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霧の魔
ルート開拓
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スワロ君が棺を取りに行っている間、あたしは進行ルートの安全の確保を任された。
棺はまだ未完成。移動中に完成させるらしい。棺のハード面は完成しているからできる芸当だ。
その作業の邪魔になる敵を排除し、集中して行えるようにするのがあたしの役割になる。
彼が予定している港から森までルートを往復して、遭遇するモンスターを根こそぎ排除していった。
遭遇したのは蛇は勿論、ゴブリンやオーク、スライムもいた。
ゴブリンなどは普段は森から出てくることはないけど、霧に乗じて南部にまで出現するようになっていた。
ゴブリンやオークたちはいつもより簡単に倒せる。
あいつらも霧の影響で視覚は制限されており、こっそり後ろから近づいて、首を落とせば倒せた。
面倒だったのは蛇。
蛇はこの霧の中でも自由に見通せるらしく、簡単に不意打ちができない。
むしろ、向こうから不意打ちを仕掛けてきた。
だけど、スワロ君の作った紅霞にそれは意味がない。
紅霞のセンサーはちゃんと敵の位置を指し示してくれるし、カメラでもちゃんと捉えることできる。
小型の蛇なら数え切れないほど、大型はもう10匹は倒している。
不意打ちはできないけど、遠距離攻撃がない敵なんて、紅霞の敵じゃない。
ダガーの切れ味は抜群なのよね。
港~森間を何往復も繰り返し、あらかたの障害を排除した。
今は森の前にいる。あとはここでスワロ君を待つ予定。
森から新たな敵が出現してもすぐに対処できるように、レーダーに注視していたら、反応があった。
「なにこの反応?」
ゴブリンやオークなどの反応じゃなかった。経験してきたどの反応とも違う。
まず大きさが全然違う。速度もあいつらより段違い速い。
逃げることはできない。もうすぐここにスワロ君が来る。不完全な機体で対処できる相手とはとても思えなかった。
ダガーを構え、敵が現れるのを待つ。
木が倒れる音がする。たぶん、進行方向にある木を避けず、薙ぎ倒しながら進んでいるんだと思う。
その正体はすぐに分かった。巨大な蛇。
森の高い木を越えるほど大きかったので、まだ距離があるのに視認することができた。
これまで出会った蛇はこれと比べると子供と大人ぐらいの差がある。
ここで戦うのは危険かな。
木に隠れながら戦っても、木ごと叩き潰される。
それなら敵の姿がよく見える場所で戦った方がやりやすい。
蛇を誘導したのは拓けた平原。ここなら障害物もなく、戦いやすい。
最初は様子見をした。どんな攻撃方法を持っているか分からない。
下手に攻撃をして、カウンターを喰らえば、一撃で叩き潰される恐れがある。
様子見をしていると、向こうから攻撃を仕掛けてきた。
突進攻撃だ。
倒してきた蛇も同じ攻撃をしてきたが、迫力が全然違う。
まるで大きな岩が転がってくるかのような迫力だった。
迫力は凄かったけど、所詮直線的な攻撃。簡単に躱せる。真横に飛んで躱した。
隙だらけだったが、今攻撃すると、機体が持っていかれる恐れがある。
蛇が止まるまで待ち、ダガーで攻撃を仕掛けた。
しかし、僅かに食い込むだけで振り抜くことができなかった。
今まで遭遇した蛇より遙かに硬い。これを倒すのは時間が掛かりそう。
基本的な攻撃方法は他の蛇と共通だった。
ただし、どの攻撃も威力が違う。掠っただけでも大ダメージになりそう。
「スリル満点ね。でも!」
だいぶ慣れてきた。大きさは違っても所詮は同じ攻撃。
慣れるのも早かった。
「動きが変わった?!」
攻撃が当たらないことを理解した蛇は、紅霞を中心にとぐろを巻き、包囲してきた。
大蛇の大きさで作られたそれはかなり高く、跳躍しても抜け出せそうにない。
徐々に狭くなっている。
「このまま絞め潰す気?!そうはさせない!」
段差に足を掛け、登っていき、最後はブースターで一気に脱出を試みた。
蛇はそこを待ち構えていた。
大口を開けて、こちらをかみ砕こうとしている。
「それぐらい!」
これを警戒して、全てのブースターを使わずに余力を残しておいた。
襲い掛かる牙を躱し、逆に牙の一本を斬り落とした。
カウンターを受けた蛇は動揺していた。
「ご愁傷さま。あたしは先を読むのは得意なのよ」
ボードバーサスのアマチュア将棋部門の優勝経験は伊達じゃないのよ。
それとスワロ君との模擬戦の経験が役に立った。
彼は模擬戦の度に新しい戦法を繰り出してくるから、それを警戒して常に回避の余力を残しておく癖が付いていた。
包囲から脱出したら、いったん距離を取って態勢を整えた。
向こうも様子見をしているし、状況を整理しておく。
この先のことを考えると、ダガーの溶断機能は使えない。エネルギーは温存しておきたい。使うのは確実に倒すことができる瞬間のみ。
投網ランチャーは使用してないけど、この蛇相手では大きすぎて効果はない。
膝の苦無はもう残弾が残っていない。
武器はダガーと手足を使った格闘攻撃だけ。
バッテリーの残りはまだまだあるし、ブースターの推進剤の残量も心配ない、戦闘は継続できる。
棺はまだ未完成。移動中に完成させるらしい。棺のハード面は完成しているからできる芸当だ。
その作業の邪魔になる敵を排除し、集中して行えるようにするのがあたしの役割になる。
彼が予定している港から森までルートを往復して、遭遇するモンスターを根こそぎ排除していった。
遭遇したのは蛇は勿論、ゴブリンやオーク、スライムもいた。
ゴブリンなどは普段は森から出てくることはないけど、霧に乗じて南部にまで出現するようになっていた。
ゴブリンやオークたちはいつもより簡単に倒せる。
あいつらも霧の影響で視覚は制限されており、こっそり後ろから近づいて、首を落とせば倒せた。
面倒だったのは蛇。
蛇はこの霧の中でも自由に見通せるらしく、簡単に不意打ちができない。
むしろ、向こうから不意打ちを仕掛けてきた。
だけど、スワロ君の作った紅霞にそれは意味がない。
紅霞のセンサーはちゃんと敵の位置を指し示してくれるし、カメラでもちゃんと捉えることできる。
小型の蛇なら数え切れないほど、大型はもう10匹は倒している。
不意打ちはできないけど、遠距離攻撃がない敵なんて、紅霞の敵じゃない。
ダガーの切れ味は抜群なのよね。
港~森間を何往復も繰り返し、あらかたの障害を排除した。
今は森の前にいる。あとはここでスワロ君を待つ予定。
森から新たな敵が出現してもすぐに対処できるように、レーダーに注視していたら、反応があった。
「なにこの反応?」
ゴブリンやオークなどの反応じゃなかった。経験してきたどの反応とも違う。
まず大きさが全然違う。速度もあいつらより段違い速い。
逃げることはできない。もうすぐここにスワロ君が来る。不完全な機体で対処できる相手とはとても思えなかった。
ダガーを構え、敵が現れるのを待つ。
木が倒れる音がする。たぶん、進行方向にある木を避けず、薙ぎ倒しながら進んでいるんだと思う。
その正体はすぐに分かった。巨大な蛇。
森の高い木を越えるほど大きかったので、まだ距離があるのに視認することができた。
これまで出会った蛇はこれと比べると子供と大人ぐらいの差がある。
ここで戦うのは危険かな。
木に隠れながら戦っても、木ごと叩き潰される。
それなら敵の姿がよく見える場所で戦った方がやりやすい。
蛇を誘導したのは拓けた平原。ここなら障害物もなく、戦いやすい。
最初は様子見をした。どんな攻撃方法を持っているか分からない。
下手に攻撃をして、カウンターを喰らえば、一撃で叩き潰される恐れがある。
様子見をしていると、向こうから攻撃を仕掛けてきた。
突進攻撃だ。
倒してきた蛇も同じ攻撃をしてきたが、迫力が全然違う。
まるで大きな岩が転がってくるかのような迫力だった。
迫力は凄かったけど、所詮直線的な攻撃。簡単に躱せる。真横に飛んで躱した。
隙だらけだったが、今攻撃すると、機体が持っていかれる恐れがある。
蛇が止まるまで待ち、ダガーで攻撃を仕掛けた。
しかし、僅かに食い込むだけで振り抜くことができなかった。
今まで遭遇した蛇より遙かに硬い。これを倒すのは時間が掛かりそう。
基本的な攻撃方法は他の蛇と共通だった。
ただし、どの攻撃も威力が違う。掠っただけでも大ダメージになりそう。
「スリル満点ね。でも!」
だいぶ慣れてきた。大きさは違っても所詮は同じ攻撃。
慣れるのも早かった。
「動きが変わった?!」
攻撃が当たらないことを理解した蛇は、紅霞を中心にとぐろを巻き、包囲してきた。
大蛇の大きさで作られたそれはかなり高く、跳躍しても抜け出せそうにない。
徐々に狭くなっている。
「このまま絞め潰す気?!そうはさせない!」
段差に足を掛け、登っていき、最後はブースターで一気に脱出を試みた。
蛇はそこを待ち構えていた。
大口を開けて、こちらをかみ砕こうとしている。
「それぐらい!」
これを警戒して、全てのブースターを使わずに余力を残しておいた。
襲い掛かる牙を躱し、逆に牙の一本を斬り落とした。
カウンターを受けた蛇は動揺していた。
「ご愁傷さま。あたしは先を読むのは得意なのよ」
ボードバーサスのアマチュア将棋部門の優勝経験は伊達じゃないのよ。
それとスワロ君との模擬戦の経験が役に立った。
彼は模擬戦の度に新しい戦法を繰り出してくるから、それを警戒して常に回避の余力を残しておく癖が付いていた。
包囲から脱出したら、いったん距離を取って態勢を整えた。
向こうも様子見をしているし、状況を整理しておく。
この先のことを考えると、ダガーの溶断機能は使えない。エネルギーは温存しておきたい。使うのは確実に倒すことができる瞬間のみ。
投網ランチャーは使用してないけど、この蛇相手では大きすぎて効果はない。
膝の苦無はもう残弾が残っていない。
武器はダガーと手足を使った格闘攻撃だけ。
バッテリーの残りはまだまだあるし、ブースターの推進剤の残量も心配ない、戦闘は継続できる。
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