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天が裂け、手が伸びてきた。
それは、白昼夢のような光景であった。
突然、暗雲の奥から白い老人の手が現れ、王都近郊の街を丸ごと掴んで握りつぶしたのである。
王都に居た者は悪夢のようなその光景を、ただ黙って見ていることしかできなかった。
玉座にて、若き賢王クードリファは水晶越しにその光景を見ていた。
「馬鹿な……。異界に封じられていた魔王が復活した……だと」
王都には魔王の復活を妨害する為の聖人が居たはずだ。
彼らがいる限り、異界への扉は固く閉ざされている、はずだった。
クードリファは水晶に答えを出させる。
そして、唖然とした。
なんと、王都に居たはずの聖人達の血が、途絶えているのである。
かつて数百年前、古の賢者ガルスは王都に居た者達に聖人の祝福を与え、彼らの子孫の心が清らかな内は魔王の復活を阻止できるよう呪術を行使した。
以来、封印は聖人の血によって守られていたはずだが、それが消え去っていたことに恐怖を覚える。聖人がこうまで途絶えてしまうとは……。
「む……?」
水晶に一点の輝きが示される。
それは、聖人がまだ死に絶えていなかったことを意味した。
「だが、これは辺境伯の……直接行って確かめるか」
賢王はグリフォンに騎乗すると、辺境へと飛び立った。
そうして、賢王が飛び立つと同時刻、レールディアはユージンから贈られた指輪が強く発光していることに気づく。
二人はいつものように畑の土壌に魔力を流して、実りをよくしてから屋敷へ帰っていく最中だった。
そんな折、突然レールディアの薬指の指輪が強く明滅し始めたのだ。
「レールディアの魔力に指輪が反応しているのか?」
「ユージン様、私から離れてください。何かが起こるのかも!」
怯えるレールディアの肩を、ユージンが強く抱きしめる。
「離れてください! 危険です!」
「黙れ! 指輪が……チッ。外れなくなってるのか」
「キャッ!」
視界が真っ白になる。レールディアはユージンの腕の感覚を覚えて、申し訳なく思う。
(この勇敢なお方は、私を決して見捨ててくださらないのだわ)
そう知覚した時、レールディアは久しぶりに己の魔力と向き合うことができた。ずっとコンプレックスだった自分の魔力の源と、向き合う。
暴走している魔力を抑え込んで、ユージンだけは守りたいと願う。
そして、レールディアは自分に隠されていた真の魔法を理解した。
(……そうだったのね。私の第二魔法はこの時の為に)
光の明滅が収まった時、ユージンは自分の足元に巨大な魔法陣と、光の守りがあるのを見た。
「これは……なんだ?」
「私はどうやら聖人だったらしいのです」
「聖人? あの魔王を封じる力を持つという奴か」
「ええ。その……今まで眠っていた力が、ユージン様と心を通わせたことで目覚めたようなの」
「それは何とも照れくさい話だが、なぜ今このタイミングなんだ」
「……王都の方から、邪な力を感じます」
王都上空、巨大な老人の瞳が、眼下の街を見下ろしていた。
それは、白昼夢のような光景であった。
突然、暗雲の奥から白い老人の手が現れ、王都近郊の街を丸ごと掴んで握りつぶしたのである。
王都に居た者は悪夢のようなその光景を、ただ黙って見ていることしかできなかった。
玉座にて、若き賢王クードリファは水晶越しにその光景を見ていた。
「馬鹿な……。異界に封じられていた魔王が復活した……だと」
王都には魔王の復活を妨害する為の聖人が居たはずだ。
彼らがいる限り、異界への扉は固く閉ざされている、はずだった。
クードリファは水晶に答えを出させる。
そして、唖然とした。
なんと、王都に居たはずの聖人達の血が、途絶えているのである。
かつて数百年前、古の賢者ガルスは王都に居た者達に聖人の祝福を与え、彼らの子孫の心が清らかな内は魔王の復活を阻止できるよう呪術を行使した。
以来、封印は聖人の血によって守られていたはずだが、それが消え去っていたことに恐怖を覚える。聖人がこうまで途絶えてしまうとは……。
「む……?」
水晶に一点の輝きが示される。
それは、聖人がまだ死に絶えていなかったことを意味した。
「だが、これは辺境伯の……直接行って確かめるか」
賢王はグリフォンに騎乗すると、辺境へと飛び立った。
そうして、賢王が飛び立つと同時刻、レールディアはユージンから贈られた指輪が強く発光していることに気づく。
二人はいつものように畑の土壌に魔力を流して、実りをよくしてから屋敷へ帰っていく最中だった。
そんな折、突然レールディアの薬指の指輪が強く明滅し始めたのだ。
「レールディアの魔力に指輪が反応しているのか?」
「ユージン様、私から離れてください。何かが起こるのかも!」
怯えるレールディアの肩を、ユージンが強く抱きしめる。
「離れてください! 危険です!」
「黙れ! 指輪が……チッ。外れなくなってるのか」
「キャッ!」
視界が真っ白になる。レールディアはユージンの腕の感覚を覚えて、申し訳なく思う。
(この勇敢なお方は、私を決して見捨ててくださらないのだわ)
そう知覚した時、レールディアは久しぶりに己の魔力と向き合うことができた。ずっとコンプレックスだった自分の魔力の源と、向き合う。
暴走している魔力を抑え込んで、ユージンだけは守りたいと願う。
そして、レールディアは自分に隠されていた真の魔法を理解した。
(……そうだったのね。私の第二魔法はこの時の為に)
光の明滅が収まった時、ユージンは自分の足元に巨大な魔法陣と、光の守りがあるのを見た。
「これは……なんだ?」
「私はどうやら聖人だったらしいのです」
「聖人? あの魔王を封じる力を持つという奴か」
「ええ。その……今まで眠っていた力が、ユージン様と心を通わせたことで目覚めたようなの」
「それは何とも照れくさい話だが、なぜ今このタイミングなんだ」
「……王都の方から、邪な力を感じます」
王都上空、巨大な老人の瞳が、眼下の街を見下ろしていた。
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