51 / 65
シスコンな弟1
しおりを挟む何日ぶりにこの家に帰って来たのかしら!
フィア様の家に匿って貰えたのは助かったのだけど、やっぱり我が家よね!!
「ただいま戻りました!って、あら?なんだか家の中が静かなような……」
「姉様!!!お帰りを今か今かと心待ちにしておりました」
「エミリオ!!」
パタパタと黒髪を揺らして私に駆け寄ってくるのは、私の弟であるエミリオだわ!
数日合わなかっただけなのに、なんだか成長した気がするわね!
「お帰りのハグをお許し下さい」
「ええ、可愛い弟のお願いは断れないわ!」
なにせエミリオは私と違って儚い雰囲気を纏った美少年なんですもの!
私を見つめる黒い瞳が神秘さを後押ししているわね。
だからギュッとしてくれる姿はとても可愛らしいのだけど───。
「………………ねえ、エミリオ。ハグが長くないかしら?」
「そうですか?いつもと対してかわらないと思いますよ。それに大好きな姉様から離れたくないのは仕方がないと思いませんか?」
弟よ、流石にシスコン過ぎるわ!?
嬉しいのだけど、お姉さんは将来が少し心配なのよね……。
「とにかく、聞きたいことがあるので一旦離れてくれるかしら?」
「ハグしたままでも話は聞けますが……既に食事の準備をしてありますから、食堂に向かいながら話を聞く事にしましょうか」
流石私の弟ね、用意周到だわ……。
でもねエミリオ、今はまだ朝よ???
朝食は既に頂いてるし、今食べたらお昼が食べられなくなりそうなのだけど、でもそんな事を可愛い弟には言えないわ!!
「ふふふっ、姉様の百面相はいつ見ても可愛いですね」
「ひゃ、百面相?やだ私ったらそんな恥ずかしい事していたの……」
「恥ずかしがる姉様も可愛いですよ」
「もう、エミリオったら褒め上手よね。それなのに本当に女の子にモテてないの?」
「……僕は姉様にしかそんな事言いませんから、全くモテませんよ」
いや、それは寧ろ私以外に言うべきでは!!?
でも可愛いエミリオにはそんなこと言えないわ!
「では僕がエスコートしますからお手をどうぞ」
「まあ、ありがとう」
こういうさりげないところまで完璧だわ。
でもこれなら、エミリオにいつ婚約者が出来ても安心して見ていられるわね。
「それでは歩きながら話を聞きますけど、実の所僕は姉様の質問したい事が何となくわかっているのです。姉様が気になっているのは、この家に人の気配が少ない事ですよね?」
「え、どうしてわかったの?」
「姉様の事なら僕はなんでもわかりますから……」
「へ、へーー」
ブラコンな弟の観察眼は鋭いわね、流石に何も言えくなっちゃったじゃないの!
「因みに人が少ない理由ですが、現在父様と母様は領地の視察に出かけています。その為、使用人と護衛の半分をお2人に同伴させたのが原因ですね」
「ちょっと待って!!両親は娘が結婚するかもってときに呑気に領地に行ったってこと!??」
「その通りですよ」
何考えてんだ、私の両親は!!!?
確かにアルロスとの結婚式に私側の身内が誰もいないなとは思っていたけど!!
「父様と母様は、姉様の結婚をどうやら信じて無かったようですよ。ビックリ企画か何かだとでも思ったのではないですか?」
「なんでよ!!?普通親ならその発想にはならないわよね!??」
「ですがそうなるのが僕達の親ですから、もう諦めてください」
私は両親をおかしいと思わないようにしているけど、やっぱり変よ!!?
「何故かしら、家に帰って来たのに凄く疲れた気がするわ……」
「でしたら、丁度食堂に着きましたから疲れを取る為に沢山料理を食べて、今日からはゆっくりして下さいね」
「ありがとう、エミリオの優しさがとても嬉しいわ」
そうね。エミリオの言う通り、美味しい料理を食べてゆっくりする事にしましょう!
「では姉様、椅子にどうぞ」
「ええ、ありがとう」
椅子を引いてくれたエミリオはとても紳士だわ。
だけどおかしいわね、食堂には食事を運んでくれるメイドが居ないような……。
「あら、もしかして配膳はエミリオがしてくれるの?」
「ええ、姉様へお出しする料理は僕の手から直接運びたいですから」
「なんだか、悪いわね」
「そんな事ありません。だって姉様はこの数日間で色々あったのですから疲れている筈ですよね。だから食事も僕が食べさせてあげます」
エミリオったらスープをスプーンで掬うと、私の口元まで運んでくれたのだけど!?
「いやいや、流石にそれは恥ずかしいわ!そこまで介護してくれなくても自分で食べれるから」
「え、そうですか?でも、せっかく運んだのでこの分だけでも姉様に食べて欲しいです」
そんなシュンっとされたらダメなんて言えなくなるじゃないの!?もう、これだから美少年は!
「じゃあせっかくだし、この分だけだからね?」
「本当ですか!やはり姉様は優しくて大好きです。はい、あーん」
「あーーん」
うん、野菜の旨味がたっぷり滲み出ていて美味しいわね。
「後は、一人で食べれるわ」
「それでは、後はゆっくりして下さいね?」
「ええ、そうさせて……あら?なんだか、急に眠気……が…………」
「ふふふ、気が抜けて疲れが出たのかもしれませんね。そのまま休んでいいですよ?」
まだスープは残っているから飲まないといけないのに、私は眠気を我慢できずに机に突っ伏してしまったのよ。
そしてどうやら眠ってしまった私は、突然の覚醒に何故か叫んだのよ。
「いや待って、そこにはスープが!?」
ハッと目が覚めた私は、自分の顔を触ってスープがついてない事に安堵してしまったの。
だってあの寝落ちの仕方は、絶対に頭からスープに突っ込んだに決まってるもの!!?
「でも、髪の毛は汚れてる感じしないわね……?」
首を傾げながら部屋を見回した私は驚いてしまったのよ。
「って、この部屋どこよ!!???」
ぐっすり寝ていたから、つい自分の部屋かと思っていたけど全然自分の部屋じゃないわ!?
「あ、姉様起きましたか?」
「エミリオ!?何で部屋の外にいるの?」
「今はまだ忙しいので、すぐ行かないといけませんから。それと一応伝えておきますが、姉様の部屋は今日からここですからね」
「ドユコト!???」
「そうですね……姉様と僕はずっと一緒です。だから姉様はもう2度とこの家から出る事はありませんので、安心して下さい」
弟よどした!!?気でも狂ったか!?
「僕はもう行かないといけないので、また後で」
「え、ちょっと待ってエミリオ!全然意味わからないのだけど!???」
え、状況が全く把握できないけど───。
これってもしかして弟に監禁されたって事!?
いや、何で!!!???
そんな馬鹿なと、理解したくない現実に目眩がした私はこれは夢かもしれないと、とりあえずもう一度寝る事にしたのよ。
0
あなたにおすすめの小説
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
もう一度確かな温もりの中で君を溺愛する
恋文春奈
恋愛
前世で俺は君というすべてを無くした 今の俺は生まれた時から君を知っている また君を失いたくない 君を見つけてみせるから この奇跡叶えてみせるよ 今度こそ結ばれよう やっと出逢えた 君は最初で最後の運命の人 ヤンデレ国民的アイドル松平 朔夜(25)×平凡なオタク大学生佐山 琉梨(22)
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜
織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。
侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。
学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる