聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

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御使い様が誑しに進化しました

【御使い様は学びたい23】

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 最初に温泉に入るのはルナトーだ。
 銭湯じゃないけどカッポーンの効果音を付けたくなる。
 それ程に良い湯である。
 動物が入れるだけあって人間にもその温度は心地良く感じられる。

「ん~~~~最高っ♡」

 温泉の方からルナトーの気持ちよさそうな声が聞こえてくる。
 美少女は声まで可愛い。
 待機している見張り役が深海とフィルドでなければ思わず一目、と覗きに行っていたことであろう。

 しかし深海は同性に興味がないし、フィルドは女の子は皆好きだが今は隣の存在に夢中なのだ。
 覗く気など1㎜も起きなかった。

「気持ち良いみたいですね、俺も早く入りたいです。もう一緒に入っちゃいません?」

「駄目駄目駄目!フカミちゃんまだ成人もしていない女の子なんだから、成人男性と一緒にお風呂なんか入ったら駄目です絶対!!」

「俺は誰でも良い訳じゃ無いんですけど、フィルド様なら気にならないだけで」

「お願いだから気にして!俺の色んなものが持たないから!!」

「だって俺今臭いですもん、アイテムで誤魔化しているとはいえ。早く清潔になりたいです」

「フカミちゃんは臭くないよ?」

「アイテム持ってるからですって」

「朝方は持ってないでしょ?俺の目を見に来るときに臭いなんて思ったこと無いよ………逆ならあるけど(ボソッ)」

 最後は深海に聞こえない小さな声でフィルドは呟いた。
 そう深海は臭くない。
 ちゃんと毎日出来る限りの手段で清潔にしているからもあるだろうが、深海の体臭は臭いどころかフィルドには好ましく感じられる。
 おそらく遺伝子情報が真反対なのだろう。
 人間は自分と遺伝子が離れている者ほど好意を抱く。
 異性なら尚更だ。
 優秀な遺伝子を残すため、男と女は己と真反対の遺伝子の持ち主に惹かれるように作り上げられている。
 ソレを知っていたらフィルドはもう少し深海に積極的になれたかもしれない。

 だが世の中惚れた者の負け。

 遺伝子がどうこう言う前にフィルドは深海が自分の目を好きだと言ってくれたあの瞬間から、心の全てが深海の物になったのだ。
 今だって匂いを感じなくてもドキドキして心臓が破裂しそうだ。
 
 ぴったりと寄り添った肩。
 深海の体温が伝わる。
 その体温が心地よい。
 そして柔らかな感触、いくら鍛えていても、筋肉質でもやはり女である深海は柔らかい。
 二の腕の柔らかさがフィルドの心臓の動きを大きくさせる。
 これは早くルナトーに上がって貰わないとフィルドが精神的に持たないかも知れない。

(ルナトーちゃん早く上がって来て―――――っ!!)

 フィルドは初めて心の中でだがルナトーに祈ったのだった。

 そして気付いてしまったことがある。
 子羊ちゃんのフィルドにとって深海はオオカミだが、ルナトーにとっては深海がウサギちゃんでルナトーがオオカミさんである。

 こちらから温泉が見えないように、温泉からも見張り番の姿は見えない。
 次に温泉に入るのはフィルドの番。
 その間、この場所に深海とルナトーが取り残される。
 ウサギちゃんとオオカミさん。
 深海の身の危険である。

 何せあのオオカミ、「最終的に気持ちよくなったら和姦でしょ♡」な考えの持ち主にして、あまたの女を喰らったテクニシャンである。
 いくら深海が強いとは言っても流石にルナトーは殴らないだろう。
 その隙を間違いなくルナトーはつく。
 テクニシャンのルナトーはその隙だけで十分だ。
 深海に快楽を仕込むくらい一瞬でやってのける。

(ふ、フカミちゃんがルナトーちゃんに食べられちゃう!駄目絶対!!)

「フィルド様、どうしました?」

 特にフィルドに変わった様子を表したわけでは無い。
 でも何故か深海はフィルドのそんな些細な変化にも気付くのだ。
 今もフィルドが焦っていることに気付いている。
 原因までも分かるわけでは無いのだが。
 それでも、深海のフィルドの様子にすぐ察してくれるような柔らかい所がフィルドは大好きなのである。
 この優しくて大好きな少女を雌オオカミの魔の手から守らないといけない。
 だからフィルドは気力を振り絞り言った。

「フカミちゃん、やっぱり一緒に温泉入ろーか?」

 背中に冷や汗が伝う。
 ドラゴンの群れを前にしてもこんなに緊張をしたことが無い。

「はい、背中流してあげますねフィルド様」

 笑顔で深海は承諾したのだった。
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