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第一章
異変
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すっかり肌寒くなってきた十月二十日。胃潰瘍で入院していた私は、無事に退院した。
健ちゃんは、仕事を休んで無理やり迎えに来るって言っていたけど、頑なに断った。これからもうひとり子どもを作ろうっていうのに、仕事を休ませるわけにはいかないし、教師なんて専門職、代わりが居ないんだから尚更だ。
高校三年生の泉海が、彼氏の鈴木陽路くんと一緒に来てくれた。
「陽路くん、ありがとうね。助かったよ」
「いえ! 泉海の母さんのためならお安いご用です!!」
陽路くんは私の着替えなどが入って、パンパンに膨らんだボストンバッグを軽々と持ち、家まで送ってくれた。我が娘ながら、泉海は良い人を掴まえたな、なんて心の中で微笑ましくなった。
泉海は、私が入院している間も、海羽のお迎えなど率先して行ってくれてて、頼もしかった。
母子家庭の陽路くんも、よく晩ご飯を差し入れてくれたみたいで、私はこのふたりがこのまま結婚してくれたら嬉しいな……って思っていた。
***
「ただいま」
久しぶりに入る我が家は、やっぱり落ち着いて心地よかった。
でも、健ちゃんともうひとり子どもを産む約束しちゃったから、これからが大変だな……。
今更になって、苦笑いが零れる。
今日は久しぶりに私も料理をしたい気分だった。だけど、泉海と陽路くんに、「病み上がりだからおとなしくしてて!」と言われてしまい、やる事がなくなってしまった。
とりあえず、私と健ちゃんの部屋に行き、パソコンの電源を入れた。
趣味でDTMをする健ちゃんとの共用パソコンは、WindowsじゃなくてiMacで、最初は使い方がちんぷんかんぷんだった私も、今では慣れたもの。
起動させて、Safariを開くと、【子ども 出産 男の子を産む方法】と入れて検索した。
ズラーッと出て来たサイトの中から、とりあえず一番上位に表示されたサイトを見た。そこには、性交を行うタイミングや射精の位置などで産み分けられる事が書いてあった。
「へー……産み分けゼリーなんてものもあるんだ……」
知らなかった事だらけで、健ちゃんが帰って来たら、このサイトを一緒に見ようとブックマークに登録した。
「ふふっ」
こうやって調べてみると、なんだか男の子が産まれて来そうな気がして、私は嬉しくなった。早く健ちゃんに見せたいな、そう思って、排卵日管理アプリを開き、次の排卵日をチェックした。
その瞬間、また目眩と動悸に襲われた。
「っなに、これ……」
椅子に座っているのに苦しくて、私は早く治まるのを待った。だけど、なかなか治まってくれなくて、しばらくの間、動悸と目眩と格闘していた。
何分ほど経ったか分からないけど、ようやく落ち着いた頃には、もうすぐ健ちゃんが帰って来る時間になっていた。
「とりあえず、リビングに行こう」
そう思い、パソコンをスリープにすると、部屋を出た。
健ちゃんは、仕事を休んで無理やり迎えに来るって言っていたけど、頑なに断った。これからもうひとり子どもを作ろうっていうのに、仕事を休ませるわけにはいかないし、教師なんて専門職、代わりが居ないんだから尚更だ。
高校三年生の泉海が、彼氏の鈴木陽路くんと一緒に来てくれた。
「陽路くん、ありがとうね。助かったよ」
「いえ! 泉海の母さんのためならお安いご用です!!」
陽路くんは私の着替えなどが入って、パンパンに膨らんだボストンバッグを軽々と持ち、家まで送ってくれた。我が娘ながら、泉海は良い人を掴まえたな、なんて心の中で微笑ましくなった。
泉海は、私が入院している間も、海羽のお迎えなど率先して行ってくれてて、頼もしかった。
母子家庭の陽路くんも、よく晩ご飯を差し入れてくれたみたいで、私はこのふたりがこのまま結婚してくれたら嬉しいな……って思っていた。
***
「ただいま」
久しぶりに入る我が家は、やっぱり落ち着いて心地よかった。
でも、健ちゃんともうひとり子どもを産む約束しちゃったから、これからが大変だな……。
今更になって、苦笑いが零れる。
今日は久しぶりに私も料理をしたい気分だった。だけど、泉海と陽路くんに、「病み上がりだからおとなしくしてて!」と言われてしまい、やる事がなくなってしまった。
とりあえず、私と健ちゃんの部屋に行き、パソコンの電源を入れた。
趣味でDTMをする健ちゃんとの共用パソコンは、WindowsじゃなくてiMacで、最初は使い方がちんぷんかんぷんだった私も、今では慣れたもの。
起動させて、Safariを開くと、【子ども 出産 男の子を産む方法】と入れて検索した。
ズラーッと出て来たサイトの中から、とりあえず一番上位に表示されたサイトを見た。そこには、性交を行うタイミングや射精の位置などで産み分けられる事が書いてあった。
「へー……産み分けゼリーなんてものもあるんだ……」
知らなかった事だらけで、健ちゃんが帰って来たら、このサイトを一緒に見ようとブックマークに登録した。
「ふふっ」
こうやって調べてみると、なんだか男の子が産まれて来そうな気がして、私は嬉しくなった。早く健ちゃんに見せたいな、そう思って、排卵日管理アプリを開き、次の排卵日をチェックした。
その瞬間、また目眩と動悸に襲われた。
「っなに、これ……」
椅子に座っているのに苦しくて、私は早く治まるのを待った。だけど、なかなか治まってくれなくて、しばらくの間、動悸と目眩と格闘していた。
何分ほど経ったか分からないけど、ようやく落ち着いた頃には、もうすぐ健ちゃんが帰って来る時間になっていた。
「とりあえず、リビングに行こう」
そう思い、パソコンをスリープにすると、部屋を出た。
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