるな。

「じゃあ先生、前に言いましたよね? 知りたいと思うのは正常な感情でおかしい事じゃないって。健全な男子で女子の体に興味が湧くのは正しい反応だけど、自分で責任がとれないことは絶対にするなって。それはなんですか? それから責任が取れるのはいつからですか?」

 おお、鋭いところをついてくるな、祐二。

 確かに言い得て妙だ。男女の体の違いや成長過程、精通や初潮については教科書に書いてある。でも1番大事といっても過言じゃない事については、書いてないんだよ、この時代の保健体育の教科書には。

 ……要するに避妊の事ね。まあそれに関しては射精や着床のメカニズムが前提にあるんだが、やっちゃいけない事としなければならない事を、はっきり知っておく事は大事なんだよ。

 性欲とその知識を踏まえた理性との戦いなんだから。

「そうだな、祐二。確かに大事な質問だ」

 川田先生は少し考え込むような表情を見せる。

「まず責任を取れる年齢っていうのは、法律で定められているんだ。それは男子は18歳から、女子は16歳から。でも法的に大人は男女とも同じで20歳から。でも……」

 法的に結婚できる年齢と、法的に責任能力があるとされる大人になる年齢だな。

「じゃあ先生、20歳はわかるけど、オレ達は18歳までセックスしちゃダメってこと?」

「えー! そんな先まで待てないよー」

 祐二の言葉に康介が椅子から立ち上がって声を上げる。

「遅すぎだろー」
 
 誰かが後ろの席で声を上げた。わはははは! と教室に笑いが広がる。

「まあ、そうじゃなくて、責任を取るっていうのは、結果に対して自分で対処できるってことなんだ。例えば……」

 川田はどうやら諦めたようだ。質問に答えてから、その後になぜなら~という風に教科書の内容に移ろうとしているように見えた。

「先生!」

 今度は正人がからかうように声を出す。

「やり方教えてくださいよ!」

「バッカじゃねーの!」
 
「うっせーよ!」

 教室がまた笑いに包まれる。




 ■隣の女子クラス

「やり方教えてくださいよ!」

「バッカじゃねーの!」
 
「うっせーよ!」




「まったく、男性は年齢関係ないわね」

 女子の保健体育教師で女子バレー顧問の渡辺美由紀は、教科書の端をトントンと音をならしながら教壇で叩いている。男子生徒の声を聞きながら、ため息混じりにつぶやいた。

 中学男子がヤル事しか考えていないのを、当然見抜いているのだ。

 多少の語弊はあるかもしれないが、あながちそれは嘘ではない。最近は中性的とか草食系(死語?)という男も増えて来たが、当時(今)は男は男らしくあるべき! という社会通念だったのだ。

「はい、じゃあ続きを始めます。女の子は男の子と違って体が丸みをおびて……」

 身体的な成長と男女の違い、そしてあくまで学問的に生理や精通、射精や着床を淡々と話す。

「先生、それはいつくらいにくるんですか?」

「そうねえ……。こればっかりは個人差があるけど、大体10歳~15歳くらいかな。体格がいいとか、成長が早い子のほうが早いと言われているわね。でも悩むことはないし、早いからどう、遅いからどうという事はないわ」

 中島真理の質問に、渡辺は静かに答えた。

 男女混合のクラスから、2組は男子で1組は女子と合流したものだから、必然的に美咲と凪咲なぎさ純美あやみと礼子は固まってグループになっていて、その隣に菜々子と恵美がいた。




「ねえみんな、あの……正直に話してくれる?」

 美咲が他の3人に対して聞いた。

 保健体育は受験科目でもないので、男女ともに授業風景は比較的自由でフランクな感じだ。だからもはや授業の体をなしていない。この時間だけ小学校に戻った感じだ。

「あの……その、悠真と……どこまでした? ……キスは?」

 ヒソヒソ話だ。

 キスは悠真と凪咲がしたのが初めてで、美咲と純美がショックを受けた事があった。しかしその後の1年5か月の間に、それぞれに進捗があったのだ。

「あのさ……悠真のことだから、多分みんなともしてると思うんだけど、今だから言うけど、私の初キスは修学旅行の時だったの」

「 「ええーっ!」 」

 美咲と純美が大きな声をあげる。

「そこ! 静かに!」

 渡辺が注意してたしなめるも、先生の話を聞くグループと勝手にやっているグループがある。美咲たちは後者だ。

「あーもう! 男子のせいでおかしくなったわね。いいわ、自由に友達と喋りなさい。質問があったら答えるわよ」

 渡辺も川田同様に脱線し尽くしてから教科書に戻ろうと考えたようだ。恐るべし中学生。




「凪咲、あれ、してなかって……そう見えただけだって、嘘だったの?」

「信じられない……」

 美咲の言葉に純美も続いた。

「あ、違うよ! 悠真がそう言ったから、その場ではそう言う方がいいかなって思っただけだよ。でも、別にだますつもりなんてなかったんだってば」

「……」

「……」

 微妙な空気が流れたが、中学合流の礼子が場を和ませた。

「みんないいなあ……私、悠真と出会ったのは中学からだから、みんなより短いんだ。なんか羨ましい。でもこれだけはどうにもならないんだよね」

 礼子が言葉の通りに羨ましそうに3人を見た。

「うーん、まあいいか。もうそれは仕方ないってことでしょ。今さら言ってもどうにもならないしね」

 礼子の言葉で美咲が話題を変えようとする。言い出しっぺなのに……。

「じゃあ凪咲は別として、みんなはもう、その……悠真と、した? キスは?」

 美咲は純美と礼子の状況を聞き出そうと質問を続ける。

「私から言うね……えっと、私は……去年の4月、入学してすぐだったんだ」

 美咲の顔が赤い。次は純美だ。

「私は去年の6月……家で、あの……勉強会の時」

 えええ! ? という顔をして見合わせる美咲と凪咲。言葉にならない美咲と凪咲だが、しばらくして礼子が声に出す。

「やっぱり私が1番後だね。私も去年の6月で純美より後かな……。でもみんなのキスはどうかわからないけど、私のキスは最初っからその……くっつけるだけじゃなくて、舌を入れて……」

 ……今度は他の3人が固まった。

 それを言ってしまえば、美咲は事故とはいえ悠真に上半身裸を見られたのが2年前の9月だし、おなじく悠真が純美のオッパイを触ったのも同じ日だ。これも事故。




「えっと……じゃあ、みんなその先は……」

 美咲がそう言ったが、誰も顔を真っ赤にして口に出さない。

 隣の教室からは相変わらず男子のバカっぽいエロい質問が聞こえていた。




 次回 第54話 (仮) 『転生後2回目のバレンタインデー』
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