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レールディアが去った後、王都上空に常に分厚い暗雲が立ち込めるようになった。太陽をまったく覗かせなくなった空について、王都の魔術師達は魔王復活の予兆ではないかと考えるに至った。かつて魔王が復活した際の状況とそっくりだったからである。
そんなこととはつゆ知らず、辺境ではレールディアがまったりとスローライフを送っていた。
「俺の仕事は土壌の管理だ。作物がよく取れるように栄養を注いでいる。笑えるか?」
「とてもすごい魔法ですね! 私、妻として鼻が高いです!」
「……はぁ。王都の女はこの話をすると下品なくらい笑い転げたものだがな」
「私も笑わないといけないのですか? とても凄い魔法なのに……」
「いや、お前は変わらなくていい。多少馬鹿だがな」
頭を撫でられて、レールディアがだらしなく微笑む。
ユージンはそんなレールディアから顔を背けた。
(……こいつがあまりに初心だから俺まで調子がおかしくなる)
ユージンは他人を頼るのが嫌いで、仕事は何でも一人でこなしてしまう。
屋敷には老齢のメイドが一人いたが、ユージンが炊事洗濯を何でも一人でこなす為にやる気が削がれたと言い、レールディアと入れ替わりで退職してしまっていた。
そうなると、辺境伯の屋敷には二人しかいないことになる。
必然、ユージンからのレールディアに対するスキンシップは増えていった。
「その大きい胸で挟んでくれ」
「せっかくなので口に含んでみますね! 前から興味があったので!」
レールディアはユージンの反応を伺いながら尽くす。
あまりの気持ちよさにユージンは腰が砕けそうだった。
ユージンはレールディアにコップの水をやり、口をすすがせる。
そうしてから、舌を絡めてキスをした。
「ユージン様……」
「愛してる」
「……ッ!」
自然に愛など囁いてしまった自分に、ユージンは驚く。
初めは気に入らなければ王都へ戻そうと思っていたが、今ではレールディアのいない生活など考えられない程だった。
レールディアもユージンとの素朴な生活を楽しんでくれているようで、ユージンは満ち足りた生活を送っている。
「私のこと、捨てないでくださいね」
「……捨てるものか。お前こそ、俺以外の男には絶対近づくなよ」
ユージンは四六時中、レールディアを連れまわす。
浮気をする時間など物理的に存在しなかったが、レールディアはユージンの独占欲が嬉しかった。
今まで誰からも必要とされなかったのだ。
例え性欲を満たす為であっても、自分を必要として離さないと言ってくれるユージンのことをレールディアは愛してしまっていた。
憐れな程に、狭い世界のなかでしか生きていないレールディアである。
しかし、虐待を受けていたレールディアはそれでも幸せだった。
そんな風に幸せそうなレールディアを見ていると、ユージンは不思議と胸が痛むのを感じた。
そんなこととはつゆ知らず、辺境ではレールディアがまったりとスローライフを送っていた。
「俺の仕事は土壌の管理だ。作物がよく取れるように栄養を注いでいる。笑えるか?」
「とてもすごい魔法ですね! 私、妻として鼻が高いです!」
「……はぁ。王都の女はこの話をすると下品なくらい笑い転げたものだがな」
「私も笑わないといけないのですか? とても凄い魔法なのに……」
「いや、お前は変わらなくていい。多少馬鹿だがな」
頭を撫でられて、レールディアがだらしなく微笑む。
ユージンはそんなレールディアから顔を背けた。
(……こいつがあまりに初心だから俺まで調子がおかしくなる)
ユージンは他人を頼るのが嫌いで、仕事は何でも一人でこなしてしまう。
屋敷には老齢のメイドが一人いたが、ユージンが炊事洗濯を何でも一人でこなす為にやる気が削がれたと言い、レールディアと入れ替わりで退職してしまっていた。
そうなると、辺境伯の屋敷には二人しかいないことになる。
必然、ユージンからのレールディアに対するスキンシップは増えていった。
「その大きい胸で挟んでくれ」
「せっかくなので口に含んでみますね! 前から興味があったので!」
レールディアはユージンの反応を伺いながら尽くす。
あまりの気持ちよさにユージンは腰が砕けそうだった。
ユージンはレールディアにコップの水をやり、口をすすがせる。
そうしてから、舌を絡めてキスをした。
「ユージン様……」
「愛してる」
「……ッ!」
自然に愛など囁いてしまった自分に、ユージンは驚く。
初めは気に入らなければ王都へ戻そうと思っていたが、今ではレールディアのいない生活など考えられない程だった。
レールディアもユージンとの素朴な生活を楽しんでくれているようで、ユージンは満ち足りた生活を送っている。
「私のこと、捨てないでくださいね」
「……捨てるものか。お前こそ、俺以外の男には絶対近づくなよ」
ユージンは四六時中、レールディアを連れまわす。
浮気をする時間など物理的に存在しなかったが、レールディアはユージンの独占欲が嬉しかった。
今まで誰からも必要とされなかったのだ。
例え性欲を満たす為であっても、自分を必要として離さないと言ってくれるユージンのことをレールディアは愛してしまっていた。
憐れな程に、狭い世界のなかでしか生きていないレールディアである。
しかし、虐待を受けていたレールディアはそれでも幸せだった。
そんな風に幸せそうなレールディアを見ていると、ユージンは不思議と胸が痛むのを感じた。
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