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その後

騎士団長だって本気の恋をする6

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「ケーキおいしっ!!」

 フォークでケーキを1口口に含み思わず声が出た。
 3種のケーキの盛り合わせ。

 1番最初に食べたのは苺の乗った白いケーキ『シャンベリー』
 シャンパンとバニラの豊潤な香りが特徴のムースだ。

「ベリーソースとシャンパンの香りがふわわわ~!そして甘さがすっごく控えめ。ケーキなのにあんまり甘くなくて、なんというか「大人のムース」っていう味わいで美味し~♡」

 もう1口目でオウマの顔は蕩けきっている。
 これは別の男と食事に行かせられないな、とアムカは思った。
 何と言うか、可愛い。
 そう可愛いのだ。
 ちょっぴりのあざとさをスパイスに、純粋無垢な目でキラキラされると男にはたまらない。
 自分に気があると勘違いするもの大多数だろう。
 だからユラに薄い本のモデルとして目を付けられるのである。

「こっちはどうかな~?」

 少し色の変わったモンブラン『モンブラン ~フレーズ&スリジェ~』
 
「ぱっと見は単純にモンブランなのかなぁと思ったら食べてびっくり、栗じゃない!ほうじ茶の香りもするし、柚子もアクセントになっていて、ストロベリーと、ほのか~に桜の香りも楽しめる~♪
さくらさくらしてないけど、あ、桜だな。みたいな。クリーム好きの俺にはドンピシャ!んで、最後の1つは~」

 カップに入った緑が鮮やかな『ジャポネ・ヴェリーヌ』

「ザ・和!!って感じのケーキだ~。説明には【麗らかな日本の春をストロベリー、抹茶、バニラ3色で表現したグラススイーツ】て書いてたけど抹茶好きな方にはイチオシ☆白玉とゼリーのもちもち、ぷるぷる感もGOODだね♡」

 因みに”和”とは古代種が持ち込んだ文化である。
 ちゃんと魔国に根付いている。
 なので魔国は和スイーツも中々に美味しかったりする。
 これは昔の味を好んだ古代種たちの自分たちへのご褒美の為だけの努力である。
 和文化と洋風文化の両方を取り込んだ魔国は今日も賑やかだ。

 その中でカフェだけ時間が止まったの様に静かだ。
 オウマの楽しそうな声と時計の針の音だけが店に響いている。

「あ、俺ばっか喋って楽しんでごめんねアムカさん」

「いや、美味しそうだな、と思いながら見てたよ」

「1口ずつ分ければ良かった!気がきかんでごめんなさいね」

「いや、オウマが美味しそうだな、と思いながら見てた」

 レンズ越しの優しい眼差しの奥に、確かにオウマはアムカの欲情の光を見た。

「は、腹下しても知らんからね………」

「楽しみにしている」

「趣味悪いよアムカさん、俺が美味しそう何て……」

「何で?オウマは可愛くて美味しそうだが?分からない奴らは放って置けばよい。寧ろ知られないうちに頂ける機会が出来たんだから俺が悪食でも問題ない」

「息を吐くように誑さないでアムカさぁぁぁぁぁん!!!」

 真っ赤になったオウマはそれはそれは美味しそうであったとか?
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