幼女先生と不思議な課外授業

青衣

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11月23日【ヒアリは越冬できないから雪が降るところには定住できない】

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 今日は仕事も学校も休みなものだからマルを連れていつもの港街にデートと勤しもうじゃないかってね。
 そんなことでマルの手を引き連れてやって来たわけだ。

 海にはいつも停泊してる戦艦1隻と数多の貨物船がひしめき合いここの経済を動かしている。
 もちろんここら辺で水揚げされる海産物はうちのホテルや旅館にも回されてるって知ってたか?

「今日はコンテナおいてある広場にはけっこう荷物があるな、って……ヒナが居たぜ。 よぉ。」

「ん……。」

 ヒナはこちらに気がついたらしく少しだけこちらを除きこんでは頷いてはまた、コンテナを凝視していやがる。
 運ばれてきたコンテナのナンバーやら確認やらで毎日毎日大忙しな事、まさに勤労感謝ってか?

「ヒアリ……は居なさそうね。 今回は大丈夫。」

「ヒアリかぁ? あー、確か話題だよな。 外来生物だか毒を持ってるだかで危ないんだとか。」

 もちろんコンテナの外見だけ見ても荷物の中に潜んでるかもしれないがそれを確認するのもヒナの仕事だろうよ。
 あまり邪魔しない程度にだが、会話の1つでも弾ませてやれば俺より無口なヒナでもひと安心できるかもだし、最近ご無沙汰だからたまには会っておかないと。

「ヒアリは刺すです!! 噛むですよ。」

「そうね……ヒアリは蜂の仲間なんだけど、蟻にしては尾に針を持つの。 これが毒……刺されないように気を付けてね。 もし見かけたら私に連絡してね。」

 常夏の港街の至るところの壁にはヒアリの注意を促す張り紙がペタペタと張られている。
 もはや身近に潜む驚異と言える日も夢じゃないってことさ。

「貨物は一年中寒い場所から来てるから大丈夫だとは思うけど一応……ね? ヒアリは熱帯の虫で冬眠や越冬はできないって聞いたことがあるんだけど、【まさか】の事態はあり得るから……。」

「了解、んじゃあマル……ヒナの邪魔しないように水族館にデートに行こうぜ?」

「行くです!!」

 マルを肩車してから振り向くと再びヒナに手を振って贈る。

「水族館にお母さん……居るかも? 見かけたらよろしくね。」

「伝えておくぜ。」

「カツラ!! 早くしないとイルカショーの時間に間に合わなくなるです。 間に合わなかったら大トロをまた握るですよ。」

 まだ昨日の事根に持ってるのか?
 しつこいヤツだなぁ、じゃあいやと言うほど食わして見たくなるのが俺なんだがマルに吐かせるほど食わせるのは気が引ける……そう思いながらも脚を急がせるんだ。
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