チェンジ

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違和感

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別世界の存在事態を信じられることができなくなりかけているとき、彼女がつぶやいた。
「もう一度あっちにでも行ったら何かわかるかな。」
そうなのだ。今のこの記憶を何かに残したまま別世界に行けば、向こうで手がかりを見つけることが出来るのではないだろうか。
「その方法はいいかも知れない。」
このままでは何も手がかりもないままで時間ばかりが過ぎていく。
「本気でいってるの。ノートの内容覚えてる。」
確かにそうだ。向こうに行けるかどうか事態わからないのだ。行ける回数に制限もある。行けることが出来たとして、次が2回目なのか、3回目なのか、2回目だったらいいが、仮に3回目だとしたら、向こうに行くこともなく死を迎えてしまうことになる。それも自らの自覚もないまま死ぬことになる。2回目だったとして、うまく行くことが出来ても、いつ戻ってこられるかの保証もない。
ましてや、まず人の死を願わなければならない。前は自分が人の死を願ったことにより別世界にいった訳なのだろうが、そうそう簡単に人の死を願うことなど普通の生活をしていたら起こらないように思える。
「誰か死ねばいいのにと思う人いない?」
「何言ってるのよ。バカじゃない。いるわけないでしょ。」
「そうだよね。」
当然そうに決まっている。常日頃憎しみを抱いているように思えるタイプではなさそうだ。
「でも他に手段がないのかな。行ける保証もないことにかけてみるのは怖いよね。」
そもそもその通りなのだ。別に何も知らず、このまま生活していればいいことなのに、何故そんな危険を冒してまで調べる必要があるのかということだ。死んでしまったら意味がない。

「そういえば、さっき言ってた違和感ってどんな感じなの。」
「それが良く分からないけど、何かが違うの。」
やっぱり今の僕自身に自信がもてないのと同じことなのかと諦めることにした。

その後何度か記憶を蘇らせる話をしているうちに、彼女の記憶に途切れた部分があるように思われた。何故かというと、僕が別世界にいった前後の記憶は繋がっていて、戻ったと思われた時期以降も違和感なく生活できているように思っていた。
ところが彼女は、今までと変わらない日常のようではあるが何かが違うというのだ。
以前言っていた違和感とはこのことだったのだろう。別世界の存在は気になるが、まずはこの違和感を突き止めることが何かのキッカケになるようひ感じられた。

彼女に違和感を感じることを1つずつ確認すると、彼女自身は別世界から持ち帰っていた、もうひとりの結衣のノートから、別世界に行っていたかも知れないことを認識はしていた。
しかし戻った彼女自身は、彼女自身のことを知っている人のことの記憶がないらしい。親しそうに話してくる友達や両親の記憶がハッキリしないどころか、記憶がないとのことだ。
別世界から戻ったことによる記憶の混乱で、いつか戻ってくると思い込んで生活していたという。しかしいつまでも戻らない記憶と、学校へ行けば、まるで分からない授業、正直頭のなかが混乱はしていたらしい。
「なぜもっと早く言わなかったんだ。」
「ごめんなさい。でも私がおかしいだけだと思っていたから、」
「他にも違和感はあるのか。」
「もうふたつある。」
「ふたつもあるの!」
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