割れ鍋に綴じ蓋とはよくいったもので

しがついつか

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夜会前

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サンガク国の王城に到着したスナ王女一行を、国王とその臣下達が歓迎する。
長旅で疲れている王女達を気遣い、挨拶は礼を欠かない程度に手短に行われた。
今日と明日は王女達に疲れを癒してもらうために何も予定を入れていない。食事も、用意された客室でゆっくりととってもらうことになっている。
依頼した内容についての正式な話し合いは、明後日の夜会前に行われることとなった。






王女一行が到着した翌々日の昼、王族が来客をもてなすための応接間でスナは国王夫妻と会談した。


「なるほど、この5組ですか…」


机上に広げられた書類――10人の男女のプロフィールが記載されている――に一通り目を通したスナは、目の前のソファに座る国王夫妻に目をやった。


「こちらの書類は、占いが終わるまで私が預かってもよろしいですか?」
「もちろんです」


カラテア・サンガク国王は即答した。
王子を含めた高位貴族の令息令嬢の個人情報である。通常は気軽に他国の人間に見せていいものではない。
国王がそれを許可したということは、スナが信頼に足る人物だと示している。

室内にはスナと国王夫妻の他に、サンガク国の宰相とスナ王女の専属侍女が入り口付近の壁際に控えている。
帯剣した両国の護衛達は廊下で待機している。



「他に何か必要なものはありますか?」
「いいえ。あとは夜会にて皆さんの顔を拝見できれば、占うことが可能ですわ。対応いただき、ありがとうございます」


スナはにこりと笑うと、ついでに質問した。


「この中で、傍目に見て仲が悪い人達はいらっしゃるの?」
「そうですね…強いて言うならば、こちらのキュウリュウ侯爵令息とコスイ侯爵令嬢でしょうか。コスイ嬢はそつなく対応していますが、キュウリュウ侯爵令息の方が言動から令嬢をよく思っていないように感じられます」


スナの問いにクルシア王妃が答える。
クルシアが見た限りでは、キュウリュウ侯爵令息は義務的に婚約者をエスコートしているようだった。義務としてのあいさつ回りを終えるとすぐに二人は別行動をするのだ。それ自体は特に問題ではないが、キュウリュウ侯爵令息の婚約者への態度を加味すると、不仲により別行動をしているものととらえられる。彼の行動は敵対勢力に付け入る隙を与えることになるため、良しとすることはできない。



なるほど、とスナは頷いた。
パーティの際、注意してみておくべき者たちを心の中にメモした。


「夜会では私がこの子たちをスナ王女に紹介いたしますわ」
「えぇ、よろしくお願いいたします」
「別室に集めたほうが都合がよろしければ対応しますので、その時は遠慮なくクルシアに言ってください」
「ありがとうございます」









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