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15 リアにできること
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私たちは診療所の跡地みたいな場所に案内されました。貧民街のなかでは一番小奇麗な建物です。ヒビの入ったカップと水を出されました。
「ま、適当に座れや」
待合室の椅子に座ります。
殿下は何かあった時に私を守れるよう、隣にいます。
「それで、どうしてこんな場所に戻ってきやがったんだ。親の顔を見に帰省ってわけでもないだろ」
「私たちはこの街を変えたいと願っています。お嬢様の望みはそれです」
「国が干渉してもっと生きやすくすることもできるはずだ。食糧事情を改善して仕事も増やして、皆で裕福になればいい」
殿下も力説しますが、ティボーさんは大笑いしました。
「なんも知らねえガキ共だなぁ。まだスラムにいる俺の方が情報を握ってるぜ」
「あの、どういうことですか?」
「ここだけの話だぞ。実際のところ、貧民街にはけっこうな予算がつぎ込まれてるんだよ。食糧の支給、仕事を斡旋する為の就労施設の建設計画、それだけあったら上手く行くだろうなってくらいの金がつぎ込まれてる。王様は俺らの為に金を使っていいって判断してんだ」
「なら、この惨状はなんだ! どうしてよくならない!」
ドンドンドン! 殿下が熱くなったところで、診療所の扉が激しく叩かれました。
「ティボーさん! 娘が高熱なんだ! 助けてやってくれないか!」
「ああ……。薬はもう使い切ってねえんだ。悪いな」
「そんな……! この娘を失ったら私はもう……」
顔色の悪い女の子とお父さんです。
王都に住んでる子供だったら、診療所に行けば薬をもらえます。
でも、ここではそうではないんです。
「一応聞くが、あんたらの中に治癒魔法が使える奴はいねえよな?」
「申し訳ないが、俺は炎、こっちのニコラは風、リアは……」
「光ですけど……。魔力が弱くて魔法が成功したことがないんです」
「中途半端なヒールでもいい。かけてやってくれないか。もう……俺から見て長くはねえ」
「……お願いします! 高貴な方とお見受けしますが、どうか娘に治癒魔法を……! この通りです!」
わ、私は、そんな魔法なんか全然使えません。
リアは貴重な光属性の魔力を持ってます。お父様はそれが開花して、私が伝説の聖女みたいになって活躍することを期待してました。でも、リアにできることは何もなくて、失望されて、いつの間にか妹だけがお父様の娘みたいになってました。
リアだって、家族を見返してやりたいって、頑張ってたんです。
でも、やっぱり魔法は成功しなくて……。
「リア、言っただろう。結果だけじゃないんだ。俺たちは」
殿下が厳しいけど、優しい声で諭してくれます。
「誰もお嬢様を恨んだりしません。ですから、手を握ってあげてくださいませんか……?」
「リアは……。リアにできることをします」
女の子の手は細くてガリガリで、頬もこけています。
国からの支援はあるはずなのに。
何も行き届いていなくて。
リアは涙で視界が滲んでしまいました。
リアが何もせず屋敷でダラダラ過ごしている時に、この娘たちは食べるものもなくて、毎日一生懸命に生きていて。もっと早く私たちが動けていたら。何か少しでも変わってたかもしれないのに。この診療所だって、本物にできたかもしれないのに。
(初めてちゃんとお祈りします。天にまします女神様、どうかリアの願いを聞いて下さい。この力なき子羊に癒しを与えてください)
治癒魔法は天の力を借りて行うものだって授業で聞いたことがあります。
だから、詠唱とは別に聖句が用意されているんです。
「この者を癒せ。ヒー……」
『オッケーでーす。リアちゃん可愛いから聞いちゃいまーす。ゴッドヒール』
(…………ッ!?)
リアの身体から黄金に輝く魔力が迸ります。
な、ななな、何が起こってるんですか!?
まだ詠唱が完成してなかったんですが!
リアの身体から放たれた光が女の子に降り注ぎます。
診療所にいる皆さんもあまりの事態に黙り込んじゃってます。
「ん……。パパ……。ママ……?」
「あああぁ! 娘が目を開いた! ローラ! 父さんが分かるね!?」
「うん。お熱なくなったよ?」
「奇跡だ……! ありがとうございます! あなたは聖女の生まれ変わりだ!」
(リアはちょっとお願いしてみただけで、まだ詠唱もしてなかったんですけど! なんで魔法が発動してるんですか!?)
「リアが……聖女……」
殿下が頭を抱えています!
よく分かんないですけど女の子が助かったことだけは本当に嬉しいです!
「ま、適当に座れや」
待合室の椅子に座ります。
殿下は何かあった時に私を守れるよう、隣にいます。
「それで、どうしてこんな場所に戻ってきやがったんだ。親の顔を見に帰省ってわけでもないだろ」
「私たちはこの街を変えたいと願っています。お嬢様の望みはそれです」
「国が干渉してもっと生きやすくすることもできるはずだ。食糧事情を改善して仕事も増やして、皆で裕福になればいい」
殿下も力説しますが、ティボーさんは大笑いしました。
「なんも知らねえガキ共だなぁ。まだスラムにいる俺の方が情報を握ってるぜ」
「あの、どういうことですか?」
「ここだけの話だぞ。実際のところ、貧民街にはけっこうな予算がつぎ込まれてるんだよ。食糧の支給、仕事を斡旋する為の就労施設の建設計画、それだけあったら上手く行くだろうなってくらいの金がつぎ込まれてる。王様は俺らの為に金を使っていいって判断してんだ」
「なら、この惨状はなんだ! どうしてよくならない!」
ドンドンドン! 殿下が熱くなったところで、診療所の扉が激しく叩かれました。
「ティボーさん! 娘が高熱なんだ! 助けてやってくれないか!」
「ああ……。薬はもう使い切ってねえんだ。悪いな」
「そんな……! この娘を失ったら私はもう……」
顔色の悪い女の子とお父さんです。
王都に住んでる子供だったら、診療所に行けば薬をもらえます。
でも、ここではそうではないんです。
「一応聞くが、あんたらの中に治癒魔法が使える奴はいねえよな?」
「申し訳ないが、俺は炎、こっちのニコラは風、リアは……」
「光ですけど……。魔力が弱くて魔法が成功したことがないんです」
「中途半端なヒールでもいい。かけてやってくれないか。もう……俺から見て長くはねえ」
「……お願いします! 高貴な方とお見受けしますが、どうか娘に治癒魔法を……! この通りです!」
わ、私は、そんな魔法なんか全然使えません。
リアは貴重な光属性の魔力を持ってます。お父様はそれが開花して、私が伝説の聖女みたいになって活躍することを期待してました。でも、リアにできることは何もなくて、失望されて、いつの間にか妹だけがお父様の娘みたいになってました。
リアだって、家族を見返してやりたいって、頑張ってたんです。
でも、やっぱり魔法は成功しなくて……。
「リア、言っただろう。結果だけじゃないんだ。俺たちは」
殿下が厳しいけど、優しい声で諭してくれます。
「誰もお嬢様を恨んだりしません。ですから、手を握ってあげてくださいませんか……?」
「リアは……。リアにできることをします」
女の子の手は細くてガリガリで、頬もこけています。
国からの支援はあるはずなのに。
何も行き届いていなくて。
リアは涙で視界が滲んでしまいました。
リアが何もせず屋敷でダラダラ過ごしている時に、この娘たちは食べるものもなくて、毎日一生懸命に生きていて。もっと早く私たちが動けていたら。何か少しでも変わってたかもしれないのに。この診療所だって、本物にできたかもしれないのに。
(初めてちゃんとお祈りします。天にまします女神様、どうかリアの願いを聞いて下さい。この力なき子羊に癒しを与えてください)
治癒魔法は天の力を借りて行うものだって授業で聞いたことがあります。
だから、詠唱とは別に聖句が用意されているんです。
「この者を癒せ。ヒー……」
『オッケーでーす。リアちゃん可愛いから聞いちゃいまーす。ゴッドヒール』
(…………ッ!?)
リアの身体から黄金に輝く魔力が迸ります。
な、ななな、何が起こってるんですか!?
まだ詠唱が完成してなかったんですが!
リアの身体から放たれた光が女の子に降り注ぎます。
診療所にいる皆さんもあまりの事態に黙り込んじゃってます。
「ん……。パパ……。ママ……?」
「あああぁ! 娘が目を開いた! ローラ! 父さんが分かるね!?」
「うん。お熱なくなったよ?」
「奇跡だ……! ありがとうございます! あなたは聖女の生まれ変わりだ!」
(リアはちょっとお願いしてみただけで、まだ詠唱もしてなかったんですけど! なんで魔法が発動してるんですか!?)
「リアが……聖女……」
殿下が頭を抱えています!
よく分かんないですけど女の子が助かったことだけは本当に嬉しいです!
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