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自滅王子は力の代償をツケにされているようです※王子視点
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白い光が収まり、目を覚ますと。
俺はシーツに包まれ、王宮のベッドの中にいた。
「ここは……」
記憶を辿り、俺は父上が身を投げ出してまで時間を巻き戻してくれたことを思い出す。
「……父上」
恐らく、無事ではないだろう。
確かめたわけでもないのに、俺には実感として父上がいなくなってしまったことが分かった。
だが、胸中に悲しみは沸きあがってこない。
秘密主義で押しつけがましい父上のやり方には、ホトホト嫌気が差していたのだ。
大した説明もなく、土壇場になって国を譲ると言われても困惑しかない。
もっと早くに事情を話してくれていれば、今、俺が思い悩むこともなかったというのに。
「まあいい。あのウザイ父上は勝手に自滅して消えてくれたんだ」
俺が目を覚ましてしばらくしたところで、寝室にメイドが入ってくる。
「陛下、お目覚めですか」
「今、俺のことを陛下と呼んだかい?」
「……はい。レギ・フードル陛下」
ふ……ふふ。あの父上が死んだ影響だろうか。
俺が、王になったらしい。
ならば、口調も王様らしいものにしないといけないな。
「僕が新たな王だ。ふ……ふふ」
「……陛下?」
「あははははは!」
ついに、ついに王様になれたぞ!
これでこの国は僕のものだ!
リリナのクソ野郎にも存分に罰を与えることができる!!!!
「お加減が悪いようですね。医者を呼んで参ります」
「君さぁ、今朝は起こしにくるのが遅かったよね」
「は、はい。申し訳ありません」
「罰を与えるからこっちにきてよ」
「え、でも、私には既に婚約者が……」
「いいから。君、可愛いから後宮に入れてあげるよ。欲しいものはある? 何でも買ってあげるよ」
抵抗していたメイドだけど、僕が婚約者の名前を聞き出して脅かしてやると、簡単に抱かせてくれた。
ああ、王様っていいものだね。
王子と王様でこんなに待遇が変わるなんて驚きだよ。
それに、いざとなったら少しだけ力を使えば、失敗も帳消しにできるんだ。
お父様は加減を間違って自滅してしまったけど、ちゃんと力を使いこなせば、十分とか二十分なら簡単に時間を巻き戻してなかったことにできる。
実際、僕はメイドを抱いたあとに時間を巻き戻して、過ちをなかったことにできた。
これなら好きな女を抱き放題だし、問題が起きたら時間を巻き戻してなかったことにすればいい。
もう本当に最高だよ王様って! たまたまご先祖様が盟約とやらを結んでくれていたおかげで、僕は好き放題できるようになってしまった!
「ふ、ふふ! あははははは!!!!」
「どうされました? 陛下」
時間を巻き戻して、何も事情を知らないメイドが部屋に入ってくる。
「いや、何でもないよ。今日も民の為に働かなくちゃと思ってね」
「立派な心掛けだと思います」
そうそう、僕は立派な王様なんだよ。
僕は父上みたいに手ぬるいやり方はしない。
敵は容赦なく踏み潰すし、邪魔になりそうな奴は事前に排除する。
まずはリリナを僕の女にして、こき使ってやらないとな。
欲しい者は何でも手に入れなくちゃ、僕は王様なんだから。
リリナを抱いてやることを夢想しながら、僕はメイドに手を伸ばした。
俺はシーツに包まれ、王宮のベッドの中にいた。
「ここは……」
記憶を辿り、俺は父上が身を投げ出してまで時間を巻き戻してくれたことを思い出す。
「……父上」
恐らく、無事ではないだろう。
確かめたわけでもないのに、俺には実感として父上がいなくなってしまったことが分かった。
だが、胸中に悲しみは沸きあがってこない。
秘密主義で押しつけがましい父上のやり方には、ホトホト嫌気が差していたのだ。
大した説明もなく、土壇場になって国を譲ると言われても困惑しかない。
もっと早くに事情を話してくれていれば、今、俺が思い悩むこともなかったというのに。
「まあいい。あのウザイ父上は勝手に自滅して消えてくれたんだ」
俺が目を覚ましてしばらくしたところで、寝室にメイドが入ってくる。
「陛下、お目覚めですか」
「今、俺のことを陛下と呼んだかい?」
「……はい。レギ・フードル陛下」
ふ……ふふ。あの父上が死んだ影響だろうか。
俺が、王になったらしい。
ならば、口調も王様らしいものにしないといけないな。
「僕が新たな王だ。ふ……ふふ」
「……陛下?」
「あははははは!」
ついに、ついに王様になれたぞ!
これでこの国は僕のものだ!
リリナのクソ野郎にも存分に罰を与えることができる!!!!
「お加減が悪いようですね。医者を呼んで参ります」
「君さぁ、今朝は起こしにくるのが遅かったよね」
「は、はい。申し訳ありません」
「罰を与えるからこっちにきてよ」
「え、でも、私には既に婚約者が……」
「いいから。君、可愛いから後宮に入れてあげるよ。欲しいものはある? 何でも買ってあげるよ」
抵抗していたメイドだけど、僕が婚約者の名前を聞き出して脅かしてやると、簡単に抱かせてくれた。
ああ、王様っていいものだね。
王子と王様でこんなに待遇が変わるなんて驚きだよ。
それに、いざとなったら少しだけ力を使えば、失敗も帳消しにできるんだ。
お父様は加減を間違って自滅してしまったけど、ちゃんと力を使いこなせば、十分とか二十分なら簡単に時間を巻き戻してなかったことにできる。
実際、僕はメイドを抱いたあとに時間を巻き戻して、過ちをなかったことにできた。
これなら好きな女を抱き放題だし、問題が起きたら時間を巻き戻してなかったことにすればいい。
もう本当に最高だよ王様って! たまたまご先祖様が盟約とやらを結んでくれていたおかげで、僕は好き放題できるようになってしまった!
「ふ、ふふ! あははははは!!!!」
「どうされました? 陛下」
時間を巻き戻して、何も事情を知らないメイドが部屋に入ってくる。
「いや、何でもないよ。今日も民の為に働かなくちゃと思ってね」
「立派な心掛けだと思います」
そうそう、僕は立派な王様なんだよ。
僕は父上みたいに手ぬるいやり方はしない。
敵は容赦なく踏み潰すし、邪魔になりそうな奴は事前に排除する。
まずはリリナを僕の女にして、こき使ってやらないとな。
欲しい者は何でも手に入れなくちゃ、僕は王様なんだから。
リリナを抱いてやることを夢想しながら、僕はメイドに手を伸ばした。
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