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その後
騎士団長だって本気の恋をする8
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モネの水連の絵そっくりの空間は何も喋らなくても心地が良かった。
元々アムカはそれ程饒舌ではない。
オウマはお喋りが大好きだが、今は目前の景色に心を奪われている。
「綺麗…何時までも見てられんね………」
ほぅ、とオウマが小さな溜息を洩らした。
普段のオウマから想像の付かない姿。
大きな木の下に座って、木漏れ日を浴びながら頬を緩ませる。
今のオウマは間違いなくオオカミに調理されているご馳走になりつつあった。
何時もでは見れない反応が見れる。
それが一々可愛らしい。
他の男には向けて欲しくない、そうアムカは思った。
(思った以上に俺がこのデートを楽しんでいるな)
アムカは来るもの拒まず去るもの追わずだ。
付き合ってきた数も半端ないし、性別や種族に拘ったことも無い。
男とだってお付き合い…どころか体の関係を持ったことも数度ではない。
だからオウマの告白にも迷わず応じた。
処女だからせめて良い思い出にしてやろうと、デートプランはしっかり練ったが。
いきなりホテルに連れ込めば保護者が黙っていないだろう。
10万年の付き合いがある。
考えなくてもオウマの保護者ー何時までも成人しない億の年月を生きた古代種を敵に回すことになる。
あの古代種は自分の身内に本当に甘いのである。
まぁ自分も身内の1人に数えて貰っているみたいだが、10万歳を超えたアムカと2千年ちょいしか生きていないオウマではどちらに味方に付くかは火を見るよりも明らかだ。
「アムカさん、今日はあんがとねぇ」
ふわ、と花の蕾が綻ぶ様に柔らかい笑顔をオウマが見せた。
幸せでたまらない。
笑顔1つでそれまで伝わってしまう、柔らかな笑顔。
その笑顔を見てアムカは己の心臓が一瞬跳ねたのが分かった。
(こんな子供に…俺は本気で欲情しているらしいな………)
未だつないだ手が心地よい。
女のモノの様に柔らかくないのに。
剣を持つ手は武骨なのに。
だがその肌は真珠の様に白く艶を放っている。
「オウマが楽しめたなら良かったよ」
そう言うのが限界だった。
これ以上に口を開いたら余計な事まで言ってしまいそうだ。
”可愛い”なんて言葉より、もっとドロドロした蜜のような甘やかな言葉でオウマを溺れさせてしまう。
そんな事10万年生きて来て誰にもした事が無いのに。
(オウマは処女を捨てたいだけだ…未来は王女との結婚が決まるだろう。未来から来たあの小さなお姫様が、美しく育ち、何時かオウマの心を攫って行くだろう)
ズキリ、と胸が痛む。
渡したくない。
アムカは自分がそう思っていることを自覚してしまった。
(いつか王女と結ばれるとき、笑い話の1つにでもなればソレで良い…心も求めるのは、あまりに大人気が無いだろうからな………)
「夕日に照らされて湖が燃えてるみたい…綺麗………」
夕日に照らされて赤く染まっているのはオウマも同じだ。
そしてその姿はアムカを焦燥にからさせた。
未来の王女と同じ色を浴びて染まるオウマ。
出来れば見たくなかった。
今のオウマは自分の彼女だ。
だから自分の色に染まって欲しかった。
「結構時間が経った。夕食を食べに行こう」
「うん、お昼あんなにいっぱい食べたんに、もうお腹すいちゃったんよ俺…女の子みたいにいかないね、やっぱり男の俺はいっぱい食べないとすぐお腹すいちゃうや」
「いっぱい食べればいいさ。俺はお前が美味しそうに食べる姿は可愛いと思っているぞ?」
「もう、アムカさん、今日誑かしすぎ…俺が本気で惚れちゃっても仕方ないんだかんね!気を付けないとアムカさん後ろから女の人に刺されるよ?それが女じゃないけど俺に刺されるかもしれないよ?」
「鍛えているつもりだが、騎士団長に刺されたら流石に命を取り留めようがないな。刺されないように気を付けるとしよう」
クスリ、とアムカが笑う。
それを見てオウマが赤くなる。
夕日でなく自分の笑顔でオウマを赤く染めた事で、アムカは自分でも良く分からない満足感を覚えたのであった。
元々アムカはそれ程饒舌ではない。
オウマはお喋りが大好きだが、今は目前の景色に心を奪われている。
「綺麗…何時までも見てられんね………」
ほぅ、とオウマが小さな溜息を洩らした。
普段のオウマから想像の付かない姿。
大きな木の下に座って、木漏れ日を浴びながら頬を緩ませる。
今のオウマは間違いなくオオカミに調理されているご馳走になりつつあった。
何時もでは見れない反応が見れる。
それが一々可愛らしい。
他の男には向けて欲しくない、そうアムカは思った。
(思った以上に俺がこのデートを楽しんでいるな)
アムカは来るもの拒まず去るもの追わずだ。
付き合ってきた数も半端ないし、性別や種族に拘ったことも無い。
男とだってお付き合い…どころか体の関係を持ったことも数度ではない。
だからオウマの告白にも迷わず応じた。
処女だからせめて良い思い出にしてやろうと、デートプランはしっかり練ったが。
いきなりホテルに連れ込めば保護者が黙っていないだろう。
10万年の付き合いがある。
考えなくてもオウマの保護者ー何時までも成人しない億の年月を生きた古代種を敵に回すことになる。
あの古代種は自分の身内に本当に甘いのである。
まぁ自分も身内の1人に数えて貰っているみたいだが、10万歳を超えたアムカと2千年ちょいしか生きていないオウマではどちらに味方に付くかは火を見るよりも明らかだ。
「アムカさん、今日はあんがとねぇ」
ふわ、と花の蕾が綻ぶ様に柔らかい笑顔をオウマが見せた。
幸せでたまらない。
笑顔1つでそれまで伝わってしまう、柔らかな笑顔。
その笑顔を見てアムカは己の心臓が一瞬跳ねたのが分かった。
(こんな子供に…俺は本気で欲情しているらしいな………)
未だつないだ手が心地よい。
女のモノの様に柔らかくないのに。
剣を持つ手は武骨なのに。
だがその肌は真珠の様に白く艶を放っている。
「オウマが楽しめたなら良かったよ」
そう言うのが限界だった。
これ以上に口を開いたら余計な事まで言ってしまいそうだ。
”可愛い”なんて言葉より、もっとドロドロした蜜のような甘やかな言葉でオウマを溺れさせてしまう。
そんな事10万年生きて来て誰にもした事が無いのに。
(オウマは処女を捨てたいだけだ…未来は王女との結婚が決まるだろう。未来から来たあの小さなお姫様が、美しく育ち、何時かオウマの心を攫って行くだろう)
ズキリ、と胸が痛む。
渡したくない。
アムカは自分がそう思っていることを自覚してしまった。
(いつか王女と結ばれるとき、笑い話の1つにでもなればソレで良い…心も求めるのは、あまりに大人気が無いだろうからな………)
「夕日に照らされて湖が燃えてるみたい…綺麗………」
夕日に照らされて赤く染まっているのはオウマも同じだ。
そしてその姿はアムカを焦燥にからさせた。
未来の王女と同じ色を浴びて染まるオウマ。
出来れば見たくなかった。
今のオウマは自分の彼女だ。
だから自分の色に染まって欲しかった。
「結構時間が経った。夕食を食べに行こう」
「うん、お昼あんなにいっぱい食べたんに、もうお腹すいちゃったんよ俺…女の子みたいにいかないね、やっぱり男の俺はいっぱい食べないとすぐお腹すいちゃうや」
「いっぱい食べればいいさ。俺はお前が美味しそうに食べる姿は可愛いと思っているぞ?」
「もう、アムカさん、今日誑かしすぎ…俺が本気で惚れちゃっても仕方ないんだかんね!気を付けないとアムカさん後ろから女の人に刺されるよ?それが女じゃないけど俺に刺されるかもしれないよ?」
「鍛えているつもりだが、騎士団長に刺されたら流石に命を取り留めようがないな。刺されないように気を付けるとしよう」
クスリ、とアムカが笑う。
それを見てオウマが赤くなる。
夕日でなく自分の笑顔でオウマを赤く染めた事で、アムカは自分でも良く分からない満足感を覚えたのであった。
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