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二人の行く末3
しおりを挟む私達は今、特殊な通信魔法を使って全校生徒に見られているらしいわ。
正直な話、殿下が隣で支えてくれているからなんとか立ってるけど……私の膝、ガクガクですよ!?
だって凄く綺麗にしてもらったけど、殿下の横にいる地味女誰?とか思われてそうで、凄く不安なんだもの……!
しかも殿下は既に話を始めてしまったから、もう不安な顔を表に出すわけにもいかないのよ。
「僕はクレス・グレフィアス。この国の第一王子なのは殆どの人が知ってると思う。今日、全校生徒へ向けて挨拶をしたのには理由がある。それは僕の横にいる女性、エイミー・ミューシアスを皆に紹介したいと思い、このような場を設けさせてもらったんだ」
殿下に少し腰を押された私は、微笑んでカーテシーをしてみたのだけど上手く笑えているか不安だわ……。
「皆知っての通り、僕はフィーリア・ブレイズ嬢と婚約を解消した。だけど僕は王太子だから新しい婚約者を見つけなくてはならなかった。そして今回、その候補の中に彼女がいたんだ。確かにまだ僕達は婚約発表をおこなっていない為、正式な婚約者ではない。それにフィーリアの婚約解消後すぐに決まった事もあって、エイミーに批判的な感情を持っている人がいるのもわかっている」
確かに婚約解消してすぐだもの、批判的な人がいるのは仕方がないわ。
でもせっかく殿下がこう言う場を設けたんだもの、先程私をいじめた人達も今の私達を見てくれているのかしら?
「だけど皆に知っておいて欲しい。僕とフィーリアはいい友人ではあったけど、お互いを恋愛対象として見た事は一度もなかったんだ。僕達は互いに違う相手を想い合い、婚約者として過ごしてきた。だからこそ、この婚約解消は僕達にとっては喜ばしい事だったんだ」
殿下ったらそんな事まで話してしまっても大丈夫なのかしら….?
フィア様がどう思ってるのか確認したいのだけど、今の私に余所見をする余裕なんてないのよね。
「もしかしたら僕に本命がいる事に、気づいている人がいたかもしれない。だから改めて皆には知って欲しい、僕の愛する人は子供の頃からずっとエイミーだけなんだ。僕達は子供の頃に出会って互いに一目惚れをし、運命の赤い糸で結ばれた仲なんだ!」
……あの、私って殿下の事一目惚れで好きになったと言えるのかしら?
それに殿下の熱の入り方が怪しくなってきたし、なんだか嫌な予感がするのだけど……。
「そして僕達はこの学園に入り感動の再会を果たした。だけど、その時の僕は既に婚約者がいる身。互いに思い合っても、決して叶う事のない禁断の恋。僕達は運命の悪戯に弄ばれてしまったんだ!」
いや待って、別に感動の再会なんてしてないですけど!?
寧ろあの時は最悪の出会いだったような……それに両思いになったのだって最近の事よ?
だからこんなのは嘘よ、大嘘だわ!!
でもここで口を挟むなんてできないし……しかも殿下のせいで、一生懸命作ってる笑顔が歪むじゃないのよ~!
「しかしそれを愛の試練だと思った僕は、さらに彼女への気持ちを募らせてしまった。僕はフィーリアと何度も話し合い、多くの人から賛同を得る為に駆け回った。そして遂に試練を乗り越えた僕達は今、運命に打ち勝ちこうして互いの手を取り合う事が出来たんだ!」
「へっ……?」
突然殿下が両手を握ってきたせいで、驚きのあまり口から変な声が漏れたのだけど!!
しかも見つめてくる殿下はいつもより凛々しくてカッコいいし……まさかこれは衣装効果!?
「エイミー、僕は君を心から愛しているよ」
しかも何故か殿下から告白されたわ!?
「で、殿下……皆が見ているところで言うなんて、恥ずかしいのですけど……」
殿下のせいで顔は真っ赤になってるし、上手く喋れているのか不安でしかないんだから……。
「く、顔を真っ赤にして可愛い過ぎるよ……!こんな可愛いエイミーを虐めたり貶したりする人がいるのなら、それがどれ程の罪になるのか皆には理解して欲しい」
真面目な顔で言ってるのに、余計な言葉が多くて凄くシュールになってますよ殿下!?
「最後に、エイミーからも何か言いたい事はあるかな?」
「そ、そうですね。少しお時間貰えますか?」
きっと殿下のせいで、今のままだと私は舐められたままになるわ……だからここはビシッと言うのよ、エイミー!
殿下より一歩前に出た私は、聞いてくれる人達へ向けて自分の気持ちを素直に話す事にしたの。
「皆様、初めまして。先程殿下に紹介して頂きました、私がエイミー・ミューシアスです。率直に言わせてください。私は誰に何と言われても、殿下が好きな気持ちだけは負けません!」
「……え、エイミー!?そんなふうに思っててくれていたなんて、凄く嬉しいよ!」
いや、どうして殿下が一番驚いているのよ!?
って、ここで殿下に気を取られてはダメよエイミー、まだ話の途中なのだから!
「……確かに、今まで私は地味女と言われ続けてきました。そんな私では殿下と釣り合わないと悩み、何度も殿下を突き放そうとしたのです。それでも殿下は諦めずに私への愛を貫き通してくれました。その姿に私も殿下を諦めたくないと、強く思ってしまったのです。……だからこそ、これからの私は殿下の横にいる事を認められるような女性になる為、そしていずれこの国の王妃として相応しい女性となる為に日々努力していくつもりです」
よし、上手く言えた気がするわ……。
「何て素晴らしい話なんだろう……僕は努力家なエイミーも大好きだ!」
「で、殿下!?」
いや、何で突然抱きしめられたの私!?
か、感極まったにしても場所を考えて欲しいわよ!!
「殿下、これ見られてるんですよ……!」
「何を言ってるんだ、僕達のことを皆に見せつけるといっただろ?」
「へ?」
いや、待って!?
で、殿下の顔がどんどん近づいてくるのだけど……殿下はこんな所で何をするつもりよ!!
驚いて目を瞑った瞬間、殿下は私のほっぺにキスをしのだけど……これは現実よね?
ビックリして目を開くと、既に殿下は前を向いていたわ。
「僕はいずれこの国の王になる。エイミーと一緒なら、必ずこの国を良い方へと導ける筈だ。そんな僕達をどうかこの学園内で見守ってくれないだろうか……?もしこの話に賛同してくれる者がいるのなら、僕達へ盛大な拍手を贈ってくれ!」
この部屋は数人だけだし、通信では拍手をしたって私達までは届かないような……?そう思っていたのに、気がつけば学園中の拍手がここまで聞こえていたわ。
これは、学園の全生徒が私達を認めてくれたという事なのよね……?
それが嬉しくて、私は殿下に微笑でしまったの。
「殿下、上手くいきましたね」
「……っ!エイミー、僕は君が好きだ!」
「なんで突然……っ!!?」
何故かオデコにキスを落とされた私は、驚きのあまり叫んでいた。
「もう、殿下ってば何で突然私のおでこにキスをするんですか~~~!!」
「えー、だってエイミーの微笑みは天使のように可愛かったから……」
せっかく今までボロが出ないように取り繕ってたのに、最後にツッコミを入れてしまったじゃないのよ!
だけど殿下の幸せそうな笑みを見たら、きっと私も同じような顔をしてるのだろうなと思ってしまったのよね……。
こうして無事にお披露目を終えた私は、学園内で殿下の婚約者として認められたみたい。
そのおかげで虐められる事もなくなったけど、何故かその変わりに私の顔を見るだけで逃げる人がいてちょっと笑ってしまうのよね。
そしてきっとこの先も、まだまだ辛い事は沢山あると思うわ。
だけど殿下と二人なら、どんな事でも乗り越えていけるって信じてるから……。
そう思いながら、私は隣にいる殿下の手をギュッと握ったの。
そして殿下と私は互いに微笑み合い、婚約者お披露目パーティーへと一緒に足を踏み出したのよ。
~ END ~
ー ー ー ー ー
エイミー視点の本編はこれで終わりですが、スペリアとかその他のオマケを数話あげて完全終了になりますので、もう少しだけお付き合い下さい。
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