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エイブレイル神聖国編

護衛依頼④

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 この泉は、どうやら源泉のようで、ここから別の川が出来ていた。
 とりあえず、カプリスを川の方に行かせて水浴びしに行ってもらうことにした。
 さすがに源泉とはいえ、綺麗な泉を汚したくはないからな。カプリスも、俺が川の方に行かせた理由をわかっているみたいで、特に文句も言わずに向かった。
 この辺りは盗賊がいない地域なので、女の子一人でも大丈夫だろう。まぁ、ゲームの時の話だから一応周りに結界を張っておいてあるけどな。
 魔術の改良たーのしーねー!

「さて、と」

 防具はアイテムボックスに出し入れすれば綺麗になるのだが、たまには洗うことにした。
 この初心者冒険者防具は初期の頃からお世話になっていて、ゲームの時は洗うなんて機能はないので洗ったことはなかったが、せっかく現実なんだ、日頃お世話になっている防具を綺麗にしとくべきだろうな。

「ひゃっ!?」

 防具を脱ぎ出したところで、短い悲鳴が上がる。
 見ると、アルフが真っ赤にした顔を手で覆っていた。だが、右側の人差し指と中指の間に隙間を作ってこちらを見ている。
 うーん。これ本当に女の子だってことを隠し通す気があるのだろうか。いや、もしかしたら男の身体に興味のある男の子ってこともあり得るか。あり得てほしくないな。この話題はよそう。

「悪い。変なもん見せちまったな」

 防具を脱ぐのをやめて謝る。

「い、いえ!」

 とりあえず、人目のつかないところに移動して装備を脱ぐ。一応インナーを着ているので、はだかと言うわけではないんだけどなぁ。
 アイテムボックスからてけとーな服をチョイスして着こんで戻った。

「戻りましたー! めっちゃ気持ちよかったよ!」

 防具の手入れをしていると、インナー姿のカプリスが戻ってきた。
 防具は川で洗ってきたらしく、水気を帯びているのが見てとれた。カプリス自身も川で身体を洗い流してきたのか、髪が濡れており、肌も少ししっとりしている。
 なんか、うん。

「おい、ちゃんと頭拭けよ。風邪引くぞ」
「はーい」
「さて、俺も水浴びしてくるかな。アルフはどうする?」
「ぼ、僕は後で浴びるので」
「そうか。んじゃ、行ってくるわ」

 手入れ途中の防具を持って川の方へとむかった。

「うむ、やっぱり水辺のこの清涼感はいいねぇ」

 日本でも暑いときに川とか行くと気持ちがいいよな。
 まあ、こっちは日本ほど夏は暑くないんだがね。

「さて、と」

 途中だった防具を洗い流し、川の中へと入った。

『主、私たちもお供しよう』
『水浴びなどしなくても私たちは清潔なのですけどね』

 と、やってきたのはオリジンズ。
 彼らは魔力で体表が覆われているため、汚れることは殆どない。解体も手伝っていないので血塗れって訳でもないしな。
 ちなみに、この魔力コーティングのせいで魔術が効きにくくなっているため、オリジン戦では魔術師の攻撃は意味がなくなってしまっている。
 なので、彼らはバフかけと回復に徹することになる。まあ、魔功を上げれば効きにくいだけで十分なダメージは通るんだけどな。レグルスがいい例だな。あいつのステータスは魔術特化で魔功はカンスト間近だったからな。
 それでもレベル差のせいで大ダメージとまでは行かなかったらしいけども。

『ふぅ・・・水浴びもいいものですね~』

 水に浸かりながら言うフィズリール。その体は水に変質していた。
 前にも話したと思うが、この性質のせいでフィズリール――もといオリジンバードは嫌われていた。
 属性攻撃すると性質が変化するとかめんどくさい以外の何でもないからな。
 オリジンバードを相手にするなら、ウォルフかホエールを相手にした方が遥かに楽だな。
 レベル順としては、下からウォルフ、バード、ホエール、ヒューマン、ドラゴンの順になるのだが、戦いにくさとレベルは違うからな。
 因みに、一番戦いにくいのはオリジンヒューマンだ。理由は単純、人型故の小ささだ。的が小さい分戦いにくい。それに速いと来た。レベリングには向いてなかったな。

 と、水に浮かびながらオリジン達の事を思い出す。まぁ、思い出をひっぱりだすと他の事も思い出すわけで──

「また、皆でゲームしてぇなぁ」

 今となっては、この願いが叶うかどうかすら怪しいところだが・・・。
 今頃他のメンバーは新作MMOで暴れまわってるのだろうと思うと羨ましさを感じる。
 俺も暴れたいぜ。

「あぁ~・・・」

 これが、ホームシックと言うやつであろうか?

「・・・戻るか」

 濡れたインナーを脱ぎ、身体を拭いた後、別のインナーに着替えてその上から服を着てキャンプ地に戻った。

『うむ、水浴びは定期的にしたいところだな』
『ですね。 身体はともかく、精神を癒すにはもってこいです』

 フィズ・・・お前の精神の汚れは水浴び程度じゃ落ちないだろ。

『あ、主から呆れるような視線が・・・! 私何かしましたでしょうか? でしたら、お仕置きを! どうか・・・!』

 下手な視線を送らないことにしよう。ノア君、学びましたよ。
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