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邂逅
カモンPMC 3
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立井はバインダーを出し、その中に入っている資料や写真をパラりと広げた。
ふと部屋の写真が目に入る。万金はそれを取ってじっと見た。一般的な家庭のリビングの写真のようだ。無垢材を使った暖かな雰囲気の室内だが、天井から床まで辺り一面赤いものがこびりついていたり、家具がメタメタに壊れていて様子がおかしい。また、部屋の片隅には生ゴミが山積みになっていていてどこか汚い印象を受ける。
横から未悠が体を傾けて万金の見ている写真をのぞき見してきた。
「希井さん、なんですかこの写真は?部屋の片隅にあるこの生ゴミ見たいの気持ち悪いですね・・・」
「ああ、それは事件の被害者の死体だよ。何かに食われた後に反芻されたんだろうね。もう肉塊ですらなくなってるからねぇ。」
未悠は気づいた。これは現場の写真だ。天井に引っ付いているのは肉片やら血痕に違いない。生ゴミの中もよく見ると人骨らしき白いものが覗いている。急に未悠の顔から血の気が引き、口に手をあてると、
「おえぇ・・・」
吐き気を催して万金のズボンにゲロを豪快にぶちまけた。
「うわぁ!未悠大丈夫か!」
万金はびっくりして飛び上がった。落ち着きを取り戻すと、万金はテーブルに置いてあったふきんで未悠の口元を拭い、背中をさすってやる。もうズボンから床までゲロまみれだ。ゲロをまじまじと見たせいで、万金も気持ちが悪くなってきた。
「おげぇえ・・・」
これが所謂もらいゲロかと思いながら吐き出した。万金のゲロが滝のように流れ落ちる。窓から差し込む光が反射して神々しさすらある。吐いたものを見ると、床で昼食に踊り食いしたシシャモがぴちぴちと元気に跳ねている。
「ちょっとお父さん!なにこれ!食べ物はちゃんと火を通して食べてねって言ったよね!・・・おえっ。」
「お前も急に人のズボンでゲロをするんじゃない!汚いだろ!・・・ほげぇっ。」
止まらないもらいゲロの連鎖を見て希井は完全に引いていた。
「うわぁ・・・」
「おい希井!うわぁじゃないだろ!そういう写真があるなら前もって言っておけよ!!」
「ああ、すまんすまん。職業柄こういう写真を見慣れ過ぎて配慮を忘れていたよ。これからもセンシティブな写真が御座いますのでご注意ください。」
「ったく。」
しばらくして二人の吐き気が収まると、万金は未悠を洗面所に口をゆすぎに行かせ、ついでに雑巾も取ってきてもらった。床や椅子をきれいにし、ブツを処理した。万金はズボンを脱いだが、めんどくさいとの理由でパンイチで話を続けることにした。
「さて、じゃあ話を再開させようか。」
何事もなかったかのように話を始める希井。全然反省しているように見えないので、万金はこいつにゲロを浴びせてやれば良かったと思ったが、我慢した。
「一年前に県内で一家心中事件が起きたのを覚えているかい?」
「ああ、確か夕方でちょっとしたニュースになってたな。全国レベルのニュースにはならなかったが。」
「その時の写真がこれなんだ。あれは集団自殺ではなかった。明らかに事件性のあるものだったんだよ。でも、あるものが発見されたという報告が上がった途端、上からの圧力がかかって捜査は中止。一家心中として取り扱うことになったんだ。何故だか分かるかい?」
「いや、分からん。」
「例の動く脳が発見されたからだ。」
希井は二人に写真を見せた。そこには多面体の形をした脳が写っていた。これは・・・確かに脳のようなしわが寄っているが、俺らが普段見ている形じゃない。美術の授業で使うような立体図形のような、どこか冷たい幾何学的な印象を受けた。
「なんかこの世界の物とは思えんな。動く脳なんて、どこか不気味だ。」
「いいところに気が付くね。私もそう思う。それと、興味深いことに、今回この脳を調べるととても面白いことが分かったんだよ。それは、この脳は高次元の物体だということだ。」
「HA?」
万金は理解が追い付かず、思わず声を出してしまった。
ふと部屋の写真が目に入る。万金はそれを取ってじっと見た。一般的な家庭のリビングの写真のようだ。無垢材を使った暖かな雰囲気の室内だが、天井から床まで辺り一面赤いものがこびりついていたり、家具がメタメタに壊れていて様子がおかしい。また、部屋の片隅には生ゴミが山積みになっていていてどこか汚い印象を受ける。
横から未悠が体を傾けて万金の見ている写真をのぞき見してきた。
「希井さん、なんですかこの写真は?部屋の片隅にあるこの生ゴミ見たいの気持ち悪いですね・・・」
「ああ、それは事件の被害者の死体だよ。何かに食われた後に反芻されたんだろうね。もう肉塊ですらなくなってるからねぇ。」
未悠は気づいた。これは現場の写真だ。天井に引っ付いているのは肉片やら血痕に違いない。生ゴミの中もよく見ると人骨らしき白いものが覗いている。急に未悠の顔から血の気が引き、口に手をあてると、
「おえぇ・・・」
吐き気を催して万金のズボンにゲロを豪快にぶちまけた。
「うわぁ!未悠大丈夫か!」
万金はびっくりして飛び上がった。落ち着きを取り戻すと、万金はテーブルに置いてあったふきんで未悠の口元を拭い、背中をさすってやる。もうズボンから床までゲロまみれだ。ゲロをまじまじと見たせいで、万金も気持ちが悪くなってきた。
「おげぇえ・・・」
これが所謂もらいゲロかと思いながら吐き出した。万金のゲロが滝のように流れ落ちる。窓から差し込む光が反射して神々しさすらある。吐いたものを見ると、床で昼食に踊り食いしたシシャモがぴちぴちと元気に跳ねている。
「ちょっとお父さん!なにこれ!食べ物はちゃんと火を通して食べてねって言ったよね!・・・おえっ。」
「お前も急に人のズボンでゲロをするんじゃない!汚いだろ!・・・ほげぇっ。」
止まらないもらいゲロの連鎖を見て希井は完全に引いていた。
「うわぁ・・・」
「おい希井!うわぁじゃないだろ!そういう写真があるなら前もって言っておけよ!!」
「ああ、すまんすまん。職業柄こういう写真を見慣れ過ぎて配慮を忘れていたよ。これからもセンシティブな写真が御座いますのでご注意ください。」
「ったく。」
しばらくして二人の吐き気が収まると、万金は未悠を洗面所に口をゆすぎに行かせ、ついでに雑巾も取ってきてもらった。床や椅子をきれいにし、ブツを処理した。万金はズボンを脱いだが、めんどくさいとの理由でパンイチで話を続けることにした。
「さて、じゃあ話を再開させようか。」
何事もなかったかのように話を始める希井。全然反省しているように見えないので、万金はこいつにゲロを浴びせてやれば良かったと思ったが、我慢した。
「一年前に県内で一家心中事件が起きたのを覚えているかい?」
「ああ、確か夕方でちょっとしたニュースになってたな。全国レベルのニュースにはならなかったが。」
「その時の写真がこれなんだ。あれは集団自殺ではなかった。明らかに事件性のあるものだったんだよ。でも、あるものが発見されたという報告が上がった途端、上からの圧力がかかって捜査は中止。一家心中として取り扱うことになったんだ。何故だか分かるかい?」
「いや、分からん。」
「例の動く脳が発見されたからだ。」
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「いいところに気が付くね。私もそう思う。それと、興味深いことに、今回この脳を調べるととても面白いことが分かったんだよ。それは、この脳は高次元の物体だということだ。」
「HA?」
万金は理解が追い付かず、思わず声を出してしまった。
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