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二人の行く末1
しおりを挟む実感はないのだけど、私は殿下と本当に婚約したらしいわ。
でも、そのせいかしら……私、学校でいじめられてる気がするのだけど!?
気がするっていうのは、正直言っていじめられてるって感じがしないからなのよね……。
歩くたびに誰かに笑われたり、ワザとぶつかられたり、転びそうになった事もあるけど……なんだか地味すぎでよくわからないのだもの。
寧ろ殿下に追いかけられてる時の方が、精神的にキツかったわよ!?
だからもしかして殿下の今までのアレコレは、私の精神力を鍛える為だったんじゃないかと邪推しちゃうんだけど……。
「はぁ、なんだか色々考えちゃうわね……」
「エイミーちゃん、大丈夫?」
「あ、ユリア様。ため息なんてついちゃってすみません!」
そういえば今は授業が終わって、私はユリア様と本棟へ移動してる最中だったわ。
「いいのよ、エイミーちゃんが大変なのはわかっているんだもの。だから何か困った事があればすぐに相談してちょうだい」
「困った事……?」
何かあったかしらと考えようとした瞬間、当然空から水が降ってきたのだけど!?
全身水浸しだし、なんか臭っ!!
「え、エイミーちゃん!?大丈夫??」
大丈夫と言われたら大丈夫だけど……。
臭いわ。としか言えないし、こんな状態じゃ声も発せられないわね。
「くすくす、見て下さいな」
「ふふ……あれが未来の皇后なんて、ありえませんわね」
小馬鹿にしたような声がしたので見上げると、2階に3人の女子がいたわ。
しかもその内の一人がバケツを持って大笑いしているのが見えたのよね。
それにしても堂々と私から見える所でやるなんて、なかなかいい度胸じゃないかしら!!?
「ちょと、貴女方!?自分達が何をしたかわかっているのかしら!」
ほら、ユリア様も流石に怒っているわ。
だって隣にいる私がこんなにも臭くなってしまったんだもの、仕方がないわよね。
「あらやだ、怖いわ。私達がやったとは限りませんのにそんな怒るなんて、未来の皇后のお友達も野蛮な方ですのね。さぁ、面白い瞬間も見れましたし皆さん行きましょう」
「ええ、早速言いふらしましょうよ~」
クスクスと笑いながら去っていく3人組を見送った私だけど、特に怒りも湧いてこなかったわ。
寧ろ横にいるユリア様の方が大変そうなのだけど!?
「エイミーちゃん、私頭に来ちゃったわぁ~。だから今すぐあの3人の事を調べないといけないの。そのついでに誰か呼んでくるから少し待っててくれるかしら~?」
ひぇぇっ!?ユリア様、目が笑ってないのですけど!!?
あの子達ユリア様をこんなにも怒らせるなんて、完全に終わったわ……。
まあ、あんな事されたし少しぐらい天罰が下っても仕方がないわよね?
「ゆ、ユリア様。あまりやり過ぎるのは……って、もういないわ!?」
いつもはのんびりしてるのに、行動すると決めたら早いんだから……。
「はぁ、それにしても臭いわ。でも今は誰か来るまで待つしかないわよね」
それにさっきからポツポツと水が当たるのだけど、今度は何かしら?
「……え、もしかして雨!?」
確かに曇ってはいたけど……いや待って、なんか凄い大雨になってきたんだけど!?
一瞬で私の服はビチョビチョになったわよ!!
「だけどよく考えたら、今の私には有難いわよね。これで服から匂いを落としましょう!」
ふふ、こんなにも土砂降りなのに気分はとても高揚してるわ!
それなのに私の気分を邪魔する声がどこかから聞こえてきたのよ。
「噂を聞いて見に来たけど……本当に、あの子よね?」
「その筈よ。それよりもあの子、この大雨の中動かないなんて頭おかしいんじゃない!?」
どうやらさっそく噂を聞いた女子達がクスクス笑いに来たようね。
でも今の私は気分がいいし、雨の中踊っちゃうんだから!!
「ちょっと何故か踊りだしわよあの子!?全然落ち込んでないし、メンタル鋼なんじゃないの!!」
「ええ、逆に怖いわよ!?近寄ると、呪われたりしないわよね……」
「やだぁ~、もう早く行きましょ!!」
いや、呪われないわよ!?
なんて失礼な事言って去っていくのよ!!
確かに殿下と関わってから、少し変わったとは思っていたけど……もしかして私、だいぶ変??
もう、コレも全て殿下のせいよ!?
そう思ったのに、殿下の事を考えたせいかしら無性に会いたいわ……。
「エイミーーー!」
……へ?な、なんで本物がここに!?
「エイミー、大丈夫かい?」
「ででで殿下!!?」
会いたいと思った瞬間に現れるなんでずるいわ!
……しかもこんな恥ずかしい所を見られるとか、今すぐ穴に埋まりたいわよ!?
それにユリア様が呼びにいった人って……殿下の事だったのね。
「はっ!まさかエイミー……?」
「で、殿下これは違うんです!今日は少し雨に当たりたい気分で!」
「もしかして……君は水の妖精だったのかい!?」
いや、どうしてそうなるのよ!??
「なんて可愛いんだ、今すぐ結婚しよう!!」
「すでに婚約してますし、結婚は順序を飛び超えすぎですけど!?」
「ああ、確かにその通りだ。でも今のはエイミーが婚約の事を忘れていないか確認しただけなんだよ」
相変わらず、殿下は意地悪ね……。
それなのに殿下が側に来てくれただけで、全ての事がどうでも良くなった気がするわ。
「そうだ、ユリア嬢から聞いたのだけど……いじめられてるんだって?」
「……いじめ?」
「あ、あれ……思ってた反応と違うけど、どういう事かな?」
「いえ、実は……いじめられてる気はするのですけど、私にはよくわからなくて……」
「……な、なんて事だ。エイミー!!」
「ででで、殿下!?」
傘を放り投げた殿下は突然抱きついてきたのよ。
そのせいで私は軽くパニックですけど!?
「たぶんエイミーがいじめられてているのは、僕のせいなんだ……ごめん!」
「え……殿下のせい?」
「前に僕の想い人の噂を流しただろ?それはエイミーと全く異なる特徴だったからね。でもそのせいで今度はエイミーが苦しむ事になるなんて思ってなかったんだ……。だから今回は僕の管理不足だった、エイミー本当にごめん」
ごめんと言われても……その噂だって私を思ってしてくれた事よね?
それなら、殿下は何も悪くないわ。
「いえ、謝らないでください。殿下は以前それで私を守ってくださいました。それなら今度は私が殿下を好きだとアピールする番ですよね?」
「……え、エイミー」
何故か目が潤んでいる殿下を見てなんだか嫌な予感がした私は、つい身構えてしまったのよ。
「……やっぱり、君は僕の天使だよ。……それに僕は誰になんと言われようがエイミーが大好きだ!ああ、この気持ちを皆に言いふらしたくてもう我慢できない!!」
「は、はい?」
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……え?
殿下は何を言ってるのかしら……?
「丁度この後、僕とエイミーは全校生徒に挨拶する事になってるんだ。だから一緒に着いてきてくれるよね、僕のプリンセス?」
「へ?は、はい!私の王子様……?」
何だか勢いで流されてしまったけど、殿下が私の事を心配してくれてるのは事実だわ。
だから私は、王子様の横にいても恥ずかしくないお姫様にならないといけないわよね。
こうして私たちは手を繋ぎ、歩き出したのはいいのだけど……。
「あの、私濡れたままなんですけど!?」
「大丈夫、今回はエイミーには僕が選んだ最高の衣装を用意してあるからね」
そうウィンクした殿下にときめいた私は、顔を赤くしてしまったのよ。
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