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シスコンな弟2
しおりを挟むあら私ったら、弟に監禁されたというのに本当にぐっすり寝ていたみたい。
しかもまた夢に殿下が出てきたのよね……やはり心のどこかにまだ諦めたくないって思っているのかしら?
そう思いながらパチリと目を開けたら、弟が私を覗き込んでいて驚いてしまったわ。
「…………っ!?」
「おはようございます。やはり姉様の寝顔はいつ見ても飽きませんね」
「え、エミリオ!?いつの間に部屋に……」
「もちろん姉様がぐっすり寝ている間にですよ。それにしても姉様は寝言で『殿下』と、何度も言っていましたけど……殿下って王太子の事ですよね?」
「ええっ!!!?」
私ったら夢を見るだけじゃなくて、殿下って呟いてたって事!?
もう、なんて恥ずかしいところを弟に見られているのよ!!
「……それで、姉様とその殿下とやらの関係は一体なんなのですか?」
ちょっと、弟よ。どうしてベッドの上に手をついて私に問い詰めてくるの……?
とにかく適当に誤魔化さないと!!
「で、殿下は私の嫌いな相手なの!」
「嫌いな相手?何故それなのに夢に出て来るのですか……?」
「そ、それはあれよ。殿下の事が……だ、大嫌いだから、夢の中まで出てきてしまったのよ!」
ぐっ……おかしいわ。なんで私の方が大嫌いと言って心を痛めてるのよ……??
それに私がどんな感じで寝言を言ってたかによってはかなり無理があるけど、弟よ騙されて頂戴!!
「うーん、確かに姉様は悩ましい表情で殿下と呼ばれていましたから……」
「ほら、私の言った通りでしょ?」
「ええ、僕は姉様の言葉を信じますよ」
純粋に私の言葉を信じてくれるエミリオに心が痛むわ……って、今はそんな寝言の話を呑気にしてる場合じゃないわ!!?
「いやまって!普通に話してたけど、エミリオは何で私の事を監禁してるのよ!!?」
私は怒ってるのよとキツく睨みつけたのに、エミリオったら何で怒られているのかわからないと、首を可愛らしく傾げたのよ。
「姉様ったら、何を言ってるのですか。これは姉様が悪いのですよ?」
「え?私が悪いの!!?」
「ええ。僕の意見を無視して結婚しようとしたり、婚約者を作ろうとしましたよね?」
もしかして、私が結婚しそうになったのが原因って事?
いやいや、それでも全然意味がわからないのだけど!?
「待って、その前に結婚も婚約も私自信は賛成してないんですけど!?」
「そうでしたっけ?でも僕、姉様の結婚式にどう乗り込もうかとずっと考えていたんですよ?」
「え!?」
「当日は他の方に邪魔されて、ラミュー侯爵家に入る事もできませんでしたけど……でも本当なら、僕が姉様を奪い返す予定だったのに!!」
あの日、あのメンバーにエミリオが加わってた可能性があるって事!?
「エミリオは私と同じであまり魔法が得意ではないのだから、無理してあの場所にいたら絶対に死んでいたわよ??」
「……そうですね。そういう姉様のズレた優しさが僕は好きですよ」
真面目にエミリオの事を思って言っただけなのに、凄く慈愛に満ちた瞳で返事が返ってきたわ!?
「最終的には姉様は結婚を破棄して、フィーリア・ブレイズ侯爵令嬢の家に匿われましたから、まだよかったです」
「ええ、私もエミリオに何もなくてよかったわ」
「それで僕が家に帰ったときにはもう、両親は領地に視察に行ってました」
うちの両親は本当に何考えてるのよ!!?
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「ですがそのおかげで、タイミングよく姉様をこうして部屋に閉じ込める事ができました」
「すっごく嬉しそうに言ってるところ悪いけど、私が監禁された理由はよくわからなかったわよ??」
「姉様、今の話でも僕の気持ちをわかってくれないのですね……」
気持ち……?
よくわからないけど、そんなにじっと見つめられたら流石の姉でも照れてしまうのだけど???
「僕は、姉様のことが好きです。だから姉様を取られたくないし、ずっと一緒に暮らしていたいのです」
「…………はい???」
ちょっと理解できないわ。
弟は一体何を言ってるのかしら??
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「か、カロスですって!?」
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「そういう訳ですから、姉様には僕と二人だけでずっと一緒に暮らすか、カロス兄様と結婚してここで一緒に暮らすか、どちらがいいか選んでもらいますね?」
「そんなの、どっちも嫌だけど!?」
「全く姉様は我が儘ですね。それに暫くは悩む時間が必要だと思いますから、この部屋でゆっくり過ごして下さい」
そして弟は言うだけ言って出て行ったのよ。
それに過ごしてみてわかったけど、思ったよりも部屋の中であれば割と自由だし、何かあれば使用人がなんでもしてくれるから困らないのよね……。
でもこのまま弟の好きにさせるわけにはいかないわ!
「ここは、どうにか助けを呼ばないと!」
そう意気込んだ私は考える為に目を瞑ったの。
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あら?頭上から私を呼ぶ声がするわ。
もしかして、天の助けかしら?
「上ですよ、エイミー様」
その声に上を向いたら、真っ黒な服装に身を包むポニーテールの女性がチラリと天井から見えていたわ。
「ほ、本当に上にいた!!?」
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だから、私にとって影の方々は常日頃からとても不思議な集団でしかないのだけど……。
「そうです、よく手を振ってる一人です」
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「私はエイミー様の護衛をするようにフィア様から命令を受けております。そして現在、エイミー様は大変困っていらっしゃるようでしたので……どうしますか?エイミー様お1人なら私でも脱出させる事はできますが……」
「うーん。それはとても有難いのだけど、脱出は最終手段にします。なので、もしよければフィア様に手紙を届けて下さいませんか?」
「承知しました。エイミー様がお望みであれば、すぐに届けて参ります」
こうして私は、フィア様への手紙をすぐに準備して影の方へと託したの。
別に私は、殿下が助けに来てくれる事を望んでフィア様に手紙を出したわけではないわ……。
それにエミリオの事は姉として私が説得しないと駄目だと思うのよね。
だから私はやる気を出す為に、頬を軽く叩いたのよ。
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