毎秒告白したい溺愛王子と、悪女になりたくないエイミーの激おこツッコミ劇場

ゆきぶた

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婚約解消(殿下視点)

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ようやく殿下視点です!
どのようにエイミーを婚約者に?と言う間話です。
申し訳ありませんがシリアスなので、今回ギャグはお休みさせて頂きます。

ー  ー  ー  ー  ー  ー












 今日、フィアが婚約者として相応しいか話し合う為の会議が行われる。
 つまりそれは、僕がエイミーの為に裏でコソコソとしていた事が、ついに実る日が来たと言う事だ。

 僕は長年、エイミーと婚約するためにフィアが婚約者から外れた場合、エイミーが選ばれるように少しずつ手配していた。
 フィアが僕と婚約解消したい事はずっと知っていたから、フィアが仕掛けて来るまでにそれをする必要があったわけだ。

 そして僕は今回、フィアをこの会議にどうしても出したくなかった。
 フィアがいるとエイミーとの婚約を止められる可能性があるからだ。
 それからこれは、アイツが勝手に没落しようとするのを止める為でもある。
 あの女、気がつくと勝手に没落しようとするからな……。

 正直それは、僕にとって迷惑でしかなかった。
 もしフィアが没落して婚約者から外れた場合、周りからは僕が陥れたように見えてしまう可能性がある。そのせいで僕の好感度まで周りから下がってしまうのは困るからね。
 だからフィアに邪魔されないように、アルロスとデートする日付をわざわざ今日にしたんだ。
 それにフィアからはすでに婚約解消の許可書をもらっているから、今日はいなくても大丈夫だろう。


 ……しかしだ。
 こうして準備をしっかり整えたというのに、現在の僕はエイミーが家に閉じ込められているという現状に、とても焦っていた。
 それはエイミーの弟であるエミリオが、かなりのやり手だと知っているからだ。
 僕が集めた情報によると、エミリオはカロスが昔からエイミーの事が好きだったのを知っていたようで、親の事情で報われないカロスをどうにかしたいと思っていたらしい。

 だからこのままいけば、エイミーとカロスを無理矢理にでも結婚させてしまうだろう。
 きっと時間はもう残されていない。
 今日、僕がエイミーを婚約者にする事ができなければ、エイミーとは一生結婚する事は出来ないかもしれないのだ。
 その為、僕に失敗は許されなかった。

 そんな事を考えている間に、ついにその会議は始まった。
 会議では今までフィアのおこした令嬢らしからぬ行動が次々と羅列され、会場内では何故今まで誰も何も言わなかったのかと、違う意味で問題になっていたようだ。
 そんな無駄な話で数時間が経った頃、気がつけばフィアと僕の婚約を解消する事が満場一致で決まっていた。
 喜びそうなのをグッと堪えた僕は、ここからが本題だと声を上げた。

「本日よりフィーリアは僕の婚約者ではなくなります。しかし僕は王太子である為、次の婚約者を決めねばなりません」
「殿下、その通りで御座います。それでは、新しい婚約者のお話をこの会議でそのまま進めてもよろしいでしょうか?」

 ニコニコと少し白髪の混じった宰相が、僕にわざわざ確認をとった。

「勿論と、言いたいところですが現在僕の婚約者候補は一人もいないのです」

 その一言で会場がざわめき始めていた。
 だけどこれも僕の思惑通りだ。

「なんと!?」
「あれ程いた候補はどうされたのじゃ?」
「聞いた話では何故か皆、辞退されたとか……」

 あんなにも沢山いた婚約者候補は、僕の頑張り(脅し)によって全員辞退していた。
 その為、現在は誰一人として僕の婚約者候補者は残っていない。

「では、改めてこの場で候補を選ぶというのはどうでしょうか?」

 周りは「なるほど」「どの令嬢なら」なんて、自分に都合のいい令嬢を急いで考えているようだった。
 だけど僕は、ここでエイミーを無理矢理ねじ込むのを決めていた。
 そして、最初の一人が手を挙げる。

「私はエイミー・ミューシアス伯爵令嬢を推します」

 それは僕側についている大臣の一人だった。
 ちゃんと仕込みもしている僕って偉い!!
 だけどその発言に、違う意味で会場は揺れた。

「エイミー……それは誰だったかな?」
「ミューシアス伯爵の子息は有名ですが……確か令嬢は地味で空気のような存在だとか」
「寧ろワシは令嬢がいたのを初めて知ったぞ!」

 なんて言いたい放題言ってきた為、流石の僕も怒りで声をあげてしまう。

「ミューシアス伯爵令嬢は、地味ではなくお淑やかで可憐と聞きますよ?」
「なんと、殿下は詳しいのですね」
「お淑やかなのは良いことだが……誰か、他にも候補はおらぬのか!?」

 ちっ、無能なハゲのくせに自分の徳にならない人物は嫌だと言うのか……。
 そしてハゲの圧に押されるように、他の大臣からも令嬢の名前が次々にあがっていた。
 まあ予想はしていたけど、ここからどうやってエイミーに絞るかなんだよね。
 ……でも実のところ、既に先手は打ってある!
 今回名が上がりそうな令嬢とは既に手を打ち、その見返りとして理想の婚約者を一緒に探したりしたのだからね。おもにスペリアが、だけど!


 そういうわけで話し合いの結果、僕の思惑通りあっという間に候補者は絞られた。

「ではこれまでの結果、既に候補者から辞退されている方、婚約者が既にいる方を除くとこのお二人しか残っておりませんでした」

 そこにはしっかりと、エイミーの名前も残っていた。
 僕にとってこうなる事は予想通り。
 残った二人はどちらも伯爵令嬢。
 なにより二人は、地位もどの派閥に偏っているとかも何もない。
 正直、殆どの人はどちらでも良いと思った筈だ。
 だから議長である宰相は言った。

「そうですね、この二人であれば皆様に意見を聞く必要もないでしょう。後は殿下の意見に任せたく思いますがよろしいですね?」

 周りは二人に興味がないのか、宰相の言葉にほぼ全員が賛同の声を上げていた。
 それを見た僕はようやくこの時が来たと……。
 愛しいその人の名を皆に告げたのだ。

「僕は、エイミー・ミューシアス伯爵令嬢が婚約者として相応しいと判断します」


 こうして僕は無理矢理エイミーを婚約者にした。
 そして既に呼び出しておいたエイミーの両親と共に、僕は急いでミューシアス伯爵家へと乗り込んだのだ。

 弟君は両親が突然帰って来たことに驚き、僕が奥の部屋へと行こうとすると「そっちはダメです!」と焦っていた。
 だけど弟君は両親に掴まっている為、僕たちの後を追う事はできない。
 悪いけど、ここは強制突破させてもらう。
 そして僕は奥の部屋の鍵を手にして、その扉を開いたのだ。

「待たせたね、僕の愛しのエイミー!婚約者として僕が君を迎えにきたよ!!」

 突然僕が現れたせいで、溢れそうな瞳をさらに大きくしたエイミーは驚きで固まっていた。
 だからその間にエイミーをお姫様抱っこで馬車に乗せた僕は、婚約書に署名してもらいたくてそのままお城へとエスコートしたのだ。

 サインさえもらえば君は僕の婚約者だ。
 ここまできたら、僕は君を絶対に逃がしはしないよ……。
 そう思いながら僕はエイミーの手をギュッと握ったのだった。
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