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1章「今日も今日とて、大好きです」
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しおりを挟む──言葉を選ばなければ、あまりの手のひらの返し具合に驚いています。
すると沙那先輩は、かあっと顔を赤く染めて「心外!」と声を張り上げた。
「あ、あたしだってそこまで性格悪くないわよ!」
「だって、いつも嫌味を……」
「そ、それは……ああもううるさいわね! なんでもいいから、なにかあったら言いなさい。あたしは、あなたと結生が上手くいってくれないと困るんだから」
──でも、本当は知っていた。
沙那先輩が私に意地悪なのは、ユイ先輩を想うがゆえのことだって。
だからこそ、私はどれだけ苛まれても沙那先輩を本気で嫌いになれなかった。
それどころかユイ先輩を任せても大丈夫だと思っていたくらいだ。なんだかんだ病気のことだって話したのだから、根っこの部分では信頼していたのかもしれない。
「ありがとうございます、沙那先輩」
「っ……」
「……本当に、ありがとうございます」
もう長くない時のなかで、いったい何度、私は人にありがとうと言えるだろう。
こうして本心で言葉を交わせる相手がいるのは素敵なことだ。けれど、大事にしたい、大切にしたいと思う相手が増えるほど、私は迷ってしまう。
遠くない未来に消えゆく私が、明日が当たり前の人に関わっていいのかと。
こうして親密に関われば関わったぶんだけ、いずれそれは棘となり、刃となり、心に拭いきれない傷を負わせてしまうのではないかと。
──鎖となって、まるで枷のように苦を縛り付けてしまうのではないかと。
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