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第一章 剣の刺さった狼犬
9話 擬態魚
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「ま、待って下さい! 今のはなんなんですか!?」
引き留めずにはいられなくて聞いてしまう。
「すまない、説明してなかったな……」
「あれは魚のように見えるが、実際は糸のような生物の集合体だ。ああして、捕獲しようとした人間に対して、寄生して、体を食いつくす……厄介な生物だ」
「そ、そんなものが……」
もし、あの時にそれに触れていたら……!
首筋から指先まで鳥肌が立つ。
「……あの男性はどうなったのでしょうか?」
「助からない」
恐ろしいほどの無表情で感情がこもっていない。まるで、それが日常であるかのようだ。
「そ、そうですか……」
「質問は以上かな?」
「ここは何処なのでしょうか?」
今更ですけど、一応聞いてみましょう……
「分からない……」
「そう……ですよね……」
期待はあっさり打ち砕かれた。
「すまないな、やる事があるから失礼する」
秋人は立ち去った。
「……」
せめてスキャンで分かったらいいのですが、更新が必要なようですし……あれ? スキャンに通信は必要ないという事は内部情報ということですよね? もしかしたら見落としているだけで、それらを見れたりしないでしょうか? 試してみましょう……
指示された寝所に向かう。
溜息を吐きながら、洞窟の壁にもたれ掛かる。
スマートウォッチ的な物の設定を確認したり、色々してみるが……そういったのは見当たらなかった。
だめですか……見れたらスキャンしなくても済みますのに……
洞窟の外がより薄暗くなって行っている。
ようやく、日が沈み始めたんですか……まだ、この世界にきて一日も経ってないんですね……
そう、まだ一日しかたっていない……しかし、もう既に一か月以上はここで過ごした感覚だ。余りにも感覚と現実が乖離し過ぎていて、頭を抱えながら深い深いため息を吐いてしまう。
もう……疲れました……お家に帰りたいです……
暖房が効いた暖かい自室に、低反発性のふかふかのベッドを思い出す。それからは止まらなかった。
ママ……パパ……絲子さん……
流れるように次々と顔が思い浮かぶ。
胸が張り裂けそうな程、心もとなくなって涙が出てしまう。
声を出さない様に顔を伏せて静かに泣く。
「な、なぁ……死ねないって言う噂って本当か?」
避難民の方から会話が聞こえた。
盗み聞きするつもりはなかったが、会話が聞こえてしまう。
「間違いねえよ……俺の友人は、化け物に体を切られてバラバラだったのに、悲鳴を上げ続けていたんだ……クッソ!!」
「噂は本当だったんだ! これはきっと神の神罰だ!! 神様が俺たちに失望して、この地獄に俺たちを飛ばしたんだ!」
「俺は神何て信じていなかったが、そかもな……死ぬことすらも出来ねえから、俺たちは永遠と苦しみ続けるんだからな!!」
「嫌だ、嫌だ……! ああ、イエス様! どうか我々をお許しよ!!」
「……」
いつの間にか涙が引いていた。
死なない……
男子生徒が化け物の鉈で何度も潰されたのに生きていた事、スノーが明らかに致命傷を与えていたのに、男たちが苦しみ続けていた事、そして、人だけではなく、化け物も……明らかに致命傷なのに生きていた、苦しんでいるかのように……
全ての辻褄があった。
この世界では死という概念が無いことを理解してしまう……
もし自分が化け物に襲われたり、致命傷を負ってしまったら? 死にたくても死ねずに……苦しみ続ける……
心に釘を打ち付けられたかのような、衝撃と亀裂が全身に広がる。
「……!」
自分の手が生まれたての小鹿の様に震えてしまう。
だ、大丈夫です! こ、ここに居たら死ぬことはありませんし、安全です! 大丈夫、大丈夫……大丈夫なはずです……
自分に言い聞かせながら、胸に手を当てる。
引き留めずにはいられなくて聞いてしまう。
「すまない、説明してなかったな……」
「あれは魚のように見えるが、実際は糸のような生物の集合体だ。ああして、捕獲しようとした人間に対して、寄生して、体を食いつくす……厄介な生物だ」
「そ、そんなものが……」
もし、あの時にそれに触れていたら……!
首筋から指先まで鳥肌が立つ。
「……あの男性はどうなったのでしょうか?」
「助からない」
恐ろしいほどの無表情で感情がこもっていない。まるで、それが日常であるかのようだ。
「そ、そうですか……」
「質問は以上かな?」
「ここは何処なのでしょうか?」
今更ですけど、一応聞いてみましょう……
「分からない……」
「そう……ですよね……」
期待はあっさり打ち砕かれた。
「すまないな、やる事があるから失礼する」
秋人は立ち去った。
「……」
せめてスキャンで分かったらいいのですが、更新が必要なようですし……あれ? スキャンに通信は必要ないという事は内部情報ということですよね? もしかしたら見落としているだけで、それらを見れたりしないでしょうか? 試してみましょう……
指示された寝所に向かう。
溜息を吐きながら、洞窟の壁にもたれ掛かる。
スマートウォッチ的な物の設定を確認したり、色々してみるが……そういったのは見当たらなかった。
だめですか……見れたらスキャンしなくても済みますのに……
洞窟の外がより薄暗くなって行っている。
ようやく、日が沈み始めたんですか……まだ、この世界にきて一日も経ってないんですね……
そう、まだ一日しかたっていない……しかし、もう既に一か月以上はここで過ごした感覚だ。余りにも感覚と現実が乖離し過ぎていて、頭を抱えながら深い深いため息を吐いてしまう。
もう……疲れました……お家に帰りたいです……
暖房が効いた暖かい自室に、低反発性のふかふかのベッドを思い出す。それからは止まらなかった。
ママ……パパ……絲子さん……
流れるように次々と顔が思い浮かぶ。
胸が張り裂けそうな程、心もとなくなって涙が出てしまう。
声を出さない様に顔を伏せて静かに泣く。
「な、なぁ……死ねないって言う噂って本当か?」
避難民の方から会話が聞こえた。
盗み聞きするつもりはなかったが、会話が聞こえてしまう。
「間違いねえよ……俺の友人は、化け物に体を切られてバラバラだったのに、悲鳴を上げ続けていたんだ……クッソ!!」
「噂は本当だったんだ! これはきっと神の神罰だ!! 神様が俺たちに失望して、この地獄に俺たちを飛ばしたんだ!」
「俺は神何て信じていなかったが、そかもな……死ぬことすらも出来ねえから、俺たちは永遠と苦しみ続けるんだからな!!」
「嫌だ、嫌だ……! ああ、イエス様! どうか我々をお許しよ!!」
「……」
いつの間にか涙が引いていた。
死なない……
男子生徒が化け物の鉈で何度も潰されたのに生きていた事、スノーが明らかに致命傷を与えていたのに、男たちが苦しみ続けていた事、そして、人だけではなく、化け物も……明らかに致命傷なのに生きていた、苦しんでいるかのように……
全ての辻褄があった。
この世界では死という概念が無いことを理解してしまう……
もし自分が化け物に襲われたり、致命傷を負ってしまったら? 死にたくても死ねずに……苦しみ続ける……
心に釘を打ち付けられたかのような、衝撃と亀裂が全身に広がる。
「……!」
自分の手が生まれたての小鹿の様に震えてしまう。
だ、大丈夫です! こ、ここに居たら死ぬことはありませんし、安全です! 大丈夫、大丈夫……大丈夫なはずです……
自分に言い聞かせながら、胸に手を当てる。
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