あなたがくれた奇跡

彰野くみか

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第一章

発覚①

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 午後六時半。健ちゃんが「ただいまー」と帰って来る音がしたので、私と由海、海羽の三人で出迎えた。
「おかえりなさい」
 私は最愛の人を見ると、自然と笑顔が溢れ、さっきの目眩や動悸の事など頭からなくなっていた。
 「ただいま」と健ちゃんも笑顔を浮かべてもう一度言う。そのまま軽くキスして来る健ちゃん……。
「もう!! 子どもの前で!」
 私が怒ると、海羽が、「パパ、ママばっかりー!! 海羽にもただいまはー??」と拗ねたように言った。
「ん? もちろん、海羽にもただいま!!」
 そう言っては、海羽のほっぺにキスする健ちゃんと、嬉しそうに健ちゃんに抱きつく海羽を見て、愛しさを感じた──。
 この日は、何ヶ月振りだろう? 家族が揃っての団らんになり、私は笑いっぱなしだった。

     ***

「へー、産み分けゼリー??」
「うん! それに、男の子が欲しかったら、排卵日の直前の方が確率が高いらしいよ」
 私は、昼間見たサイトを健ちゃんに見せていた。興味深そうに見る健ちゃんに、私はスマートフォンを取り出し、排卵日管理アプリを起動した。
「次の排卵日が十一月三日だから──」
 私がいつすれば良いか考えていると、健ちゃんは嬉しそうに、「毎日しよっか?」とか言った。
「毎日してたら意味ないじゃん……結局五十%だよ?」
 私は呆れて返す……。
「二日と三日辺りかな?」
「それまでお預け?」
「……なにそれ。結局、自分がしたいだけじゃん!」
 なんで男ってのはこうなんだか……。私は再び呆れてしまった。
「んじゃ、由香理はしたくないのか?」
「え?」
 健ちゃんの突然の問いに、内心、ドキッとした。だって、行為自体は嫌なものじゃないから……。
「女──っていうか、由香理はしたくないのかって訊いてんの!」
 若干、苛立って言う健ちゃんに、「それとこれとは話が違うでしょ??」──そう言って誤魔化した。
「誤魔化すなよ……」
 今度は寂しそうな表情を浮かべて言う健ちゃんに、ちょっと同情しそうになった。それが健ちゃんの狙いなのに。
「健ちゃんは男の子が欲しいんでしょ?? だったら、するとかしないじゃなくて、女の子が産まれる確率高い日は避妊すれば良いだけの話じゃん? もうやめようよ、こんな事でケンカしたくない……」
「……分かった」
 渋々、納得した様子の健ちゃんのパジャマの袖を掴んだ。
「ん、どうした?」
「……なんでもない」
 そりゃあ、私だって本音を言えば、したいって思ってる。だけど、なんだか恥ずかしくて、素直に「私もしたい」って言ってあげられなかった。
 真剣にパソコンを見る健ちゃんに抱きつくと、心の中で「ごめんね」を伝えた。
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