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風吹く星よ
検問を抜けて
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事件の後日談だけど、白スーツの男の逮捕によって、ルドフィー各所にあるこいつらの商会の建物に強制捜査が行われた。
そこから、数々の不正の証拠が見つかったらしい。
だけど、一等民の権力は強く、完全に潰すことはできないそうだ。
ただ一定期間、ルドフィーでの営業を禁止、所属の船の入港も禁止になるみたいだから、無傷では済まないだろう。
商会関連の後始末をしている間に、船の補給を終わっていた。
資源の購入もユラさんに頼んでおいたから、いつでも出航できる。
これからクインシフに向かう予定なんだけど、使おうと思っていた航路が、エンジ島出発の二週間前ぐらいに航路が使えなくなってしまった。
その航路の途中にある島が中立派だったのだが、最近になって統合軍派に鞍替えしてしまったのだ。
ヴィニアちゃんが乗っているので、統合軍の支配領域は出来るだけ避けた方がいい。
一応、状況を航路の管理している航空局に確認してみたら、その航路は完全に使えなくなっていた。
現在、その島は一般の船の寄港は許されておらず、近くを通ることすらも許可されていないそうだ。
訳を聞くと、島で何かが見つかったかららしい。
ただし、それがなにかは公開されていなかった。
少し遠回りになるけど、別の航路を通るしかない。
クインシフまでの航路は一つじゃなく、かなりの数ある。
だけど、統合軍派の島々を避け、王派と中立派のみを通るとなると、ルートは限られる。
その中でも最短のルートを使うことにした。
航路データは航空局で貰える。
普段は有料だけど、エンジ島を出発する時に貰った国発行の手形を見せれば、無料になるそうだ。
「お待ちください」
この人は王様直属の諜報機関の人だ。
統合軍の諜報員の引き渡しなどで何度か面識がある。
正直、シノビックニンジャーよりも忍者っぽい。
そういえば、名前を聞いたことはない。
鑑定スキルでは、プレイヤーかNPCかの判別。犯罪歴の確認ぐらいしかできないのだ。
「影とお呼びください」
困っているのを見て、自分から名乗ってくれた。
本名じゃないのは明らかだけど。
「このルートですが、統合軍が検問を張っています」
「そんな情報は聞いてないんですけど」
「航空局にも統合軍の手の者がいるんです」
だったら、このルートはNGだ。
「このルートだけじゃありません。ほぼ全てのルートを統合軍が監視しています」
「ヴィニアちゃん狙いですか?」
「おそらくは。クインシフに入れば、おいそれと手が出せなくなりますから」
それにしても、とんでもない力業だ。
影さんの話では、すでに一カ月以上、網を張り続けているらしい。
どんだけお金を掛けているんだろう?
「統合軍がこんな無茶をしているのはあなたのせいなんですけど」
「僕ですか?」
影さんによると、僕が統合軍の諜報員を捕らえまくったせいで、統合軍の諜報機関は未曾有の人手不足に陥っているらしい。
僕らの動向の情報がまともに入らなくなってしまい、こういう手段を取らざる負えなくなったそうだ。
「現状、統合軍を回避できるルートはここしかありませんね」
「仕方ありませんよ。他は張られてますし」
影さんも交えた会議で、クインシフまで航路が決まった。
「ごめん。私のせいで」
ヴィニアちゃんの表情は暗い。
責任を感じてるみたいだけど、感じる必要なんてない。だって……
「気にしなくていいよ。結構楽しいし」
手間と大金を掛けて、組まれた敵の策。
それを打ち崩すのだ。これほど楽しいことは中々ない。
向こうの指揮官の苦虫を噛み潰したような顔を想像して、ついつい悪い笑みが零れてしまう。
だけど、一番悪い顔をしているのはユラさんだった。
彼女が一番率先して、統合軍を出し抜くアイディアを出していた。
出航する時、行き先を航空局に提出しなければならないんだけど、クインシフじゃなくて、別の島で提出しておいた。
本当は駄目なんだけど、緊急だから仕方ない。
情報を横流しする奴が悪いのだ。
出航は夜。
夜の闇に乗じて、ルドフィーから離れる。
闇に紛れれば、発見される危険が少なくなる。
だけど、これにはデメリットもある。
夜間飛行は危険を伴うため、夜に出航する船が少なく、飛び立つ時にどうしても目立ってしまうのだ。
それを軽減するための手は打ってある。
停電に見せかけて、港の照明を落としておいた。
さらに、今日の昼、陽動として、数隻の船がクインシフに向けて、同時に出航している。
影さんたちが偽の情報を流したおかげで、統合軍の目はそちらに向いてるはずだ。
陽動が昼なのは陽動だと気づかせないため。
ルドフィーから飛び立つ船は大小含めて一日で100隻以上。
木を隠すのなら森の中。そこに紛れ込むのは誰でも思いつく常套手段だ。
統合軍も馬鹿じゃないので、それぐらいは読んでおり、全ての船をチェックしているみたいだ。
ご苦労なことで。
そこから、数々の不正の証拠が見つかったらしい。
だけど、一等民の権力は強く、完全に潰すことはできないそうだ。
ただ一定期間、ルドフィーでの営業を禁止、所属の船の入港も禁止になるみたいだから、無傷では済まないだろう。
商会関連の後始末をしている間に、船の補給を終わっていた。
資源の購入もユラさんに頼んでおいたから、いつでも出航できる。
これからクインシフに向かう予定なんだけど、使おうと思っていた航路が、エンジ島出発の二週間前ぐらいに航路が使えなくなってしまった。
その航路の途中にある島が中立派だったのだが、最近になって統合軍派に鞍替えしてしまったのだ。
ヴィニアちゃんが乗っているので、統合軍の支配領域は出来るだけ避けた方がいい。
一応、状況を航路の管理している航空局に確認してみたら、その航路は完全に使えなくなっていた。
現在、その島は一般の船の寄港は許されておらず、近くを通ることすらも許可されていないそうだ。
訳を聞くと、島で何かが見つかったかららしい。
ただし、それがなにかは公開されていなかった。
少し遠回りになるけど、別の航路を通るしかない。
クインシフまでの航路は一つじゃなく、かなりの数ある。
だけど、統合軍派の島々を避け、王派と中立派のみを通るとなると、ルートは限られる。
その中でも最短のルートを使うことにした。
航路データは航空局で貰える。
普段は有料だけど、エンジ島を出発する時に貰った国発行の手形を見せれば、無料になるそうだ。
「お待ちください」
この人は王様直属の諜報機関の人だ。
統合軍の諜報員の引き渡しなどで何度か面識がある。
正直、シノビックニンジャーよりも忍者っぽい。
そういえば、名前を聞いたことはない。
鑑定スキルでは、プレイヤーかNPCかの判別。犯罪歴の確認ぐらいしかできないのだ。
「影とお呼びください」
困っているのを見て、自分から名乗ってくれた。
本名じゃないのは明らかだけど。
「このルートですが、統合軍が検問を張っています」
「そんな情報は聞いてないんですけど」
「航空局にも統合軍の手の者がいるんです」
だったら、このルートはNGだ。
「このルートだけじゃありません。ほぼ全てのルートを統合軍が監視しています」
「ヴィニアちゃん狙いですか?」
「おそらくは。クインシフに入れば、おいそれと手が出せなくなりますから」
それにしても、とんでもない力業だ。
影さんの話では、すでに一カ月以上、網を張り続けているらしい。
どんだけお金を掛けているんだろう?
「統合軍がこんな無茶をしているのはあなたのせいなんですけど」
「僕ですか?」
影さんによると、僕が統合軍の諜報員を捕らえまくったせいで、統合軍の諜報機関は未曾有の人手不足に陥っているらしい。
僕らの動向の情報がまともに入らなくなってしまい、こういう手段を取らざる負えなくなったそうだ。
「現状、統合軍を回避できるルートはここしかありませんね」
「仕方ありませんよ。他は張られてますし」
影さんも交えた会議で、クインシフまで航路が決まった。
「ごめん。私のせいで」
ヴィニアちゃんの表情は暗い。
責任を感じてるみたいだけど、感じる必要なんてない。だって……
「気にしなくていいよ。結構楽しいし」
手間と大金を掛けて、組まれた敵の策。
それを打ち崩すのだ。これほど楽しいことは中々ない。
向こうの指揮官の苦虫を噛み潰したような顔を想像して、ついつい悪い笑みが零れてしまう。
だけど、一番悪い顔をしているのはユラさんだった。
彼女が一番率先して、統合軍を出し抜くアイディアを出していた。
出航する時、行き先を航空局に提出しなければならないんだけど、クインシフじゃなくて、別の島で提出しておいた。
本当は駄目なんだけど、緊急だから仕方ない。
情報を横流しする奴が悪いのだ。
出航は夜。
夜の闇に乗じて、ルドフィーから離れる。
闇に紛れれば、発見される危険が少なくなる。
だけど、これにはデメリットもある。
夜間飛行は危険を伴うため、夜に出航する船が少なく、飛び立つ時にどうしても目立ってしまうのだ。
それを軽減するための手は打ってある。
停電に見せかけて、港の照明を落としておいた。
さらに、今日の昼、陽動として、数隻の船がクインシフに向けて、同時に出航している。
影さんたちが偽の情報を流したおかげで、統合軍の目はそちらに向いてるはずだ。
陽動が昼なのは陽動だと気づかせないため。
ルドフィーから飛び立つ船は大小含めて一日で100隻以上。
木を隠すのなら森の中。そこに紛れ込むのは誰でも思いつく常套手段だ。
統合軍も馬鹿じゃないので、それぐらいは読んでおり、全ての船をチェックしているみたいだ。
ご苦労なことで。
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