7 / 34
私たちはファミリー(思いつき)
しおりを挟む
クマと執事さんが厳しくアリシアを睨み、アレンはアリシアを庇いたいけど庇えないといった感じに殺気立っている。
「アリシア……。お前、何ということをしてくれたんだ!」
真っ先に怒りを示したのはクマだった。
続いて、執事が的確に私の状況を見て助け船を出してくれた。
「すぐにお着替えになった方がよろしいでしょう。アリシアについては然るべき罰を与えますので、ここは私にお任せください」
「然るべき罰ですか?」
「ええ、鞭打ちの刑と、望むのであれば打ち首が相応しいかと」
「え!?」
ドレスを駄目にしたくらいで鞭打ちと打ち首って、本気で言ってるの!?
「私にはこのドレス一着と彼女の命が釣り合うとはとても思えないのだけど」
「……申し訳ありません」
アリシアが私の元に跪く。
そんな彼女を庇うように、アレンが私に頭を下げた。
「今回の采配は僕の責任です。代わりに、僕が罰を受けます」
「卑怯だぞアレン! お前は団長のお気に入りだ! お前が身代わりになればアリシアは無事でいられるし、代わりに自分が処刑されることもないという腹積もりだろう!」
「アレンよ、一番の罪はアリシアにある。彼女は元は敵国の将軍の娘だ。ジュン・アルガスに恨みを抱き、その奥方となるリリナ様に反意を抱いたとしてもおかしくはない。今回は無事に済んだが、次は命を狙いかねないのだぞ」
うわー、クマさんも執事さんもブチギレだよ。
青褪めたアリシアは土下座から復帰しないし……。
ていうか、毎回こんなことされたらお菓子を楽しむことさえできないわ。
せっかく息抜きの時間をもらったのにもったいない。
「はぁ……。皆、少し落ち着いてちょうだい。このドレスは安物ですし、とても人の命に変えられるような代物ではありません。アリシア、あなたに罪を求めるようなことはしないから、頭を上げて。アレンは構わないけど、そこの二人はこの子を脅かさないでください。まだ子供なんです」
「し、しかし……」
「クマ……じゃなくてすみません。名前は何でしたっけ」
「グライです、リリナ様」
そうそう、グライだった。ほとんど接点がないからと言って、人の名前を忘れるとは大失態だと思う。辺境に来てから社交界にも参加しなくなってしまったが、顔と名前くらいは一致させないとなぁと反省した。
一応、執事さんの方はちゃんと覚えてる。
マルコだ。こちらは忘れないよう気をつけたいと思う。
「グライ、あなたが私を護ろうとしてくれていることには感謝します。ですが、元帝国人だからといって全員を危険分子だとする考え方には賛同しかねます。私は、あなたたちのこともアリシアたちのことも家族だと思ってます。いたずらに傷つけるのはやめてください」
「う……うう」
クマが泣き始めた……。
いや、泣きたいのはこっちなんだけど。
子供相手にムキになって処刑だのなんだの、正直今すぐにでもクビにしてもらいたいくらいなんだけど。
「申し訳ありません、リリナ様! そしてアリシア! お前にもすまないことをした! 私は、先の大戦で仲間を失った悲しみをアリシアにぶつけていたのかもしれない! すまない! 私にはこうして家族ができていたというのに!」
うん、クマ……じゃない、グライも反省してるみたいだし許そう。
「失ったものを数えるより、今あなたが守っている者のことを考えなさい」
「はい! 私は、リリナ様に恥じない騎士になります!」
頑張ってください。次、アリシアにおかしな暴走したらクビにしてもらうからね。
「奥方様」
執事が私に一礼する。
この人、ナチュラルに奥方様呼びするから突っ込めないんだよね。まだ未婚だって。
「何かしら、マルコ」
「私は奥方様のことを誤解していました。貴族のなかには敵国の子供を買収し、苛め抜く悪辣な方も多いと聞きます。私はアリシアを密かに屋敷から逃し、私の目の届く孤児院で面倒を見ようと思っていたのです」
「は……はぁ」
「しかし、今回の一件で考えを改めました。奥方様のことをホンの一ミクロンも信用していなかった己を恥じ、これからは誠心誠意、務めて参りたいと考えます」
「そ、そう。それは本当に良かったわ」
こんなに頑張ってるのに全く信用されてなかったのか。辛すぎるよマルコ。何なのよマルコ。
戦いは心に傷を残す。
だから、ラブ&ピースが一番なのだと思う。
平和が一番だよ。
「リリナ様すき」
その後、アリシアはすっかり私に懐いてくれた。
それからは皆、特に暴走することもなく、アリシアも怖いオッサンたちに睨まれず伸び伸びと仕事ができるようになってミスも減ったから万々歳だった。
一番の成果はアリシアが私を姉のように慕ってくるようになったことだけど、その話はまた今度ね。
はー。辺境ライフ、ひとまずはリラックスできるし万々歳かな。
「アリシア……。お前、何ということをしてくれたんだ!」
真っ先に怒りを示したのはクマだった。
続いて、執事が的確に私の状況を見て助け船を出してくれた。
「すぐにお着替えになった方がよろしいでしょう。アリシアについては然るべき罰を与えますので、ここは私にお任せください」
「然るべき罰ですか?」
「ええ、鞭打ちの刑と、望むのであれば打ち首が相応しいかと」
「え!?」
ドレスを駄目にしたくらいで鞭打ちと打ち首って、本気で言ってるの!?
「私にはこのドレス一着と彼女の命が釣り合うとはとても思えないのだけど」
「……申し訳ありません」
アリシアが私の元に跪く。
そんな彼女を庇うように、アレンが私に頭を下げた。
「今回の采配は僕の責任です。代わりに、僕が罰を受けます」
「卑怯だぞアレン! お前は団長のお気に入りだ! お前が身代わりになればアリシアは無事でいられるし、代わりに自分が処刑されることもないという腹積もりだろう!」
「アレンよ、一番の罪はアリシアにある。彼女は元は敵国の将軍の娘だ。ジュン・アルガスに恨みを抱き、その奥方となるリリナ様に反意を抱いたとしてもおかしくはない。今回は無事に済んだが、次は命を狙いかねないのだぞ」
うわー、クマさんも執事さんもブチギレだよ。
青褪めたアリシアは土下座から復帰しないし……。
ていうか、毎回こんなことされたらお菓子を楽しむことさえできないわ。
せっかく息抜きの時間をもらったのにもったいない。
「はぁ……。皆、少し落ち着いてちょうだい。このドレスは安物ですし、とても人の命に変えられるような代物ではありません。アリシア、あなたに罪を求めるようなことはしないから、頭を上げて。アレンは構わないけど、そこの二人はこの子を脅かさないでください。まだ子供なんです」
「し、しかし……」
「クマ……じゃなくてすみません。名前は何でしたっけ」
「グライです、リリナ様」
そうそう、グライだった。ほとんど接点がないからと言って、人の名前を忘れるとは大失態だと思う。辺境に来てから社交界にも参加しなくなってしまったが、顔と名前くらいは一致させないとなぁと反省した。
一応、執事さんの方はちゃんと覚えてる。
マルコだ。こちらは忘れないよう気をつけたいと思う。
「グライ、あなたが私を護ろうとしてくれていることには感謝します。ですが、元帝国人だからといって全員を危険分子だとする考え方には賛同しかねます。私は、あなたたちのこともアリシアたちのことも家族だと思ってます。いたずらに傷つけるのはやめてください」
「う……うう」
クマが泣き始めた……。
いや、泣きたいのはこっちなんだけど。
子供相手にムキになって処刑だのなんだの、正直今すぐにでもクビにしてもらいたいくらいなんだけど。
「申し訳ありません、リリナ様! そしてアリシア! お前にもすまないことをした! 私は、先の大戦で仲間を失った悲しみをアリシアにぶつけていたのかもしれない! すまない! 私にはこうして家族ができていたというのに!」
うん、クマ……じゃない、グライも反省してるみたいだし許そう。
「失ったものを数えるより、今あなたが守っている者のことを考えなさい」
「はい! 私は、リリナ様に恥じない騎士になります!」
頑張ってください。次、アリシアにおかしな暴走したらクビにしてもらうからね。
「奥方様」
執事が私に一礼する。
この人、ナチュラルに奥方様呼びするから突っ込めないんだよね。まだ未婚だって。
「何かしら、マルコ」
「私は奥方様のことを誤解していました。貴族のなかには敵国の子供を買収し、苛め抜く悪辣な方も多いと聞きます。私はアリシアを密かに屋敷から逃し、私の目の届く孤児院で面倒を見ようと思っていたのです」
「は……はぁ」
「しかし、今回の一件で考えを改めました。奥方様のことをホンの一ミクロンも信用していなかった己を恥じ、これからは誠心誠意、務めて参りたいと考えます」
「そ、そう。それは本当に良かったわ」
こんなに頑張ってるのに全く信用されてなかったのか。辛すぎるよマルコ。何なのよマルコ。
戦いは心に傷を残す。
だから、ラブ&ピースが一番なのだと思う。
平和が一番だよ。
「リリナ様すき」
その後、アリシアはすっかり私に懐いてくれた。
それからは皆、特に暴走することもなく、アリシアも怖いオッサンたちに睨まれず伸び伸びと仕事ができるようになってミスも減ったから万々歳だった。
一番の成果はアリシアが私を姉のように慕ってくるようになったことだけど、その話はまた今度ね。
はー。辺境ライフ、ひとまずはリラックスできるし万々歳かな。
0
あなたにおすすめの小説
転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。
前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。
恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに!
しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに……
見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!?
小説家になろうでも公開しています。
第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
辺境の侯爵令嬢、婚約破棄された夜に最強薬師スキルでざまぁします。
コテット
恋愛
侯爵令嬢リーナは、王子からの婚約破棄と義妹の策略により、社交界での地位も誇りも奪われた。
だが、彼女には誰も知らない“前世の記憶”がある。現代薬剤師として培った知識と、辺境で拾った“魔草”の力。
それらを駆使して、貴族社会の裏を暴き、裏切った者たちに“真実の薬”を処方する。
ざまぁの宴の先に待つのは、異国の王子との出会い、平穏な薬草庵の日々、そして新たな愛。
これは、捨てられた令嬢が世界を変える、痛快で甘くてスカッとする逆転恋愛譚。
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉
狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。
「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。
フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。
対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。
「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」
聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。
「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」
そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。
イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。
ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼
そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ!
イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。
しかし……。
「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」
そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる