日々是成長×神様project・HDリマスター

青衣

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十月

十月十九日

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十月十九日。
救いはないのだ。














   夜朧城に四人とも集まるなど稀を見ない光景だとは思うも、ひとつ欠点があるとすれば風見と愛染の二人にとっては少々寒さがこたえるものだ。
   夜朧の技術ではまだ薪を燃やして暖をとる程度のものなのだから期待はできないし、これしきで根をあげる聖奈はおろか、極寒の時雨の神まで居るとなると寒さには強すぎる。

   しかし、聖奈と恵麻は寒さにはびくともしないが、玄弥と恋にはどうにも苦手。

 「寒いぜ……誰かおでんでも買ってこいよ。 お金出すからよ。」

   持参した寝袋に毛布を詰めてミノムシの状態の玄弥はむっくりと一言放つと、布団を敷いて暖まりながら顔を出してる恋も反応し出す。

 「良いわね、寒い日のおでんは格別よ。」

   着物を着ている聖奈は暖かそうなのだから、室内が十度前後でもものともしない。

 「具材があれば御作りいたしますよ。」

   元から寒さに強い恵麻。
   言わなくてもわかる通りだ。

 「おでんは買ってくるからこそ、美味しいものもあるんですよー。」

   コンビニで手軽に購入できる時代だが、夜朧にはコンビニなど無いため、燎煉のふもとまで行くしかないが、誰も行きたがらないのは当たり前。
   しかし、恋はニヤッと笑うとポータルを開いてはあるものを取り出す。

 「ロシアンルーレットで決めるわよっ!」

   木曜力を詰め込んだ弾丸と、リボルバーの拳銃をニュッと取り出す。

 「物騒だなー。」

   「【木曜魔法・エアシューター】を限り無く弱くしてあるから、当たってもポンッ……程度よ。」

   実弾でやったら脳ミソがぶちまけるのはごめんなので、恋なりの配慮なのだろうが恵麻は苦笑い。
   過去にも恵麻と恋はやったことがあるのっが、本人はポンッ程度とは言ったものの、ボンっと重い一撃だったのを思い出したのだ。

 「これは……どう扱うのでしょう?」

   聖奈はリボルバー拳銃を持ち上げるとじっくりと観察するも、彼女は火縄銃しか扱ったことが無いため、このような片手の拳銃は異質なものとしか思えないのだ。

   すると恋はリボルバーを返してもらうと目隠しをし、シリンダーに一発の弾丸を装填しては激しく回転させてはピタリと止めてセットする。

 「六分の一の確率よ……。 」

   どこに一発が装填された見えないしわからないが、恋は引き金をガチンと引く。





 「……。」

   数秒ほどの静寂な時間が流れると、恋は目隠しを外しては玄弥に渡す。

 「次は玄弥の番よ。」 

 「悪運の強いヤツめ……まぁ、俺も余裕でセーフだな。」

   玄弥は目隠しをしながらシリンダーを回転させては止めるも、拳銃を頭に突きつけると三人は緊張の一瞬が訪れる。

   恋側からは見えたものの、シリンダーの断面図を見る限りでは弾丸が見えないためか、下か上かの二択にわかれてしまう。

   ――玄弥、どう出る?

   恋もドキドキしだすも、玄弥は天井に向かって銃口を向ける。

 「これには弾丸が入ってるな。」  

 【パァアンッ!!】

   クラッカーのような破裂音が響き渡ると玄弥は目隠しを外し、ニヤリと微笑む。
   これでもし、弾丸が入っていなければ玄弥の強制負けなのだが、玄弥も的確な判断を下したのだから勝ちの扱い。

 「どこに弾丸があるか止めた時点で音でわかるんだぜ。 へへっ、痛ぇっ!? ウーン……。」

   ドヤ顔の表情だが恋にシバかれ悶絶する。

 「撃つ必要ないでしょ!? 貴重な弾なのにぃ~っ!!」

   二人のコントが極めるなか、聖奈は恵麻に目隠しを施しては準備万端にさせるも、恵麻は頬を染めてはモジモジしてしまう。

 「た、たまには目隠しなんて……わ、悪くないです。」

 「次は私にもやらせてくださいね。」

   そんな茶番を見て玄弥も恋もドキドキしながら、モジモジする恵麻を見つめるも、面白いことを浮かんだようで、玄弥も滅多に使わない拳銃を今度は使用することに。

 「しょうがねぇよなぁ? なら、俺のサバゲー用のヤツを貸してやるかぁ! 弾丸使って悪かったなー。」

   あからさまな態度の玄弥だが、恋は玄弥に小声でヒソヒソ話。

 「ちょっと、ロシアンルーレットよ? なんでオートマ拳銃な訳よ……っぷぷ、絶対じゃない!」

 「……?」

   オートマチック拳銃を見てもいまいち理解できない聖奈は、勝手に拾い上げると恵麻に渡してしまう。

 「お二人がヒソヒソしてるので話が進まないので、私たちで進めましょうね。」

   ただし、恵麻は数秒間玄弥の拳銃を握りしめると目隠しを外してはプンスカ怒ってしまう。
   怒ってると言っても軽くて、彼女の性格では本気で怒れないものの、可愛らしい拗ねた感じのものだ。

 「なんで私だけオートマチックなんですか!? ロシアンルーレット以前に絶対ですよ。」

 「いいからさっさと引き金引いて買ってこいよ……。 お釣りはあげるからよ。」

   玄弥は寝袋に格納されてはめんどくさそうに言うも納得出来ないが、聖奈も小腹がすいてきたのか、行ってくるように催促する。
   聖奈が誰かに頼みを申すのは珍しいが、燎煉は苦手なようなのであまり行きたがらない。

 「あらら……えーと、恵麻様は下りない……と言うことは、弾丸は入っていないと見なしますよ。 確かめのために撃ちますよ。」

   オートマチックもリボルバーも違いなどわからず知識不足だが、引き金を引けば弾丸が出るか出ないかの勝敗はわかってきたので、恵麻に向けて引き金を引いた。

 「ちょっ!?」

   突然のことに恋は止めにかかろうとはしたが時はすでに遅かったようで、雷が落っこちたような爆発音が響き渡る。

 【バァアアァァンッ!!】

 「きゃあっ!?」

   聖奈はすさまじい反動でズテンと転がってしまうもい、もはや空気の弩砲と言っても過言じゃない空気砲に恵麻はおろか揉みくちゃになってる玄弥にまで被弾しては、運悪く天守閣の縁側から吹っ飛ばされて燎煉の方角へと星になって行く。

 「玄弥までとばっちりを受けたわね……いたた。 玄弥の拳銃、何てメチャクチャな威力……。」

 「うーん……。」

   聖奈は目を回してダウンしてはその場に伸びてしまったようで、二人がおでんを買って帰ってくるまでは、恋が介護して揚げてたそうな。














地獄確定のルーレット。
確定演出は熱くても、これはイヤです。
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