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十月
十月二十二日
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十月二十二日。
歩き歩きどこまでも。
聖奈は杖をつきながら夜朧を視察しつつ歩いている。
腰には七刻で扱える端末の【ポケットフォン】を腰に据えながら、万歩計のアプリは一歩一歩を明確に刻んで行く。
少し肌寒く思えるこの日だって歩けば暖かいし、元より和服を着こなしている聖奈にとっては寒さなど感じないだろう。
「ふぅ、結構歩きましたね。」
立ち止まってはポケットフォンの画面を見つめ、歩数を振りかえるも、四桁の歩数と大層な表記ではあるものの、まだまだ目標の設定値は遠く及ばない。
大体七千歩を目安に歩いているが、まだまだ折り返し地点までも来ていないのだから、腰にいれたお握りを食べるわけにもいかないが、適度な水分補給をしないと倒れては元も子もないだろう。
水筒のお手製の塩と砂糖を交ぜた、スポーツドリンクに似た飲み物を数口ほど飲みながら空を見上げる聖奈。
「中間値点の玄弥様の農具小屋にある南京錠を新しく変えなくてはいけませんからね。」
和服の袖の物を入れるところに新しい南京錠が入っている重みを実感しながら、中間値点までのちにじっくりと時間をかけて歩いて行くことに。
おおよそ三千歩辺りには、玄弥が夜朧で稲作や畑のための農具を保管したりする納屋が存在するのだが、どうにも壊れてしまった南京錠が目に見えている。
あるだけで端から見ればしまっているように見えるが、あくまでも玄弥の防犯のためのカモフラージュだが、近くにいけばバレバレの有り様。
夜朧の民は玄弥の納屋と知っているため、泥棒に入ろうなどしないが、もし悪事を働いて入って摘発されたなら重罰じゃすまないものなのだと、良く肝に命じてほしいと玄弥の張り紙が一時は掲示板にあったものだ。
「ふーむ。」
古くてボロボロの南京錠は聖奈が外して新しいものにし、鍵はいつもの隠し場所の鉢植えの中に入れておく。
「それにしても……。」
回りを見渡すとここの周囲だけは木曜力の影響なのか枯れ葉の茶色ではなく、緑が萌えている色が生い茂っており、これが風見の力なのだと思って知らされるものだ。
小屋の裏には水車が回っているが、一回りしても玄弥の姿は見えなかったのか聖奈は折り返し帰ることに。
内心ガッカリだが、でも玄弥に会えたなら残りの四千歩は歩かずに終わってしまうと思うと、ちょっぴりホッとしたものであった。
今日も元気に歩きましょう。
寒さなど吹き飛ばせ。
歩き歩きどこまでも。
聖奈は杖をつきながら夜朧を視察しつつ歩いている。
腰には七刻で扱える端末の【ポケットフォン】を腰に据えながら、万歩計のアプリは一歩一歩を明確に刻んで行く。
少し肌寒く思えるこの日だって歩けば暖かいし、元より和服を着こなしている聖奈にとっては寒さなど感じないだろう。
「ふぅ、結構歩きましたね。」
立ち止まってはポケットフォンの画面を見つめ、歩数を振りかえるも、四桁の歩数と大層な表記ではあるものの、まだまだ目標の設定値は遠く及ばない。
大体七千歩を目安に歩いているが、まだまだ折り返し地点までも来ていないのだから、腰にいれたお握りを食べるわけにもいかないが、適度な水分補給をしないと倒れては元も子もないだろう。
水筒のお手製の塩と砂糖を交ぜた、スポーツドリンクに似た飲み物を数口ほど飲みながら空を見上げる聖奈。
「中間値点の玄弥様の農具小屋にある南京錠を新しく変えなくてはいけませんからね。」
和服の袖の物を入れるところに新しい南京錠が入っている重みを実感しながら、中間値点までのちにじっくりと時間をかけて歩いて行くことに。
おおよそ三千歩辺りには、玄弥が夜朧で稲作や畑のための農具を保管したりする納屋が存在するのだが、どうにも壊れてしまった南京錠が目に見えている。
あるだけで端から見ればしまっているように見えるが、あくまでも玄弥の防犯のためのカモフラージュだが、近くにいけばバレバレの有り様。
夜朧の民は玄弥の納屋と知っているため、泥棒に入ろうなどしないが、もし悪事を働いて入って摘発されたなら重罰じゃすまないものなのだと、良く肝に命じてほしいと玄弥の張り紙が一時は掲示板にあったものだ。
「ふーむ。」
古くてボロボロの南京錠は聖奈が外して新しいものにし、鍵はいつもの隠し場所の鉢植えの中に入れておく。
「それにしても……。」
回りを見渡すとここの周囲だけは木曜力の影響なのか枯れ葉の茶色ではなく、緑が萌えている色が生い茂っており、これが風見の力なのだと思って知らされるものだ。
小屋の裏には水車が回っているが、一回りしても玄弥の姿は見えなかったのか聖奈は折り返し帰ることに。
内心ガッカリだが、でも玄弥に会えたなら残りの四千歩は歩かずに終わってしまうと思うと、ちょっぴりホッとしたものであった。
今日も元気に歩きましょう。
寒さなど吹き飛ばせ。
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