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文化祭は週末の2日間開催のうち、1日目は在校生のみで2日目が一般公開になっている。
その2日目、書道部のパフォーマンスは2、3年生が午前中、1年生は午後だった。
会場は本校舎と第二校舎の間にある敷石の広場で、2日間とも外でパフォーマンスができるいいお天気にめぐまれた。
もしも雨が降ってしまうと、屋外のイベントやお店は屋根のある場所に移動したりプログラムを変更しなければならないし、フィナーレを飾る打ち上げ花火も中止になってしまうらしい。
だから毎年M高生はこの時期、週間天気予報とにらめっこしながら晴れますようにと祈り続けるんだとか。
6月初旬の強い日差しが照りつける昼下がり、黒い袴に白い上衣、赤いたすきを結んだ書道部の1年生10人が、地面に置かれた大きな紙の後ろにならぶ。
その一番はしっこに藤堂君もいた。
ああもう、妄想の数倍かっこいい!
着なれている感じがよく出ていて、まわりの観客からも「あの一番はしっこの人、かっこよくない?」という声が聞こえる。
京香ちゃんは列の真ん中に立ってこぶしを強くにぎり、くちびるをキュっと引き結んでいる。
その様子に、こっちにまで緊張が伝わってきてわたしも手をぎゅっとにぎった。
最前列で応援したかったのに、たこ焼きの列が予想以上に長くて後れを取ってしまった。
後ろから背伸びをして見るかたちになってしまったけど、午前中の2、3年生のパフォーマンスがとても迫力があって絶賛されていたから午後はさらに大勢の観客が集まったようで、それは喜ばしいことだと思う。
「次は書道部1年生による書道パフォーマンスです。入部して間もない1年生ですが、この日のために毎日遅くまで練習してきました。わたしたちの熱いメッセージを受け取ってください」
マイクでの紹介が終わると「おねがいします!」と大きな声がひびき、1年生が一斉におじぎをする。
藤堂君の後ろでは筆化けと紙舞もいっしょに観客におじぎをしている。
そして、いつもはふざけて騒がしい藤堂君の背中に乗った妖たちまで緊張している様子でおとなしくしている様子にはちょっと笑った。
流行りの人気アイドルのアップテンポな曲が流れはじめると、大きな紙の前に回った6人がリズムに合わせてダンスをおどり、その間に残りの4人が普通の筆が入った小さなカップと大きな筆が入ったバケツを持ってきて並べる。
藤堂君は大きなバケツを持ってくる担当で、それが終わると紙の後ろでかかとを上げた中座で待機した。
観客たちは、前でダンスをする京香ちゃんたちのほうを注目しているだろうけど、わたしの視線はついつい藤堂君を追ってしまう。
剣道をやっていたというだけあって藤堂君の動きはメリハリがあってとてもかっこいい。
文字書きがはじまると、京香ちゃんが大きな筆を持って紙の真ん中に大きな文字を書き、左右に3人ずつならんだメンバーたちが普通の筆でたてがきの文字をいれていく。
バケツの移動をしながらダンスを織り交ぜて観客を飽きさせないようにするメンバーが2人、そして藤堂君もようやく立ち上がった。
藤堂君は大きな筆をバケツから持ち上げると、紙の後ろのほうにくねくねした線を描きはじめた。
文字ではなく絵だと思う。
その線を描き終えると今度は普通の筆に持ちかえてまた絵を描いている。
その手に筆化けも手をそえて手伝い、紙舞はダンスをする2人のメンバーの間で扇子をひろげて優雅に踊りはじめた。
ノリノリになってきたのか、筆化けが自分の筆を取り出して空中に墨獣を放ち、紙舞は扇子から紙吹雪を出しはじめた。
紙吹雪はまるで桜の花びらが風に舞っているようで、その中を墨のウサギやサルが楽しそうにはねまわる。
わあっ!と歓声をあげたのは、わたしだけじゃなかった。
この幻想的な光景が観客たちにどこまで見えているのかはわからないけれど、ほかの観客たちからも大きな歓声と拍手があがる。
そして音楽の終わりと同時に大きな紙が立てられた。
中央には「来たれ! M高へ!」の大きな文字。
京香ちゃんらしい伸びやかで豪快な文字だ。
その左右にはきれいにそろった字でM高の校歌の言葉を引用した桜をテーマにした詩、紙の下の部分には藤堂君が描いた桜の木とその上で踊る動物たちがいる。
「ありがとうございました!」
書道部の1年生10人が大きな声でおじぎをすると、ふたたび割れんばかりの拍手と歓声がわき起こった。
これは今日M高祭に来てくれた中学生に向けたメッセージだ。
京香ちゃんが去年、このM高祭で書道パフォーマンスを見て受けた感動を、今年の中学生たちにも届けたかったのだろうと思う。
観客たちは「桜吹雪が見えた」「動物たちが実際に踊っているように見えた」「すごくよかったね!」とこのパフォーマンスを褒めたたえていて、わたしも涙ぐみながら大きな拍手をおくった。
その2日目、書道部のパフォーマンスは2、3年生が午前中、1年生は午後だった。
会場は本校舎と第二校舎の間にある敷石の広場で、2日間とも外でパフォーマンスができるいいお天気にめぐまれた。
もしも雨が降ってしまうと、屋外のイベントやお店は屋根のある場所に移動したりプログラムを変更しなければならないし、フィナーレを飾る打ち上げ花火も中止になってしまうらしい。
だから毎年M高生はこの時期、週間天気予報とにらめっこしながら晴れますようにと祈り続けるんだとか。
6月初旬の強い日差しが照りつける昼下がり、黒い袴に白い上衣、赤いたすきを結んだ書道部の1年生10人が、地面に置かれた大きな紙の後ろにならぶ。
その一番はしっこに藤堂君もいた。
ああもう、妄想の数倍かっこいい!
着なれている感じがよく出ていて、まわりの観客からも「あの一番はしっこの人、かっこよくない?」という声が聞こえる。
京香ちゃんは列の真ん中に立ってこぶしを強くにぎり、くちびるをキュっと引き結んでいる。
その様子に、こっちにまで緊張が伝わってきてわたしも手をぎゅっとにぎった。
最前列で応援したかったのに、たこ焼きの列が予想以上に長くて後れを取ってしまった。
後ろから背伸びをして見るかたちになってしまったけど、午前中の2、3年生のパフォーマンスがとても迫力があって絶賛されていたから午後はさらに大勢の観客が集まったようで、それは喜ばしいことだと思う。
「次は書道部1年生による書道パフォーマンスです。入部して間もない1年生ですが、この日のために毎日遅くまで練習してきました。わたしたちの熱いメッセージを受け取ってください」
マイクでの紹介が終わると「おねがいします!」と大きな声がひびき、1年生が一斉におじぎをする。
藤堂君の後ろでは筆化けと紙舞もいっしょに観客におじぎをしている。
そして、いつもはふざけて騒がしい藤堂君の背中に乗った妖たちまで緊張している様子でおとなしくしている様子にはちょっと笑った。
流行りの人気アイドルのアップテンポな曲が流れはじめると、大きな紙の前に回った6人がリズムに合わせてダンスをおどり、その間に残りの4人が普通の筆が入った小さなカップと大きな筆が入ったバケツを持ってきて並べる。
藤堂君は大きなバケツを持ってくる担当で、それが終わると紙の後ろでかかとを上げた中座で待機した。
観客たちは、前でダンスをする京香ちゃんたちのほうを注目しているだろうけど、わたしの視線はついつい藤堂君を追ってしまう。
剣道をやっていたというだけあって藤堂君の動きはメリハリがあってとてもかっこいい。
文字書きがはじまると、京香ちゃんが大きな筆を持って紙の真ん中に大きな文字を書き、左右に3人ずつならんだメンバーたちが普通の筆でたてがきの文字をいれていく。
バケツの移動をしながらダンスを織り交ぜて観客を飽きさせないようにするメンバーが2人、そして藤堂君もようやく立ち上がった。
藤堂君は大きな筆をバケツから持ち上げると、紙の後ろのほうにくねくねした線を描きはじめた。
文字ではなく絵だと思う。
その線を描き終えると今度は普通の筆に持ちかえてまた絵を描いている。
その手に筆化けも手をそえて手伝い、紙舞はダンスをする2人のメンバーの間で扇子をひろげて優雅に踊りはじめた。
ノリノリになってきたのか、筆化けが自分の筆を取り出して空中に墨獣を放ち、紙舞は扇子から紙吹雪を出しはじめた。
紙吹雪はまるで桜の花びらが風に舞っているようで、その中を墨のウサギやサルが楽しそうにはねまわる。
わあっ!と歓声をあげたのは、わたしだけじゃなかった。
この幻想的な光景が観客たちにどこまで見えているのかはわからないけれど、ほかの観客たちからも大きな歓声と拍手があがる。
そして音楽の終わりと同時に大きな紙が立てられた。
中央には「来たれ! M高へ!」の大きな文字。
京香ちゃんらしい伸びやかで豪快な文字だ。
その左右にはきれいにそろった字でM高の校歌の言葉を引用した桜をテーマにした詩、紙の下の部分には藤堂君が描いた桜の木とその上で踊る動物たちがいる。
「ありがとうございました!」
書道部の1年生10人が大きな声でおじぎをすると、ふたたび割れんばかりの拍手と歓声がわき起こった。
これは今日M高祭に来てくれた中学生に向けたメッセージだ。
京香ちゃんが去年、このM高祭で書道パフォーマンスを見て受けた感動を、今年の中学生たちにも届けたかったのだろうと思う。
観客たちは「桜吹雪が見えた」「動物たちが実際に踊っているように見えた」「すごくよかったね!」とこのパフォーマンスを褒めたたえていて、わたしも涙ぐみながら大きな拍手をおくった。
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