聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

文字の大きさ
98 / 167
御使い様が誑しに進化しました

【御使い様は学びたい2】

しおりを挟む
「駄目駄目駄目絶対駄目―――――っ!!」

「そんなに叫ばなくてもいいだろナル」

「結婚どころかお付き合いもしていない年頃の異性が2人きりで旅なんて、ずぇったいダメェッ!!!」

 昼食を取り、ではクロイツに行きたい旨をカグウに伝えようと深海が説明をしたら隣から超音波のような金切り声が聞こえた。

 よくそんな高い声が出せるものだ。
 鳴海はれっきとして男なのだが…。
 うっすらとだが咽喉仏もあるし。
 なので鳴海は太めのチョーカーを愛用している。
 日本に居た時代から変わらない。
 制服に太めのチョーカーを合わせている。
 似合っているので特に文句を言う者も居ない。

 どころか風紀の教師ですら文句を言わない。
 鳴海に甘えた声で、ウルウル上目遣いの瞳で見られたら怒れるものなど居ない。
 先生大好き、なんて言って笑顔を浮かべられたら男なら誰でも屈するだろう。
 それ程に鳴海の美少女っぷりが凄い。
 男相手なら敵なしの誑しだ。

 深海が女相手の誑しなので、この双子ある意味そっくりである。

「んじゃマヒロ連れて行けばいいでしょ?3人なら問題n「だ・め・で・す」

 食い気味に鳴海がフィルドの言葉を止める。

「男の中に女の子1人ていうのが問題なんです!ふーちゃん女の子ですよ!?忘れてませんよね?」

「物凄く自覚しております……」

 色々思う所のあるフィルドである。
 特にこの頃ソレを考えさせられる。
 出来れば進展したいな~とか思っている異性なのだ深海は。
 深海の性別を忘れる訳が無い。

「んじゃ、女の子連れて行けば良いんだな?」

「出来れば信頼できる、ふーちゃんが女の子だって知っても態度の変わらない女の人が良いんだけど…」

 うーむ、と鳴海が顎に手を当てる。

「ルナトーを連れていけ」

 助け舟を出したのはカグウだった。

「良いんですか!?」

「え、でもルナトーちゃんの仕事大丈夫!?」

 深海もフィルドも驚いた。
 ルナトーはカグウもお気に入りのこの王宮内で王族以外で影響力のある巫女である。
 長い期間になるだろう旅に連行してよいものなのだろうか?

「実はスティルグマからノーライフ氏がカカンに来ることになっている。色々王宮の中も外も見て回りたいそうだ。巫女の仕事も興味があるらしいので、ルナトーに傍に居て貰おうと思っていたのだがな。
クロナが引き篭もっているとはいえ、ライブアだって巫女職に就いている。仕事はして貰わないと困る。
ノーライフ氏にはライブアに付いてもらって巫女職をさせる。暫くはルナトーが居なくても問題ないだろう。と言うかそうでないと困る」

 つまり今後ライブアがカカンに必要かを試すつもりもある事が深海・チノシス・コキョウには分かった。
 鳴海・フィルド・ラキザは気付かなかったみたいだが。
 仕方ない。
 これは気付く方の頭の回転が良すぎるのだ。
 まぁコキョウは頭の回転が速いより先に、カグウの話す言葉の意味を汲み取る能力が高すぎるのが先に来ている。
 愛は偉大である。

「ナル、これなら良いだろう?」

 ジッ、と深海が鳴海を見る。

 垂れ目の鳴海の目と違って深海は釣り目気味だ。
 アーモンド形の釣り目。
 瞳の色が、瞳孔とそれ以外の境が分からないほど黒い。
 今は日の光で黒い黒曜石の様にキラキラしている。
 犬のおねだりとは違う。
 コレは猫のおねだりに近い気がする。
 そして鳴海は動物に弱い。
 それに輪をかけて深海に弱い。

「絶対ルナトーさんの傍は慣れたらダメなんだからね!」

「おうっ!」

 深海がニカッと笑った。
 その無邪気な笑みを見て「こいつ絶対意味分かってないな」とその場にいた皆が思ったのだった。
しおりを挟む
感想 213

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。 2025/9/29 追記開始しました。毎日更新は難しいですが気長にお待ちください。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

処理中です...