223 / 244
パターン-pattern-1
しおりを挟む
side朱斗
「樹矢ってさ、やっぱりプロなんだな」
「えー?突然どうしたの?」
夕食も済ませ、お風呂も入りもう今日一日が終わろうとしている頃リビングで俺と樹矢はそれぞれの時間をのんびりと過ごしていた。
「この仕事してるとその個々のモデルの良い顔の角度っていうのがあるじゃん?」
「あー。ね……」
「雑誌見てても、この人は右側からが良いの撮れるのにもったいない。とかさ思うわけ」
ソファに横になり発売されたばかりの樹矢が載っている雑誌を捲り俺は言葉を続ける。
「んでも。この角度にこの表情、完璧じゃん。って止まるページがいっつも決まってあんたなんだよな」
パラパラと捲っていた指を止め、そのページを見つめれば目が合うのは雑誌の中に写るモノクロの恋人だ。
「撮られ方が分ってんだよなぁ。しかも、樹矢の場合は左から撮られるとカッコイイ。右からは少し柔らかい顔が撮れんだよ」
「……」
樹矢からは相槌も何も聞こえてこない。
それに気にも止めず、俺は更に言葉を続ける。
「プロのモデルなんだなって思わされるってゆうか、流石だなってこうやって出来上がりを見ていつも感心してる」
印刷された紙の中に居る樹矢の頬を指でなぞり、次のページを捲る。
「あ、ほら。これとか、ストール巻いてて首筋とか顎のラインが消えてて目元だけなのに良い角度向いてるじゃん」
「……」
「ほんと……いい顔してる」
きっと俺の頬はその時、無意識に緩んでいただろう。
次のページを捲ろうとすると背後から影が俺を覆い、持っていた雑誌が樹矢によって奪われた。
「朱ちゃん、そんなに褒めて誘ってんの?」
バサッと床に置かれた雑誌を急いで拾い上げようとすると、後ろからがっちりと樹矢の腕で身体をホールドされ動けなくなった。
「え。ちょっと……」
首筋に埋まった恋人の顔は当然見えない。雑誌へと伸ばした手を止めて、樹矢のサラサラの髪の毛を優しく撫でた。
「なに。甘えてんの?」
「……」
樹矢はまた、答えるのを止める。
「思ったこと言っただけだって。樹矢は最高のモデルだって」
すると、抱きつく腕の力が強まった。
(んー。確かに、ちょっと素直になりすぎたかな……)
そんなことを思っていると、樹矢が沈黙を破る。
「朱ちゃんさ。……あんまり褒めると、このまま襲っちゃうよ?」
小さく耳元で放った言葉に、俺の身体の体温が一気に上がった気がした。
「……いいぜ、襲えよ」
「樹矢ってさ、やっぱりプロなんだな」
「えー?突然どうしたの?」
夕食も済ませ、お風呂も入りもう今日一日が終わろうとしている頃リビングで俺と樹矢はそれぞれの時間をのんびりと過ごしていた。
「この仕事してるとその個々のモデルの良い顔の角度っていうのがあるじゃん?」
「あー。ね……」
「雑誌見てても、この人は右側からが良いの撮れるのにもったいない。とかさ思うわけ」
ソファに横になり発売されたばかりの樹矢が載っている雑誌を捲り俺は言葉を続ける。
「んでも。この角度にこの表情、完璧じゃん。って止まるページがいっつも決まってあんたなんだよな」
パラパラと捲っていた指を止め、そのページを見つめれば目が合うのは雑誌の中に写るモノクロの恋人だ。
「撮られ方が分ってんだよなぁ。しかも、樹矢の場合は左から撮られるとカッコイイ。右からは少し柔らかい顔が撮れんだよ」
「……」
樹矢からは相槌も何も聞こえてこない。
それに気にも止めず、俺は更に言葉を続ける。
「プロのモデルなんだなって思わされるってゆうか、流石だなってこうやって出来上がりを見ていつも感心してる」
印刷された紙の中に居る樹矢の頬を指でなぞり、次のページを捲る。
「あ、ほら。これとか、ストール巻いてて首筋とか顎のラインが消えてて目元だけなのに良い角度向いてるじゃん」
「……」
「ほんと……いい顔してる」
きっと俺の頬はその時、無意識に緩んでいただろう。
次のページを捲ろうとすると背後から影が俺を覆い、持っていた雑誌が樹矢によって奪われた。
「朱ちゃん、そんなに褒めて誘ってんの?」
バサッと床に置かれた雑誌を急いで拾い上げようとすると、後ろからがっちりと樹矢の腕で身体をホールドされ動けなくなった。
「え。ちょっと……」
首筋に埋まった恋人の顔は当然見えない。雑誌へと伸ばした手を止めて、樹矢のサラサラの髪の毛を優しく撫でた。
「なに。甘えてんの?」
「……」
樹矢はまた、答えるのを止める。
「思ったこと言っただけだって。樹矢は最高のモデルだって」
すると、抱きつく腕の力が強まった。
(んー。確かに、ちょっと素直になりすぎたかな……)
そんなことを思っていると、樹矢が沈黙を破る。
「朱ちゃんさ。……あんまり褒めると、このまま襲っちゃうよ?」
小さく耳元で放った言葉に、俺の身体の体温が一気に上がった気がした。
「……いいぜ、襲えよ」
0
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる