25 / 80
冒険者協会の会合に参加しました④
しおりを挟む
ジークさんは無精ひげの生えた強面の顔を不機嫌そうにしかめながら、案の定いきなり訳の分からない要求をしてきた。
「討伐隊のリーダーは俺がやる。嫌なら俺らは協力しない」
何を言っているんだか。
ジークさんのパーティーは、まだ地下49階をクリアしていないはずだ。
ちなみにロイパーティーは、地下48階のボスを合同パーティーで倒してどうにかクリアしたが、地下49階は自力でクリアしている。
「ジークさんのパーティーのビジター扱いになると、地下50階まで行けませんよね?」
首を傾げながら尋ねると、ジークさんは巨体を揺らしてククッと笑い、悪びれもせずに言った。
「だから、パーティー自体はそっちで、実際に陣頭指揮を執るのは俺ってことだよ、そんなこともわかんねえのか」
いや、だから意味がわからないんですけど?
「お断りします。協力していただかなくて結構です。どうぞお引き取りください」
かぶせ気味にそう告げると、思わぬ方向からブッと吹き出す音が聞こえてきた。
旦那様が笑いを堪えている。
そんなに面白いことを言った覚えはないのだけれど。
「大規模レイドには協調性が何よりも必要です。最初から喧嘩腰のパーティーと手を組むことは不可能です」
「はあっ!? テメー、ロイがいなきゃただの小娘のくせに偉そうな態度とりやがって。ロイのヤツはもう引退したんだろ? いつまでも大きな顔してられると思うなよ!」
ジークさんが激高し、真っ赤な顔で唾を飛ばしながら大声を出す。
「ロイさんは長期不在なだけです。引退なんてしていません」
するとジークさんがニタアッと意地悪く笑った。
「会長さんよお、ロイがまだ冒険者として登録しているか調べてくんねえか」
どういうことだろう。
ジークさんは何か知っているの……?
すると、旦那様が小さくため息をついた。
「実は彼のことならもう調べています。守秘義務があるため詳細は伏せますが、ロイパーティーのリーダーのロイは、半年前に本人の申し出により登録を抹消しています」
嘘……。
半年前っていったら、ロイさんが来なくなってすぐだ。
自主的に辞めたってこと?
わたしたちに何も言わずに?
正面に座るジークさんが「ほらな」という得意げにニタニタしているのが見える。
この人はどうしてそのことを知っていたの?
どうしよう泣きそうだ——。
「そんなことも知らなかったあんたじゃ話になんねえから、もう引っ込んでろ。ここからは俺が話を進めさせてもらうが……」
わたしの動揺に付け込んで強引に主導権を握ろうとするジークさんの暴挙を止めたのは旦那様だった。
「それはおかしいですね。リーダーが引退すればサブリーダーがリーダーに自動昇格することになっていますから、現在ロイパーティーのリーダーはヴィーさんです。パーティー名はリーダーの名前を付けるのが基本ですが、引退などの理由でリーダーが入れ替わる場合は、パーティー名を変更しても、そのままでもどちらでもいいという規則もあります」
その通りだ。
さすがは冒険者協会の会長なだけはある。
「今回はロイパーティーの要請でこの会合を開いているわけですから、たとえ前のリーダーが引退していたとしても発言権が無いということはあり得ません」
低い声で静かに不快感を示す旦那様の発言で、さすがのジークさんも黙ってしまった。
旦那様のナイスなフォローのおかげで元気を取り戻したわたしも声を上げる。
「地下50階まで到達しているのはロイパーティーだけです。わたしに大きな顔をされるのが嫌なら、協力はしていただかなくて結構です」
主導権を渡すものですか!
「討伐隊のリーダーは俺がやる。嫌なら俺らは協力しない」
何を言っているんだか。
ジークさんのパーティーは、まだ地下49階をクリアしていないはずだ。
ちなみにロイパーティーは、地下48階のボスを合同パーティーで倒してどうにかクリアしたが、地下49階は自力でクリアしている。
「ジークさんのパーティーのビジター扱いになると、地下50階まで行けませんよね?」
首を傾げながら尋ねると、ジークさんは巨体を揺らしてククッと笑い、悪びれもせずに言った。
「だから、パーティー自体はそっちで、実際に陣頭指揮を執るのは俺ってことだよ、そんなこともわかんねえのか」
いや、だから意味がわからないんですけど?
「お断りします。協力していただかなくて結構です。どうぞお引き取りください」
かぶせ気味にそう告げると、思わぬ方向からブッと吹き出す音が聞こえてきた。
旦那様が笑いを堪えている。
そんなに面白いことを言った覚えはないのだけれど。
「大規模レイドには協調性が何よりも必要です。最初から喧嘩腰のパーティーと手を組むことは不可能です」
「はあっ!? テメー、ロイがいなきゃただの小娘のくせに偉そうな態度とりやがって。ロイのヤツはもう引退したんだろ? いつまでも大きな顔してられると思うなよ!」
ジークさんが激高し、真っ赤な顔で唾を飛ばしながら大声を出す。
「ロイさんは長期不在なだけです。引退なんてしていません」
するとジークさんがニタアッと意地悪く笑った。
「会長さんよお、ロイがまだ冒険者として登録しているか調べてくんねえか」
どういうことだろう。
ジークさんは何か知っているの……?
すると、旦那様が小さくため息をついた。
「実は彼のことならもう調べています。守秘義務があるため詳細は伏せますが、ロイパーティーのリーダーのロイは、半年前に本人の申し出により登録を抹消しています」
嘘……。
半年前っていったら、ロイさんが来なくなってすぐだ。
自主的に辞めたってこと?
わたしたちに何も言わずに?
正面に座るジークさんが「ほらな」という得意げにニタニタしているのが見える。
この人はどうしてそのことを知っていたの?
どうしよう泣きそうだ——。
「そんなことも知らなかったあんたじゃ話になんねえから、もう引っ込んでろ。ここからは俺が話を進めさせてもらうが……」
わたしの動揺に付け込んで強引に主導権を握ろうとするジークさんの暴挙を止めたのは旦那様だった。
「それはおかしいですね。リーダーが引退すればサブリーダーがリーダーに自動昇格することになっていますから、現在ロイパーティーのリーダーはヴィーさんです。パーティー名はリーダーの名前を付けるのが基本ですが、引退などの理由でリーダーが入れ替わる場合は、パーティー名を変更しても、そのままでもどちらでもいいという規則もあります」
その通りだ。
さすがは冒険者協会の会長なだけはある。
「今回はロイパーティーの要請でこの会合を開いているわけですから、たとえ前のリーダーが引退していたとしても発言権が無いということはあり得ません」
低い声で静かに不快感を示す旦那様の発言で、さすがのジークさんも黙ってしまった。
旦那様のナイスなフォローのおかげで元気を取り戻したわたしも声を上げる。
「地下50階まで到達しているのはロイパーティーだけです。わたしに大きな顔をされるのが嫌なら、協力はしていただかなくて結構です」
主導権を渡すものですか!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,917
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる