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1皿目 魔牛のステーキ
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ガーデンの成り立ちはいまから300年前の大陸全土を巻き込んだ戦争に由来している。
大陸の中央付近にある山から極めて希少価値の高い鉱石が発見されたことがきっかけだった。
山の立地が4つの国の国境地帯に跨っていたため、それぞれの国が鉱山開発の権利を主張した。
限りある資源を巡って利権を争うのはどの世界でもよくある話だが、この大陸では数回の協議の決裂の果てに戦争へと発展してしまったのだ。
この戦争を憂いた伝説の魔法使いレオナルド・ジュリアーニは、魔法で強力な結界を張りこの山を完全に封鎖した。
結界を破って山に侵入しようと試みた国もあったが、どんな魔法や武器をもってしても結界が破られることはなかった。
そのかわり彼は異空間に広大な大地を作った。そこにユグドラシルの樹を植えてモンスターや資源を無限に生み出す仕組みを構築し、その異空間世界を「ガーデン」と名付けた。
ガーデンの出現により様々な資源が豊富に手に入るようになったため、各国は戦争をやめてガーデンに冒険者を派遣するようになった。
いまでもガーデンのどこかに枝葉を茂らせた大きなユグドラシルの樹があり、その傍らにそびえ立つ塔でレオナルド・ジュリアーニが暮らしていると言われている。
ガーデンの入り口は諍いの元となった山の麓にある。
ガーデンの創設と同時に管理ギルドも設置され冒険者たちが集うようになると、さらにその周りに自然と街ができて発展していった。
いまやこの大陸でガーデンの存在を知らない者はいない。
******
その日、昼過ぎからハリスとリリアナは魔牛のツノ収集というガーデン管理ギルドからの依頼を受けてこのエリアに来ていた。
乳白色の魔牛のツノは磨くと独特のマーブル模様と風合いが出るため、調度品や装身具の材料として貴族たちの間で人気が高い。
その上、蹄や皮も売れるし牛脂や肉も鮮度が良ければ高額で売れるという、素材ハンターたちにとって魔牛は依頼の有無に関わらず遭遇したら積極的に狩りたい魔物だ。
今回はガーデン管理ギルド内の掲示板にあった【急募! 魔牛のツノ 大きければ尚よし】の貼り紙を見たふたりの意見が一致した形でこの依頼を受けた。
一致といっても少々ズレはあったのだが。
急を要する依頼は通常の買取価格よりも査定額が2割ほど上がる。
そういう意味でハリスが美味しい依頼だと言ったのに対し、リリアナは魔牛を丸ごと1頭食べる気まんまんで、
「そうよね! 美味しそうだわっ!」
と、いまにも涎を垂らしそうな顔で言ったのだった。
大陸の中央付近にある山から極めて希少価値の高い鉱石が発見されたことがきっかけだった。
山の立地が4つの国の国境地帯に跨っていたため、それぞれの国が鉱山開発の権利を主張した。
限りある資源を巡って利権を争うのはどの世界でもよくある話だが、この大陸では数回の協議の決裂の果てに戦争へと発展してしまったのだ。
この戦争を憂いた伝説の魔法使いレオナルド・ジュリアーニは、魔法で強力な結界を張りこの山を完全に封鎖した。
結界を破って山に侵入しようと試みた国もあったが、どんな魔法や武器をもってしても結界が破られることはなかった。
そのかわり彼は異空間に広大な大地を作った。そこにユグドラシルの樹を植えてモンスターや資源を無限に生み出す仕組みを構築し、その異空間世界を「ガーデン」と名付けた。
ガーデンの出現により様々な資源が豊富に手に入るようになったため、各国は戦争をやめてガーデンに冒険者を派遣するようになった。
いまでもガーデンのどこかに枝葉を茂らせた大きなユグドラシルの樹があり、その傍らにそびえ立つ塔でレオナルド・ジュリアーニが暮らしていると言われている。
ガーデンの入り口は諍いの元となった山の麓にある。
ガーデンの創設と同時に管理ギルドも設置され冒険者たちが集うようになると、さらにその周りに自然と街ができて発展していった。
いまやこの大陸でガーデンの存在を知らない者はいない。
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その日、昼過ぎからハリスとリリアナは魔牛のツノ収集というガーデン管理ギルドからの依頼を受けてこのエリアに来ていた。
乳白色の魔牛のツノは磨くと独特のマーブル模様と風合いが出るため、調度品や装身具の材料として貴族たちの間で人気が高い。
その上、蹄や皮も売れるし牛脂や肉も鮮度が良ければ高額で売れるという、素材ハンターたちにとって魔牛は依頼の有無に関わらず遭遇したら積極的に狩りたい魔物だ。
今回はガーデン管理ギルド内の掲示板にあった【急募! 魔牛のツノ 大きければ尚よし】の貼り紙を見たふたりの意見が一致した形でこの依頼を受けた。
一致といっても少々ズレはあったのだが。
急を要する依頼は通常の買取価格よりも査定額が2割ほど上がる。
そういう意味でハリスが美味しい依頼だと言ったのに対し、リリアナは魔牛を丸ごと1頭食べる気まんまんで、
「そうよね! 美味しそうだわっ!」
と、いまにも涎を垂らしそうな顔で言ったのだった。
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