皇太子から婚約破棄を言い渡されたので国の果ての塔で隠居生活を楽しもうと思っていたのですが…どうして私は魔王に口説かれているのでしょうか?

高井繭来

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第1章

22話

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 ドキドキします。
 今私はフカフカのベッドの上で正座をしております。
 大きな天蓋付きベッドです。
 これ5人は余裕で寝れるんじゃないでしょうか?
 ここは魔王の寝室です。
 いえ、今日から私と魔王の寝室です。
 無駄な家具が置いていないのが魔王らしいです。
 広い部屋は魔王の匂いが満ちていて、それだけで魔王に抱きしめられている気になります。
 あぁ本当はしたない。
 顔が上気して熱いです。

 寝室は魔王と同じですが私の部屋は別にあります。
 寝室の隣の部屋です。
 扉で繋がっているので簡単に移動できます。

 私の家具などはそこに全て置かれています。
 淑女の嗜みとして着替えやメイクなどドレスアップをするのが目的の部屋です。
 流石に寝室にメイドさんは入れないので。
 私としては傍付のメイドさんは必要ないのですが…。
 メイクなど仕方分からないので確かに自分の部屋は必要ですね。
 メイクの必要のないミヤハルさんが羨ましいです。

 そう言えばミヤハルさんは宮廷には住んでいないそうです。
 何でも王都に家を建てて住んでいるとか。
 これから毎日会えると思っていたのでちょっと残念です。

 でもミヤハルさんがゾロゾロとメイドさんを連れているのは想像出来ないのでらしいな、と思います。
 小さな屋敷にミヤハルさんとエントビースドさん、それに屋敷で働く使用人が3人ほどのおおよそ王族とは思えない庶民的な生活をしているそうです。
 普通に王都を歩き回っているのだとか。
 今度王都案内して貰えるでしょうか?

 【魔国王都ウォーカー】に載っていた人気のラーメン店と言う処に連れて行って貰いたいです!

 本を読んでるだけで涎が零れそうになったんですよね。
 勿論今日のシェフの晩餐もとても美味しかったです。
 魔王のお菓子の次に美味しかったですよ。
 でも外食!
 外でご飯を食べるなんて経験が無いです!
 是非外食と言うものをしてみたいです。
 ミヤハルさんと一緒ならメイドさんも付いてこないでしょうし。

 何より、その、”姉妹水入らず”でお出かけとかちょっと憧れているんですよ。
 ”姉妹”とかちょっと気が早すぎたでしょうか!?
 でもミヤハルさんも私の事”将来の妹”と言ってくれているので大丈夫ですよね!?

 魔王だって此処まで私を連れてきておいて、結婚しないとか、無いですよね?
 ”番”だと言ってくれましたし…。

 あぁ魔王が早く来ないから色んな事考えて頭がグルグルするじゃないですか!
 早く来て下さいよ魔王!
 いえ、やっぱりもう少し心の準備が出来るまで来なくて良いです。

 深呼吸、深呼吸。
 ヒッヒッフー。
 確か緊張をほぐすのにはこの呼吸法が良いんでしたよね?
 昔読んだ本に書いてあった気がします。
 こんなことなら本の1冊でも持ち込んでおけば良かったです。
 でも寝室にも私の私室にも本は置いてありません。

 本は宮殿に図書室があるので何時でも読んで良いそうです。
 流石に今から突撃するほど常識知らずじゃないですよ?
 夜に魔王の番が1人で王宮出歩いたら大問題ですよね?
 魔王の番がこの国でどの程度の位の位置かは分かりかねますが。

 昼間なら何時でも好きに王宮歩いて良いそうです。
 それにもメイドさんは付いてくるらしいのですが。
 1人の時間が欲しい…。
 明日から傍仕えのメイドさんが始終いる生活に耐えられるでしょうか?

 でも夜は魔王と2人きりなんですよね。
 もう魔王が帰るのを見送らなくて良いんですよね?
 
 寂しい夜を過ごさなくて良いのです。

 これからは魔王とずっと一緒に寝る事が出来るのですから。

 そう、これからは魔王と一緒に毎日寝れます。
 男女が一緒のベッドに寝る。
 そこにどう意味が含まれるか分かってはおります。
 でも、私は今日初めてキスをしたばかりの恋愛経験値0の女です。
 流石に魔王がそう言った行為をしたことがない、何てことはあり得ないでしょう。
 なにせ2000歳超えていますから。
 見た事ない魔王の過去の相手に嫉妬してしまします。
 きっと綺麗な顔とセクシーな身体の魅力的なお姉さん達が相手に違いありません!

 魔王の浮気者ー!

 と、叫びたいのですが私が生まれる前の事なので文句のつけようがありません。
 せめて最後の女の座は譲りたくないです!
 あぁせめてもう少しソチラの勉強もしておくのでした。

 【男を喜ばすテクニック、大人の恋愛の仕組み】をちゃんと読んでおけば良かったです!

 折角ミヤハルさんがバッグに入れてくれていたのに!
 魔王とこんな関係になるなんて想像もつかなかったので後回しにした過去の私が恨めしいです!

 ギィ

 私の私室のと反対側の扉が開きました。
 反対側には魔王の私室があります。
 今日の仕事を終えて湯浴みと着替えをして寝室に来たのです。
 私の心臓がバクバクと高鳴ります。

「待たせて悪かったなリコリス。先に寝てても構わなかったのだぞ?」

 うわー!
 魔王少ししっとりした黒髪が艶めかしいです!
 何でガウンなんですか!
 そんな守備力の低い寝着なんて少し激しく動いたらポロリしちゃうじゃないですかー!!
 私以外に裸見せるなんて絶対ダメなんですからね!
 あ、でも開けた胸元の胸筋が素敵です。
 ついつい横目で見ちゃいます。
 ガン見なんて淑女にあるまじき事はさすがにしません。

 魔王クスクス笑うの止めて下さい。

「真っ赤になったり頬が膨れたり、見てるだけで飽きないなリコリスは」

 あぅ、腰にくるテノールボイスで囁かれてしまいました。
 私の心の守備力が大幅に削られます。
 誰か私のメンタル強化の魔法をかけて下さい!
 こんな色気垂れ流す歩く猥褻物とベッドで2人きりなんてやっぱり無理です―――!!!

 ギシッ

 魔王がベッドに乗り上げてきました。
 私の頬に手を差し伸べて優しく撫でます。
 気持ちが良くてうっとりとしてしまいます。

「寝着姿は初めて見たな。正直心が昂って優しく出来そうにない」

 しれっと何言ってんですか魔王ー!
 恋愛経験値0を舐めないで下さい!
 そんな色気ある目で見られて平静キープできるメンタルは私にはありませんよ!!

 プシュー

 完全に頭に血が上り私はショートしてしまいました。
 魔王が揺り動かしますが私のライフはもう0です。
 すみません魔王。
 今日はお休みなさいです…。
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