神様project【七曜の女神と幾億の旅跡】

青衣

文字の大きさ
110 / 121
第4章【水曜の湖畔《時雨》】

この世のコトワリ

しおりを挟む
 私は上手く要点をまとめるのが苦手なのはご存じの通りだとは思うが、恋は突拍子もないことを言われても頭の回転が物凄く速い上に瞬時にこちらの言いたいことを感じとり理解する……それはスゴい力の持ち主。
 夢を操る枕を平気で作るような頭の構造をしてるんだから相手の考えてることをくみ取るなんて造作もないことだとは思うけど、非常に助かるよ。

 けど顔色が優れずしかめっ面になるのは私がなにかマズイ事を言ったからに違いないと言うのは自身でもなんとなくわかってる。
 けどね……わかった上じゃないとこう言うのは言えないし、話を進める上でなら避けては通れぬ話題となら面と面向かってさ。

「冥綾、それ本気なの?」

「あぁ、本気も本気……大正気だ。」

 七曜力を使った七曜魔法とは非常に強力で使い方を少しでも間違えれば人に甚大なる影響を与えてしまう場合がある。
 今回使用するのは土曜力、メインとしては土や砂に泥……それから物の大きさや重さ、重力……などのものを操れ、本題として人の大きさを縮小化させ丘でも広々とスキーを楽しむという荒業をしたいと恋に相談するもの。

 恋は金曜力を主に使うがなぜ関係あるのかと言うと【この世のコトワリ】と呼ばれるものに干渉し、ルールそのものをねじ曲げる事を可能としてしまうからだ。
 つまりは彼女は七刻のルールを改竄して好き勝手にカスタマイズでき、その気になれば結愛を差し置いて乗っとることも……出来なくはないがね。

「土曜力で生き物の大きさを変えることは不可能よ!! ダメよそんなこと。」

「その不可能を干渉して必要なときだけ可能に書き換えて欲しいんだ。 た……頼む!! 時雨の発展には恋の力無くしては無理なんだよ。」

 このとき私は誰かのためでもない、正真正銘私のためだけに結愛と呼ばれる超大きなプライドを投げうって土下座をお見舞いしてやった。
 これ以上の誠意があるものか、恋は唖然と見下ろしてくれてたに違いないさ。

















 どれだけ長い時間……雪に頭を付けていたんだろうって。
 ふっと、声をかけられた……それも呆れられたような言いようで。

「や、止めてよね……私自身なのにそういうのとか見たくないわ。」

 確かにプライド投げ捨てて土下座なんてしたら同じ結愛として呆れられるのも当たり前かもしれない、けど私も頭が悪いから本気でものを頼むとなると最終手段はソレしか思い付かない。
 私にとっては仕方ないのかもしれないけど、彼女はそう思ってなかったんだろうね。

「確かに無理難題かもしれない、けどね……同じ存在のよしみならなおさら手伝ってあげないと申し訳立たないってねっ!!」

 ビシィッとポーズをとっては彼女なりの表現で励ましてくれたのかもしれない。
 あぁ、こう思えばやっぱりみんな根本は同じ【結愛】なんだなぁって考えるといつぞやのようにらしくもなく私はフフっと微笑む。
 そうさ、悩むことはあれどプライド捨てずにズカズカ突き進むのが私達ってものだろう!?

「と言うわけで【この世のコトワリ】をいじくるために帰るとするわ。 あ、そうそう……終わったら連絡入れるからアドレス教えてよ。」

 端末のアドレスを互いに交換するとフッと言われたこともない疑問をぶつけられた。

「そう言えば冥綾って名字は? 名前の設定したいのに名前だけじゃ変な感じ。」

「私に名字は無いな……そう言う恋だって名字が【石蕗】って書いて【つわぶき】だから1発で変換ささんなくてさぁ。」

 ちなみに私は冥綾だが結愛と呼ばれても反応する。
 それが本名なのだから仕方ないとしてもやっぱり10人も【若松 結愛】という存在がいると、呼んだときに誰を呼んだのかを区別するために独自で名前を付けたのが始まり。
 みんな名字も独自で付けたけどやっぱり私もあった方がいいのかな……と、そんなことを思いながらもアドレスの交換に成功し電話帳にまた1つ名前が刻まれた……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...