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シスコンな弟3
しおりを挟む弟を説得すればいいなんて思った私が馬鹿だったんだわ。
部屋に閉じ込められてもう5日目だけど、ちょと目の前にいる人物に大混乱中なんだけど?
なんでここに、幼馴染のカロスがいるのかしら?
「今日は三人でお茶会をしたくて、カロス兄様を呼んだんです」
「いや、エミリオ……俺はエイミーが一緒なんて聞いてないぜ?」
何かしら、なんだか凄く嫌な予感しかしないんだけど……?
「そうだ、僕はお菓子を取ってきますから。お二人で話をしていてくださいね」
「え、エミリオ?それなら私が……」
「姉様はまだ心の傷が癒えてないのですから、大人しくしていてください」
いや、全然そんな事ないのに!?
でもカロスが心配そうに見てくるから、これ以上何も言えなくなっちゃったじゃないの!
「それでは、ここでゆっくりお待ちくださいね」
部屋を出るエミリオがしっかりと外から鍵をかけた音が聞こえたのだけど?
これってまさか、そういう……。
「エイミー、あの……色々あったと聞いたぜ。それで、無理矢理結婚させられそうになったって言う噂は本当かよ?」
「え?えぇ、そうだけど……別にそれはカロスに関係ないでしょ?」
「そんな事はねぇよ!!」
「……は?」
私はカロスに大声で否定された意味がわからなくて、首を傾げてしまったわ。
「俺は……俺は、これでもエイミーがずっと好きだったんだからな」
「へ?」
いやいや。今、カロスは私になんて言った?
信じられない単語が聞こえたような……。
「小さい頃からずっと好きだった。だけど俺の両親は、エイミーだけは絶対に駄目だと言うから諦めようとしたんだ。だからお前に強く当たって嫌われようと、俺も嫌いになろうと努力していたつもりだった。それで出会いを求めて、ブレイズ侯爵令嬢の開催するお茶会にも参加した。だけど……お前が誰かに取られると思ったら、凄く嫌だったんだ。だから頼むエイミー、俺をしっかりと振ってくれ!」
「はぁ!??」
ど、どゆことーーー???
カロスは私が好きだったけど、諦める為に振って欲しいって事?
というか今まで意地悪されてた裏にそんな理由があるとか、普通思わないでしょ!?
凄い怒り辛いし、カロスの為にも早く振った方がいいわよね……?
「それは僕が許しませんよ。カロス兄様もそんな簡単に諦めてもらっては困ります」
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ですよねーー!!!
凄くそんな予感がしていたのよ……今のエミリオはおかしいもの。それぐらいの事はやってのけるに決まっているわ!
「……何を言ってるんだ?」
「カロス兄様は、姉様の事を諦める必要はないのです。そして僕は、今からお二人の噂を流してきますね」
「噂?」
「ええ、そうです。こう言うのはどうですか?『愛し合う二人は結婚を反対する両親を認めさせる為、部屋に閉じこもり抗議を続けている』とね」
「エミリオ!そんな噂を流したら、エイミーが嫁に行けなくなるぞ!?」
いやいや、被弾するの私の方なの!!?
「それでいいのですよ。お姉様はカロス兄様と結婚するか、誰とも結婚しないか……その2択を選ぶしかないのですから」
「え、エミリオ。もう少しよく考えて!」
「いえ、これ以上は待てません。ただでさえ姉様の周りには変な虫が多いのに……」
変な虫って、何???
「と、言うわけで僕は早速噂を流しに行きます。ですからお二人には愛を深めあって頂けると僕は嬉しいですね」
「お、おい!エミリオ!!」
カロスがドアノブをガチャガチャ回してるけど、この部屋は外からしか鍵の開け閉めができないのよ。
「くそ、完全に閉じ込められた。はぁ、こんな気持ちのままエイミーと2人にされるのは困るってのに……いやいや、何もしねぇから逃げるんじゃねぇって」
「男と二人にされて逃げない奴はいないわよ!」
「わかった、わかったから……とりあえず俺を振ってくれ!!」
だからなんで今よ!!??
いや、今だからこそなの……?
「振ってくれれば少し落ち込むかもしれねぇが、お前に襲いかかるなんて事はせずに済むはずだからな……」
「わ、わかったわよ。私の本音を話すけど、カロスは無理」
「いや、無理ってそんなハッキリ言わなくてもいいだろ!!」
「無理なものは無理よ!意地悪だし口は悪いし、私の王子様像とかけ離れすぎてるのよ。それに私にとっても、カロスはお兄ちゃんみたいな存在だもの」
実は子供の頃、一度だけカロスが本当のお兄ちゃんならいいのに、って思った事があったのよね。
その後、意地悪されるようになってその気持ちは薄れてしまったけど。
「お兄ちゃん……か。それなら、俺はこれからエイミーの事も優しくするからさ、俺の事カロスお兄ちゃんって呼んでくれねぇか?」
「いや、流石にドン引きするわよ!!?」
この歳で、お兄ちゃんは無いわ。
言ったとしても、エミリオと同じカロス兄様……それも嫌だわ!?
「そんな、引かなくてもいいじゃねぇか……まあ、その話は後でもう一度話し合うとして、今はエミリオを早く止めないと!」
「そ、そうよね……」
この状況になって気がついたわ。
私ならエミリオを止められるって思ってた事自体が間違いだったのよ。
最初からここを抜け出すのが正解だったんだわ!
「へい、影のお姉さん!!」
「は?」
私が突然変な事を言ったから、カロスが私をアホの子みたいに見てくるのだけど……別に私だって好きで言ってるわけじゃないのよ!
フィア様の影であるお姉さんが、呼ぶときはその掛け声でお願いしますって言って来たんだもの!!
「はっ!エイミー様、お呼びでしょうか?」
「うおっ、びっくりした」
「これはこれは、カロス・ブラストル様。驚かせてしまい、申し訳ありませんでした」
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「え、エイミーこの人は……?」
「フィーリア様の影なのですって」
「フィーリア様の!?なんでそんな人の影が……あ、そういえばエイミーは最近フィーリア様から懇意にしてもらってるんだっけ?」
「その話は今はいいのよ!影さん、今すぐ私達を外に連れ出す事はできますか?」
影さんは私たちをじっと見ると、申し訳なさそうに首を振った。
「前にも言いましたが、私が連れ出せるのはお一人だけで……」
「それなら、とりあえずエイミーだけでもここから逃げるんだ。俺はここに残って、エイミーがここにいるってエミリオをごまかしてみるからよ」
「カロス……」
「そんな心配そうな顔すんなって、こう言うところで兄ちゃんらしくさせてくれよ」
なによ、カロスのくせに。そんな優しい顔で頭を撫でられたらーー。
「わかった。カロスお兄ちゃんは無理しないでね」
「エイミー……」
「今後もそう呼ぶかは、カロス次第だから!」
「ああ!」
凄い嬉しそうなカロスを置いて、私は天井裏にあがろうとしたその時だったわ。
「なんだ?外が騒がしいような……」
カロスの呟きが聞こえた瞬間、扉が弾け飛んだのよ。
「待たせたね、僕の愛しのエイミー!婚約者として僕が君を迎えにきたよ!!」
「へっ?」
で、ででで殿下!!!?
その姿に、私は驚きのあまり固まったわ。
そして気がついたときには、既に馬車に揺られてお城へと連れ去られていたの。
ちょっと待って、色々混乱してるけど……私これからどうなっちゃうのよーーー!?
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