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第一章 剣の刺さった狼犬
11話 チョコレートの代償
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その辺の石を枕にして仰向けに寝ている。
天井に開いている大きな穴を見る。空が見えるが、星は見えず、ただ暗闇が広がっている。
そういえば、まだ一日目でしたね……既に数日たった気分です。とにかく疲れました……早く家に帰ってふかふかの暖かいベッドで寝たいです……
寒いです……せめて羽織る物が欲しいですが、余ってないようですし……私もまだ子供ですし、それに今制服です。なので、少しぐらい配慮して欲しい気持ちがありますね……
スノー……もし、スノーが居たら、この寒さもマシになるかもしれませんね。
あんなことがありましたが、とりあえずは謝りたいです。スノーは賢いので、私の言葉で傷ついているかもしれませんし……
心が重くなる。
地面が固い……体が痛いです。せめてスクールバックがあったら枕に出来るのですが、それすらも無いですしね。
我慢して寝るしかないですよね……
お腹もすきました……幼虫3匹だけでしたし……
「イタイ……イタイ……タスケテ……!」
顔の代わりに赤黒い肉が露出している男子生徒が泣きながら私に掴んでくる。
「……ッ!」
体は動かない。
「イタイ……ナンデミステタ……?」
吸い込まれそうなほどの黒い目で私を見る。
嫌……!! こないで……!!?
突然、叩かれたかのような頭に衝撃が走る。
目を開けると、男が私を睨みつけていた。
「うるせえんだよ! 静かに寝ろ!!」
小声で怒鳴りながら離れていった。
「すいません……」
どうやら、また悪夢を見ていたそうですね……
こんな最悪な環境でもいつの間にか寝ていたようだった。しかし、その代償として、背中や腰など体中が痛い。
深いため息を吐く。
寝る環境も最悪ですし、寝たら悪夢をみますし……いつ帰れるのでしょうか?
考えれば考える程、心が削られていくようで涙が零れる。
声を出しそうになったが、なんとか声を押し殺して静かに泣くことが出来た。
次の日……幸い、あの幼虫を食べたことによってお腹は壊しませんでしたが、状況は変わらず最悪でした。
トイレは地面に穴を掘って、中心に穴がある板で蓋をしているだけの簡易トイレです。野ざらしで、プライベートもありませんし、臭かったです。
それに何より最悪なのがトイレットペーパーが無いことでした……自衛官が集めてくれた葉っぱとペットボトルの水で洗い流すしかありませんでした……本当に最悪です。落ち葉で拭いたせいで、お尻が痛いです……
風呂は地面に穴を掘って、シーツを被せて、その穴に湯を流し込むというのがありましたが、順番待ちです。一週間後になりそうです……
服も洗濯というのが無いので、臭くなってきます。汗でべとべとです……
食料は今日も不味い芋虫さんでした……その上、一日たった3匹だけです……餓死しそうです……更に不幸な事に自衛官の三人がモンスターに襲われたそうで、帰らぬ人となりました。因みに化物を狩って調理した人がいたそうですが、毒があるようで、口から血を吐いて動けなくなったそうです……
ここに来てから3日目……今日も芋虫さん……
お腹がすきすぎているせいか、水なしでも食べられるようになった。むしろ、美味しいとまで感じる……
「俺の物を取るな!」
「これは俺の食事だ!!」
避難民同士で芋虫さんの取り合い……いつもの光景です……
……このまま死ぬのでしょうか?
呆然とそんな事を考えると悲しくて涙が出て来る。
突然、肩を叩かれる。
振り向くと小太りの中年男性がいた。
「どうしたんかね? 大丈夫?」
優しく話しかけて来る。
「はい……家族も心配ですし、状況は悪くなっていく一方ですし……」
声を掛けてくれて、嬉しかったのか、自ら話してしまう。
「辛そうだね……これ食べるかね?」
中年の男は板チョコの袋を取り出す。
「……ッ!!」
ちょ、チョコレート!!
「い、いいんですか!?」
涎が出そうになるのを抑える。
「いいけど……その対価として、分かるよね?」
不気味な笑顔を浮かべる。
「えっ……?」
「やらせてよ。一回でいいから」
「……!!」
意味を理解した瞬間、ゾワっと全身に鳥肌が広がる。
気持ち悪い!!
真っ先にこの言葉が浮かぶ。
「い、いや……」
遠ざけるように後ずさりをする。
「いいの? これ欲しくないの?」
息を荒くして、私の体を舐めるように見ている。
「いいです……」
冗談じゃないです! こんな奴に体を売るぐらいなら死んだほうがましです!
「キモチよくするからさぁ……」
私の顔を触ろうとする。
キモイ! キモイ!!
「!」
全速力で振り払う。
「結構です!!」
その場から立ち去った。
あんな、クソみたいな人もいるんですね……勉強になりました……思い出しただけでも……うう……ッ!
鳥肌が立つ。
天井に開いている大きな穴を見る。空が見えるが、星は見えず、ただ暗闇が広がっている。
そういえば、まだ一日目でしたね……既に数日たった気分です。とにかく疲れました……早く家に帰ってふかふかの暖かいベッドで寝たいです……
寒いです……せめて羽織る物が欲しいですが、余ってないようですし……私もまだ子供ですし、それに今制服です。なので、少しぐらい配慮して欲しい気持ちがありますね……
スノー……もし、スノーが居たら、この寒さもマシになるかもしれませんね。
あんなことがありましたが、とりあえずは謝りたいです。スノーは賢いので、私の言葉で傷ついているかもしれませんし……
心が重くなる。
地面が固い……体が痛いです。せめてスクールバックがあったら枕に出来るのですが、それすらも無いですしね。
我慢して寝るしかないですよね……
お腹もすきました……幼虫3匹だけでしたし……
「イタイ……イタイ……タスケテ……!」
顔の代わりに赤黒い肉が露出している男子生徒が泣きながら私に掴んでくる。
「……ッ!」
体は動かない。
「イタイ……ナンデミステタ……?」
吸い込まれそうなほどの黒い目で私を見る。
嫌……!! こないで……!!?
突然、叩かれたかのような頭に衝撃が走る。
目を開けると、男が私を睨みつけていた。
「うるせえんだよ! 静かに寝ろ!!」
小声で怒鳴りながら離れていった。
「すいません……」
どうやら、また悪夢を見ていたそうですね……
こんな最悪な環境でもいつの間にか寝ていたようだった。しかし、その代償として、背中や腰など体中が痛い。
深いため息を吐く。
寝る環境も最悪ですし、寝たら悪夢をみますし……いつ帰れるのでしょうか?
考えれば考える程、心が削られていくようで涙が零れる。
声を出しそうになったが、なんとか声を押し殺して静かに泣くことが出来た。
次の日……幸い、あの幼虫を食べたことによってお腹は壊しませんでしたが、状況は変わらず最悪でした。
トイレは地面に穴を掘って、中心に穴がある板で蓋をしているだけの簡易トイレです。野ざらしで、プライベートもありませんし、臭かったです。
それに何より最悪なのがトイレットペーパーが無いことでした……自衛官が集めてくれた葉っぱとペットボトルの水で洗い流すしかありませんでした……本当に最悪です。落ち葉で拭いたせいで、お尻が痛いです……
風呂は地面に穴を掘って、シーツを被せて、その穴に湯を流し込むというのがありましたが、順番待ちです。一週間後になりそうです……
服も洗濯というのが無いので、臭くなってきます。汗でべとべとです……
食料は今日も不味い芋虫さんでした……その上、一日たった3匹だけです……餓死しそうです……更に不幸な事に自衛官の三人がモンスターに襲われたそうで、帰らぬ人となりました。因みに化物を狩って調理した人がいたそうですが、毒があるようで、口から血を吐いて動けなくなったそうです……
ここに来てから3日目……今日も芋虫さん……
お腹がすきすぎているせいか、水なしでも食べられるようになった。むしろ、美味しいとまで感じる……
「俺の物を取るな!」
「これは俺の食事だ!!」
避難民同士で芋虫さんの取り合い……いつもの光景です……
……このまま死ぬのでしょうか?
呆然とそんな事を考えると悲しくて涙が出て来る。
突然、肩を叩かれる。
振り向くと小太りの中年男性がいた。
「どうしたんかね? 大丈夫?」
優しく話しかけて来る。
「はい……家族も心配ですし、状況は悪くなっていく一方ですし……」
声を掛けてくれて、嬉しかったのか、自ら話してしまう。
「辛そうだね……これ食べるかね?」
中年の男は板チョコの袋を取り出す。
「……ッ!!」
ちょ、チョコレート!!
「い、いいんですか!?」
涎が出そうになるのを抑える。
「いいけど……その対価として、分かるよね?」
不気味な笑顔を浮かべる。
「えっ……?」
「やらせてよ。一回でいいから」
「……!!」
意味を理解した瞬間、ゾワっと全身に鳥肌が広がる。
気持ち悪い!!
真っ先にこの言葉が浮かぶ。
「い、いや……」
遠ざけるように後ずさりをする。
「いいの? これ欲しくないの?」
息を荒くして、私の体を舐めるように見ている。
「いいです……」
冗談じゃないです! こんな奴に体を売るぐらいなら死んだほうがましです!
「キモチよくするからさぁ……」
私の顔を触ろうとする。
キモイ! キモイ!!
「!」
全速力で振り払う。
「結構です!!」
その場から立ち去った。
あんな、クソみたいな人もいるんですね……勉強になりました……思い出しただけでも……うう……ッ!
鳥肌が立つ。
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