毎秒告白したい溺愛王子と、悪女になりたくないエイミーの激おこツッコミ劇場

ゆきぶた

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シスコンな弟1

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 何日ぶりにこの家に帰って来たのかしら!
 フィア様の家に匿って貰えたのは助かったのだけど、やっぱり我が家よね!!

「ただいま戻りました!って、あら?なんだか家の中が静かなような……」
「姉様!!!お帰りを今か今かと心待ちにしておりました」
「エミリオ!!」

 パタパタと黒髪を揺らして私に駆け寄ってくるのは、私の弟であるエミリオだわ!
 数日合わなかっただけなのに、なんだか成長した気がするわね!

「お帰りのハグをお許し下さい」
「ええ、可愛い弟のお願いは断れないわ!」

 なにせエミリオは私と違って儚い雰囲気を纏った美少年なんですもの!
 私を見つめる黒い瞳が神秘さを後押ししているわね。
 だからギュッとしてくれる姿はとても可愛らしいのだけど───。

「………………ねえ、エミリオ。ハグが長くないかしら?」
「そうですか?いつもと対してかわらないと思いますよ。それに大好きな姉様から離れたくないのは仕方がないと思いませんか?」

 弟よ、流石にシスコン過ぎるわ!?
 嬉しいのだけど、お姉さんは将来が少し心配なのよね……。
 
「とにかく、聞きたいことがあるので一旦離れてくれるかしら?」
「ハグしたままでも話は聞けますが……既に食事の準備をしてありますから、食堂に向かいながら話を聞く事にしましょうか」

 流石私の弟ね、用意周到だわ……。
 でもねエミリオ、今はまだ朝よ???
 朝食は既に頂いてるし、今食べたらお昼が食べられなくなりそうなのだけど、でもそんな事を可愛い弟には言えないわ!!

「ふふふっ、姉様の百面相はいつ見ても可愛いですね」
「ひゃ、百面相?やだ私ったらそんな恥ずかしい事していたの……」
「恥ずかしがる姉様も可愛いですよ」
「もう、エミリオったら褒め上手よね。それなのに本当に女の子にモテてないの?」
「……僕は姉様にしかそんな事言いませんから、全くモテませんよ」

 いや、それは寧ろ私以外に言うべきでは!!?
 でも可愛いエミリオにはそんなこと言えないわ!

「では僕がエスコートしますからお手をどうぞ」
「まあ、ありがとう」

 こういうさりげないところまで完璧だわ。
 でもこれなら、エミリオにいつ婚約者が出来ても安心して見ていられるわね。

「それでは歩きながら話を聞きますけど、実の所僕は姉様の質問したい事が何となくわかっているのです。姉様が気になっているのは、この家に人の気配が少ない事ですよね?」
「え、どうしてわかったの?」
「姉様の事なら僕はなんでもわかりますから……」
「へ、へーー」

 ブラコンな弟の観察眼は鋭いわね、流石に何も言えくなっちゃったじゃないの!

「因みに人が少ない理由ですが、現在父様と母様は領地の視察に出かけています。その為、使用人と護衛の半分をお2人に同伴させたのが原因ですね」
「ちょっと待って!!両親は娘が結婚するかもってときに呑気に領地に行ったってこと!??」
「その通りですよ」

 何考えてんだ、私の両親は!!!?
 確かにアルロスとの結婚式に私側の身内が誰もいないなとは思っていたけど!!

「父様と母様は、姉様の結婚をどうやら信じて無かったようですよ。ビックリ企画か何かだとでも思ったのではないですか?」
「なんでよ!!?普通親ならその発想にはならないわよね!??」
「ですがそうなるのが僕達の親ですから、もう諦めてください」

 私は両親をおかしいと思わないようにしているけど、やっぱり変よ!!?

「何故かしら、家に帰って来たのに凄く疲れた気がするわ……」
「でしたら、丁度食堂に着きましたから疲れを取る為に沢山料理を食べて、今日からはゆっくりして下さいね」
「ありがとう、エミリオの優しさがとても嬉しいわ」

 そうね。エミリオの言う通り、美味しい料理を食べてゆっくりする事にしましょう!

「では姉様、椅子にどうぞ」
「ええ、ありがとう」

 椅子を引いてくれたエミリオはとても紳士だわ。
 だけどおかしいわね、食堂には食事を運んでくれるメイドが居ないような……。

「あら、もしかして配膳はエミリオがしてくれるの?」
「ええ、姉様へお出しする料理は僕の手から直接運びたいですから」
「なんだか、悪いわね」
「そんな事ありません。だって姉様はこの数日間で色々あったのですから疲れている筈ですよね。だから食事も僕が食べさせてあげます」

 エミリオったらスープをスプーンで掬うと、私の口元まで運んでくれたのだけど!?

「いやいや、流石にそれは恥ずかしいわ!そこまで介護してくれなくても自分で食べれるから」
「え、そうですか?でも、せっかく運んだのでこの分だけでも姉様に食べて欲しいです」

 そんなシュンっとされたらダメなんて言えなくなるじゃないの!?もう、これだから美少年は!

「じゃあせっかくだし、この分だけだからね?」
「本当ですか!やはり姉様は優しくて大好きです。はい、あーん」
「あーーん」

 うん、野菜の旨味がたっぷり滲み出ていて美味しいわね。

「後は、一人で食べれるわ」
「それでは、後はゆっくりして下さいね?」
「ええ、そうさせて……あら?なんだか、急に眠気……が…………」
「ふふふ、気が抜けて疲れが出たのかもしれませんね。そのまま休んでいいですよ?」

 まだスープは残っているから飲まないといけないのに、私は眠気を我慢できずに机に突っ伏してしまったのよ。



 そしてどうやら眠ってしまった私は、突然の覚醒に何故か叫んだのよ。

「いや待って、そこにはスープが!?」

 ハッと目が覚めた私は、自分の顔を触ってスープがついてない事に安堵してしまったの。
 だってあの寝落ちの仕方は、絶対に頭からスープに突っ込んだに決まってるもの!!?

「でも、髪の毛は汚れてる感じしないわね……?」

 首を傾げながら部屋を見回した私は驚いてしまったのよ。

「って、この部屋どこよ!!???」

 ぐっすり寝ていたから、つい自分の部屋かと思っていたけど全然自分の部屋じゃないわ!?

「あ、姉様起きましたか?」
「エミリオ!?何で部屋の外にいるの?」
「今はまだ忙しいので、すぐ行かないといけませんから。それと一応伝えておきますが、姉様の部屋は今日からここですからね」
「ドユコト!???」
「そうですね……姉様と僕はずっと一緒です。だから姉様はもう2度とこの家から出る事はありませんので、安心して下さい」

 弟よどした!!?気でも狂ったか!?

「僕はもう行かないといけないので、また後で」
「え、ちょっと待ってエミリオ!全然意味わからないのだけど!???」

 え、状況が全く把握できないけど───。
 これってもしかして弟に監禁されたって事!?
 いや、何で!!!???

 そんな馬鹿なと、理解したくない現実に目眩がした私はこれは夢かもしれないと、とりあえずもう一度寝る事にしたのよ。
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