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第一章 剣の刺さった狼犬
6話 生きている人を食べる
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スノーが走る速度を緩める。
「……」
どれぐらい泣いていたのか、分かりませんが少し落ち着きました……
涙を拭う。
どうすれば、彼を救えたのでしょうか……? 私が手を出したからああなったのでしょうか? ですが、あれは、下半身が岩の中に入っているより一体化……思い出すだけで、気分が悪くなります……
「スノー、また人がいるところに向かってください……」
気を取り直す。
「ワン!」
返事をすると、再び走り始める。
一刻でも早く、無事な人に会いたいです……特にこんな状況ですし、両親も縫子さんも心配です……無事だといいですけど……
しばらく進むが、景色は変わらず先の見えない霧が続いている。
「おーい! 誰か!!」「いないか!」「おーい!」
今度はスペイン語で叫んでいる声が響く。
「また、人が……」
一瞬、不安もあったが、複数人の声が聞こえたことで胸が軽くなった。
「スノー! 行きましょう!」
「クゥ~ン……」
悲しそうな声を上げる。
「どうしたんですか? 行かない方がいいという事ですか?」
「ワン……」
どうしたのでしょうか? さっきみたいな感じなのでしょうか?
「ですが……人がいるの事実ですし……行ってください」
希望に掛けたいです!
「ワン……」
スノーは声のする方に向かってくれる。
人の姿が見えて、スノーは足を止める。
「うわ!?」「なんだ!?」
複数人の男が驚いた声を上げながら長身の長い銃を向ける。
「……!」
スノーがなぜ嫌がったのか何となくわかった。
男全員が顔中や上半身に派手なタトゥーを入れて、見るからに危険な雰囲気を漂わせているからだ。
映画やドラマでしか見たことのない銃が私に向いている。今にも銃口から銃弾が飛び出て、私を射殺しそう。
心臓を握りしめられているかの様な恐怖ですくみ上ったが、直ぐに私は声を上げた。
「う、撃たないでください! 私は武器は持っていません!」
スノーから降りながら、スペイン語で必死に訴える。
男は合計4人いて、その中の3人が未だに私に険しい表情で向けて銃口を向けている。
……今にも銃弾で撃ち抜かれそうで気が気で仕方が無い。
「人だな……」「女だ」「でけぇ犬だな……」
小声が聞こえる。警戒が緩んだかのように銃口を下げた。
撃たれなくてよかったと、心底ホッとする。
「何だお前は? ここは何処か分かるのか?」
唯一銃を持っていない、小太り気味で防弾チョッキらしきものを着ている男が高圧気味に話しかけて来る。
「い、いいえ……私もここに来たばかりで……あなた達は?」
銃口は向いてはいなかったが、向こうの威圧的な態度で畏縮(いしゅく)してしまう。
「俺たちもあの気色悪い光が迫って来たと思ったら気が付いたらここに居た」
「そうですか……」
この人達も今来たばかりですか……
「因みに、警察ですか……?」
海外ではこんな見た目の警察や軍隊もいるかもしれませんし……
「警察……?」
小太りの男は振り返って、仲間と顔を合わせると、笑い始める。
「確かに、俺たちが警察みたいなもんだな!」
残忍な笑みを浮かべる。
「……!」
ち、違うんですか!?
強烈な嫌な予感に襲われる。
「ロス・セタスって知っているか?」
「ロス・セタス……!?」
瞬間、血の気が引いて、全身が凍り付く。
聞き覚えがあった。ネットサーフィンをしていた時に、ロス・セタスという、世界一危険とまで言われているメキシコの犯罪組織があるという事を……
「……!!」
震える体で後ずさりをする。
「おお、知っている様だな」
「わ、私はこれで……」
逃げようとするが、
「待てよ、ゆっくりしていこうではないか」
小太りの男に腕を掴まれて、引っ張られる。
「い、嫌……!」
抵抗するが、向こうの方が圧倒的に力が上で、引きはがせない。
「ここが何処か分からねえが、こいつは需要がる。いろんな所で使えるだろうな……」
舐めるように私の体を見る。
他の3人の男も残忍な笑みを浮かべていた。
「グルルルル……!」
スノーは威嚇するかのように唸り声を上げる。
「そうだ、丁度でかい犬のはく製が欲しい所だった……やれ」
冷たく言い放つ。
3人の男は銃口をスノーに向ける。
瞬く間に、鼓膜が割れそうな程の激しい銃声が響く。
しかし、気が付いたら、男の上半身が銃ごと切り飛ばされていた。
スノーはいつの間にか、剣を抜いて口に加えている。
「!?」
男が動揺しながら銃口を向ける。
しかし、遅すぎた。スノーが剣を振ると、男の首が切り飛んだ。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
生き残っている1人が悲鳴を上げ、後ずさりしながら乱射する。
銃弾によってスノーの片耳が吹き飛び、血が流れる。しかし、全く怯んでいる様子が無い。
男は両手ごと首を切り飛ばされ崩れ落ちる。
スノーの胴体から銃弾が零れ落ちる。同時に、吹き飛んだ片耳はみるみる再生されていってた……
「く、クッ……!」
小太りの男が切迫した様子で私を羽交い絞めにする。
「う、動くな! こいつの命が無いぞ!」
拳銃の銃口が私の頭部に当たる。
「グルルルル……」
威嚇しながらゆっくり迫ってくる。
「死ね、化け物!!」
後ずさりをしながら、スノーに向かって拳銃を向ける。
銃声と同時に、瞬時に接近してきた。
そして、拳銃を持っていた片腕が切り飛ぶ。
「ぎ、ギャャャャアア!!?」
悲鳴を上げながら、地面に倒れる。
解放されたが、腰が抜けて地面に座り込んでしまう。
地面は血で染まり、苦痛の叫び声を上げ、残された上半身でもだえ苦しむ。一方、首を切断された2人は苦悶の表情を浮かべ、泣き叫んでいる。
地獄だ。まさに地獄がそこに広がっていた……
私はただただ目線を逸らすことすらもできずに震える。
「お、俺が悪かった! 来るな!!」
腕を切断された男は迫ってくるスノーに必死に懇願している。
スノーは剣を自分の胴体に収納した。
「……ッ!?」
スノーの信じられない行動を目にして、息を飲んだまま、うまく吐くことが出来ない。
スノーが男の顔に嚙みつく。
男が悲鳴を上げるが、骨と肉が潰れる鈍い音と共に消え伏せる。トマトでも潰したかのように、人の顔が容易に潰れた。
血の滴る歯で何回も噛む動作をする。くちゃくちゃと粘り強く絡み合う音が響く……
「……!!」
痛いほど耳を塞いで目を力強く瞑る。
分からない! 何もわからない! 何も知らない!
自分でも訳が分からない。ただただ、この地獄が終わってくれることを祈る。
どれぐらい時間が経過したのか分からなかったが、何かが目の前に来たのを感じた。
ゆっくり視線を上げると、大量の返り血を浴びて、ほぼ真っ赤な狼のような化け物が立っている。鋭い牙が並ぶ口からは、唾液と混ざり合った血液が零れていた。
むせかえるような鉄臭い不快な匂いが鼻にしみ込む。
化け物は興奮気味に息を荒立てている。
「い、嫌……! こないでください……!!」
「……」
どれぐらい泣いていたのか、分かりませんが少し落ち着きました……
涙を拭う。
どうすれば、彼を救えたのでしょうか……? 私が手を出したからああなったのでしょうか? ですが、あれは、下半身が岩の中に入っているより一体化……思い出すだけで、気分が悪くなります……
「スノー、また人がいるところに向かってください……」
気を取り直す。
「ワン!」
返事をすると、再び走り始める。
一刻でも早く、無事な人に会いたいです……特にこんな状況ですし、両親も縫子さんも心配です……無事だといいですけど……
しばらく進むが、景色は変わらず先の見えない霧が続いている。
「おーい! 誰か!!」「いないか!」「おーい!」
今度はスペイン語で叫んでいる声が響く。
「また、人が……」
一瞬、不安もあったが、複数人の声が聞こえたことで胸が軽くなった。
「スノー! 行きましょう!」
「クゥ~ン……」
悲しそうな声を上げる。
「どうしたんですか? 行かない方がいいという事ですか?」
「ワン……」
どうしたのでしょうか? さっきみたいな感じなのでしょうか?
「ですが……人がいるの事実ですし……行ってください」
希望に掛けたいです!
「ワン……」
スノーは声のする方に向かってくれる。
人の姿が見えて、スノーは足を止める。
「うわ!?」「なんだ!?」
複数人の男が驚いた声を上げながら長身の長い銃を向ける。
「……!」
スノーがなぜ嫌がったのか何となくわかった。
男全員が顔中や上半身に派手なタトゥーを入れて、見るからに危険な雰囲気を漂わせているからだ。
映画やドラマでしか見たことのない銃が私に向いている。今にも銃口から銃弾が飛び出て、私を射殺しそう。
心臓を握りしめられているかの様な恐怖ですくみ上ったが、直ぐに私は声を上げた。
「う、撃たないでください! 私は武器は持っていません!」
スノーから降りながら、スペイン語で必死に訴える。
男は合計4人いて、その中の3人が未だに私に険しい表情で向けて銃口を向けている。
……今にも銃弾で撃ち抜かれそうで気が気で仕方が無い。
「人だな……」「女だ」「でけぇ犬だな……」
小声が聞こえる。警戒が緩んだかのように銃口を下げた。
撃たれなくてよかったと、心底ホッとする。
「何だお前は? ここは何処か分かるのか?」
唯一銃を持っていない、小太り気味で防弾チョッキらしきものを着ている男が高圧気味に話しかけて来る。
「い、いいえ……私もここに来たばかりで……あなた達は?」
銃口は向いてはいなかったが、向こうの威圧的な態度で畏縮(いしゅく)してしまう。
「俺たちもあの気色悪い光が迫って来たと思ったら気が付いたらここに居た」
「そうですか……」
この人達も今来たばかりですか……
「因みに、警察ですか……?」
海外ではこんな見た目の警察や軍隊もいるかもしれませんし……
「警察……?」
小太りの男は振り返って、仲間と顔を合わせると、笑い始める。
「確かに、俺たちが警察みたいなもんだな!」
残忍な笑みを浮かべる。
「……!」
ち、違うんですか!?
強烈な嫌な予感に襲われる。
「ロス・セタスって知っているか?」
「ロス・セタス……!?」
瞬間、血の気が引いて、全身が凍り付く。
聞き覚えがあった。ネットサーフィンをしていた時に、ロス・セタスという、世界一危険とまで言われているメキシコの犯罪組織があるという事を……
「……!!」
震える体で後ずさりをする。
「おお、知っている様だな」
「わ、私はこれで……」
逃げようとするが、
「待てよ、ゆっくりしていこうではないか」
小太りの男に腕を掴まれて、引っ張られる。
「い、嫌……!」
抵抗するが、向こうの方が圧倒的に力が上で、引きはがせない。
「ここが何処か分からねえが、こいつは需要がる。いろんな所で使えるだろうな……」
舐めるように私の体を見る。
他の3人の男も残忍な笑みを浮かべていた。
「グルルルル……!」
スノーは威嚇するかのように唸り声を上げる。
「そうだ、丁度でかい犬のはく製が欲しい所だった……やれ」
冷たく言い放つ。
3人の男は銃口をスノーに向ける。
瞬く間に、鼓膜が割れそうな程の激しい銃声が響く。
しかし、気が付いたら、男の上半身が銃ごと切り飛ばされていた。
スノーはいつの間にか、剣を抜いて口に加えている。
「!?」
男が動揺しながら銃口を向ける。
しかし、遅すぎた。スノーが剣を振ると、男の首が切り飛んだ。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
生き残っている1人が悲鳴を上げ、後ずさりしながら乱射する。
銃弾によってスノーの片耳が吹き飛び、血が流れる。しかし、全く怯んでいる様子が無い。
男は両手ごと首を切り飛ばされ崩れ落ちる。
スノーの胴体から銃弾が零れ落ちる。同時に、吹き飛んだ片耳はみるみる再生されていってた……
「く、クッ……!」
小太りの男が切迫した様子で私を羽交い絞めにする。
「う、動くな! こいつの命が無いぞ!」
拳銃の銃口が私の頭部に当たる。
「グルルルル……」
威嚇しながらゆっくり迫ってくる。
「死ね、化け物!!」
後ずさりをしながら、スノーに向かって拳銃を向ける。
銃声と同時に、瞬時に接近してきた。
そして、拳銃を持っていた片腕が切り飛ぶ。
「ぎ、ギャャャャアア!!?」
悲鳴を上げながら、地面に倒れる。
解放されたが、腰が抜けて地面に座り込んでしまう。
地面は血で染まり、苦痛の叫び声を上げ、残された上半身でもだえ苦しむ。一方、首を切断された2人は苦悶の表情を浮かべ、泣き叫んでいる。
地獄だ。まさに地獄がそこに広がっていた……
私はただただ目線を逸らすことすらもできずに震える。
「お、俺が悪かった! 来るな!!」
腕を切断された男は迫ってくるスノーに必死に懇願している。
スノーは剣を自分の胴体に収納した。
「……ッ!?」
スノーの信じられない行動を目にして、息を飲んだまま、うまく吐くことが出来ない。
スノーが男の顔に嚙みつく。
男が悲鳴を上げるが、骨と肉が潰れる鈍い音と共に消え伏せる。トマトでも潰したかのように、人の顔が容易に潰れた。
血の滴る歯で何回も噛む動作をする。くちゃくちゃと粘り強く絡み合う音が響く……
「……!!」
痛いほど耳を塞いで目を力強く瞑る。
分からない! 何もわからない! 何も知らない!
自分でも訳が分からない。ただただ、この地獄が終わってくれることを祈る。
どれぐらい時間が経過したのか分からなかったが、何かが目の前に来たのを感じた。
ゆっくり視線を上げると、大量の返り血を浴びて、ほぼ真っ赤な狼のような化け物が立っている。鋭い牙が並ぶ口からは、唾液と混ざり合った血液が零れていた。
むせかえるような鉄臭い不快な匂いが鼻にしみ込む。
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