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第2章 運命は巡る
第18話 新たな拠点
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「既に報告は受けているから安心をしてくれ。娘と共に村を守ってくれたようだね」
お茶を飲み干した虎徹は静かにコップを小机の上に置き、ありがとうと出雲に笑顔で感謝を述べた。
「感謝をされることなんて何もしてません……俺が弱いせいでレナさんが重傷を……」
「怪我を負ったことを悩む必要はないですよ。娘はそれを承知で護衛部隊を作って村を守るために戦っているんだ。君が怪我をさせたと思い詰める必要はないよ」
優しい口調で思い詰める必要はないと言われた出雲は、その場で泣いてしまった。 泣くつもりはなかったのだが、突然涙が頬を流れていたのである。
「男が泣く時は成長をする時だ。君はこれからこの村で暮らしていくのだろう?」
「はい……ここで暮らしていきたいと考えています……」
虎徹は立ち上がるとお茶を再度注ぎに行くようで、出雲に飲むかいと聞いた。
「あ、いただきます……」
「お茶は心を癒してくれるからな。沢山飲むといいさ」
おかわりをもらった出雲はすぐに飲み干してしまい、その姿を見た虎徹は良い飲みっぷりだと驚いていた。
「少しは元気が出たかな?」
「ありがとうございます! あ、それでこれからこの村で活動をしても大丈夫ですか?」
「急に元気になったな。この村で暮らして活動をしても構わないよ」
その言葉を聞いた出雲は手を上に上げて喜んだ。
しかし、虎徹はこれだけは守ってほしいと出雲にルールを伝えようとする。
「犯罪や迷惑をかけることはやめてくれ。これでも村長なものでね、村に住む魔人族が幸せに暮らせるようにしなければならないのだよ」
「わかりました! 気を付けていきます!」
「それでいい。あ、そうだ。暮らす家はあるのかい?」
出雲は場所がないことを思い出し、虎徹にないですと小さな声で伝える。
「家がないと始まらないよな……」
顎に手を乗せて虎徹は唸っていると、そうだと声を突然上げた。
「あそこなら空いているな。随分使ってはいないが、1人で住むのなら問題はないだろう」
「本当ですか!? あと、配達人としての仕事もしていきたいんですよ」
「配達人? それはどういった仕事なんだ?」
配達人のことを聞かれた出雲は、東山岳町でしていた仕事のことを伝えることにした。手紙から武器まで運ぶ仕事や戦闘にも参加をすることなど、言える範囲のことを伝える。
「そういう仕事なのだな……この村にはまだないな。専売で君が出来るし、村人とも関われるから覚えてもらうにはちょうどいいな」
「はい! 配達人の仕事をして先生にお金を払わないといけませんから」
「お金? もしかして治療費のことか?」
そう言われた出雲は500万セタのことを言うと、虎徹はまだそんなことをしているのかと1人で大笑いをしていた。
「ある意味君に期待をしているんだよ。もし何かあった場合に、返済する金があると村に留められるからね」
「そこまで考えていたんですかね……」
モヤモヤを抱えた出雲は、小首を傾げて500万セタを返せるのだろうかと不安に駆られていた。
「いつまでに払えなどは言われなかったんだろう?」
「はい。それはなかったです」
「それならゆっくりと払っていけばいい。あの人はそれぐらい待ってくれるさ。さて、君が暮らす家に案内をしようか」
ソファーから立ち上がった虎徹が出雲に行こうかと話しかけると、わかりましたと素早く立ち上がった。
家から出た出雲は、虎徹に先導をされる形で村の南側に歩いて行く。途中、村人とすれ違うと虎徹は元気かと明るく話しかけていた。
「あんなことがあったけど、すぐにみんな元気になるからな!」
「村長さん、いつもありがとね。おかけで私達は暮らしていけるわ」
「そんなことないよ。みんながいてくれるから村長なんてやってるのさ」
他愛もない話をしながら虎徹は先を歩く。
出雲は慕われているんだなとすぐに感じ、虎徹の人を引き付ける魅力の高さは凄いと考えていた。
「柊さんは凄いですね。沢山の人に慕われて村長としてこの村を盛り上げて……俺も配達人として慕われることが出来るのでしょうか……」
「そうだねぇ……君の全てがわかっているわけではないけれど、君は誰かのために動ける人だと娘から聞いている。だからすぐにではなくとも、いずれ君は村の人達にきっと慕ってもらえるよ」
虎徹に言われた出雲は必ず認めてもらうと決意を胸に秘めて歩き続け、30分程度の時間が経過をすると次第に古びた平屋の建物が見えてきた。
その家は木製で建てられており、外壁にヒビが多数入っていると見える。また、建物は横に長い作りとなっているようで配達の仕事もこの家でできそうだと一目でわかった。
「この家は昔に私の両親が住んでいた家ですが、今は既に使っていない家なので配達の仕事と共に暮らすこともできると思うよ」
「はい! ありがとうございます!」
返事を聞いた虎徹はその右手を出雲の肩に乗せると、配達人ではなく配達士と名乗るといいよと言う。
「配達士ですか? 配達人ではなくてですか? そんなこと初めて言われました」
「配達士の方がプロって響きがあるだろ? これからは配達士、黒羽出雲としてこの村で暮らしてくれ」
虎徹はそれだけ話すと踵を返して家の戻っていく。
出雲はありがとうございますと声を上げて言うと、頭を下げた。
「さて、これからどうするか」
出雲は周囲を見渡してこれからどう動くか考えることにした。
「ここは村から少し離れた湖畔の横に建てられた平屋なんだな。草花もあって静かに暮らすにはいい場所だ」
数歩湖の方に進むととても綺麗で澄んでいると一目でわかる。
この場所に住まわせてもらうなんていいのかと一度考えるも、虎徹の好意に甘えようと納得をした。
「さて、家の中に入るか。虎徹さんとレナの使っていない家だけど、外装がボロボロだから中はもっとなんだろうなー」
これから片付けを始めないとと思った出雲は、どこから始めるかと考え始める。
「とりあえずは寝る場所とかリビングだよなー。まずはそこから綺麗にしないと」
湖から離れて家の方向に歩き、その扉を開けた。すると目の前に映ったのはとても綺麗に整えられた玄関であった。下駄箱は趣がある古風な作りとなっており、中には何も入っていない。
入り口を進むと床も綺麗に掃除がされており、先にあるリビングもソファーや木製の椅子や机においても全てが綺麗に清掃がされていた。
「家の中は凄い綺麗に整えられている……虎徹さんが掃除をしていたのかな?」
リビングに置いてあるソファーに座ると、出雲は虎徹の家にあった食料を保管する箱を見つけた。
「この中に確か食料とか飲み物が入っていたような」
近寄って保管箱のドアを開けると、そこには数日分の食料と飲み物が入れてあった。その1つである干し肉を手に取ると、出雲は虎徹さんが用意をしてくれていたのかなと呟く。
「初めから俺をここで暮らさせるつもりだったのかな? 先を読み過ぎでしょ……」
微笑した出雲は、配達士として働く準備をするかと考えた。
「とりあえず何かないかな」
家の中を探索すると、寝る部屋にリビング客間が1つと1人で暮らすには広い家だなと改めて感じていた。
「このタンスには何が入っているんだ?」
恐る恐るタンスを開けると、その中には数枚の紙とペンが1つ入れられていた。
出雲はその紙とペンを手に取ると、チラシを書き始める。
「とりあえず宣伝をしないといけないし、料金設定などを決めないと」
東山岳町でしていた時と同じ料金は高いだろうと思った出雲は、価格を低く設定していく。
「東山岳町の時より半額にしたから、これなら高いとは思われないだろう!」
胸を張って料金設定をし続けていき、次にはどのような仕事を請け負うか決めようと考えた。従来通り手紙から武器まで運ぶと書き、それぞれの料金を書いていく。
お茶を飲み干した虎徹は静かにコップを小机の上に置き、ありがとうと出雲に笑顔で感謝を述べた。
「感謝をされることなんて何もしてません……俺が弱いせいでレナさんが重傷を……」
「怪我を負ったことを悩む必要はないですよ。娘はそれを承知で護衛部隊を作って村を守るために戦っているんだ。君が怪我をさせたと思い詰める必要はないよ」
優しい口調で思い詰める必要はないと言われた出雲は、その場で泣いてしまった。 泣くつもりはなかったのだが、突然涙が頬を流れていたのである。
「男が泣く時は成長をする時だ。君はこれからこの村で暮らしていくのだろう?」
「はい……ここで暮らしていきたいと考えています……」
虎徹は立ち上がるとお茶を再度注ぎに行くようで、出雲に飲むかいと聞いた。
「あ、いただきます……」
「お茶は心を癒してくれるからな。沢山飲むといいさ」
おかわりをもらった出雲はすぐに飲み干してしまい、その姿を見た虎徹は良い飲みっぷりだと驚いていた。
「少しは元気が出たかな?」
「ありがとうございます! あ、それでこれからこの村で活動をしても大丈夫ですか?」
「急に元気になったな。この村で暮らして活動をしても構わないよ」
その言葉を聞いた出雲は手を上に上げて喜んだ。
しかし、虎徹はこれだけは守ってほしいと出雲にルールを伝えようとする。
「犯罪や迷惑をかけることはやめてくれ。これでも村長なものでね、村に住む魔人族が幸せに暮らせるようにしなければならないのだよ」
「わかりました! 気を付けていきます!」
「それでいい。あ、そうだ。暮らす家はあるのかい?」
出雲は場所がないことを思い出し、虎徹にないですと小さな声で伝える。
「家がないと始まらないよな……」
顎に手を乗せて虎徹は唸っていると、そうだと声を突然上げた。
「あそこなら空いているな。随分使ってはいないが、1人で住むのなら問題はないだろう」
「本当ですか!? あと、配達人としての仕事もしていきたいんですよ」
「配達人? それはどういった仕事なんだ?」
配達人のことを聞かれた出雲は、東山岳町でしていた仕事のことを伝えることにした。手紙から武器まで運ぶ仕事や戦闘にも参加をすることなど、言える範囲のことを伝える。
「そういう仕事なのだな……この村にはまだないな。専売で君が出来るし、村人とも関われるから覚えてもらうにはちょうどいいな」
「はい! 配達人の仕事をして先生にお金を払わないといけませんから」
「お金? もしかして治療費のことか?」
そう言われた出雲は500万セタのことを言うと、虎徹はまだそんなことをしているのかと1人で大笑いをしていた。
「ある意味君に期待をしているんだよ。もし何かあった場合に、返済する金があると村に留められるからね」
「そこまで考えていたんですかね……」
モヤモヤを抱えた出雲は、小首を傾げて500万セタを返せるのだろうかと不安に駆られていた。
「いつまでに払えなどは言われなかったんだろう?」
「はい。それはなかったです」
「それならゆっくりと払っていけばいい。あの人はそれぐらい待ってくれるさ。さて、君が暮らす家に案内をしようか」
ソファーから立ち上がった虎徹が出雲に行こうかと話しかけると、わかりましたと素早く立ち上がった。
家から出た出雲は、虎徹に先導をされる形で村の南側に歩いて行く。途中、村人とすれ違うと虎徹は元気かと明るく話しかけていた。
「あんなことがあったけど、すぐにみんな元気になるからな!」
「村長さん、いつもありがとね。おかけで私達は暮らしていけるわ」
「そんなことないよ。みんながいてくれるから村長なんてやってるのさ」
他愛もない話をしながら虎徹は先を歩く。
出雲は慕われているんだなとすぐに感じ、虎徹の人を引き付ける魅力の高さは凄いと考えていた。
「柊さんは凄いですね。沢山の人に慕われて村長としてこの村を盛り上げて……俺も配達人として慕われることが出来るのでしょうか……」
「そうだねぇ……君の全てがわかっているわけではないけれど、君は誰かのために動ける人だと娘から聞いている。だからすぐにではなくとも、いずれ君は村の人達にきっと慕ってもらえるよ」
虎徹に言われた出雲は必ず認めてもらうと決意を胸に秘めて歩き続け、30分程度の時間が経過をすると次第に古びた平屋の建物が見えてきた。
その家は木製で建てられており、外壁にヒビが多数入っていると見える。また、建物は横に長い作りとなっているようで配達の仕事もこの家でできそうだと一目でわかった。
「この家は昔に私の両親が住んでいた家ですが、今は既に使っていない家なので配達の仕事と共に暮らすこともできると思うよ」
「はい! ありがとうございます!」
返事を聞いた虎徹はその右手を出雲の肩に乗せると、配達人ではなく配達士と名乗るといいよと言う。
「配達士ですか? 配達人ではなくてですか? そんなこと初めて言われました」
「配達士の方がプロって響きがあるだろ? これからは配達士、黒羽出雲としてこの村で暮らしてくれ」
虎徹はそれだけ話すと踵を返して家の戻っていく。
出雲はありがとうございますと声を上げて言うと、頭を下げた。
「さて、これからどうするか」
出雲は周囲を見渡してこれからどう動くか考えることにした。
「ここは村から少し離れた湖畔の横に建てられた平屋なんだな。草花もあって静かに暮らすにはいい場所だ」
数歩湖の方に進むととても綺麗で澄んでいると一目でわかる。
この場所に住まわせてもらうなんていいのかと一度考えるも、虎徹の好意に甘えようと納得をした。
「さて、家の中に入るか。虎徹さんとレナの使っていない家だけど、外装がボロボロだから中はもっとなんだろうなー」
これから片付けを始めないとと思った出雲は、どこから始めるかと考え始める。
「とりあえずは寝る場所とかリビングだよなー。まずはそこから綺麗にしないと」
湖から離れて家の方向に歩き、その扉を開けた。すると目の前に映ったのはとても綺麗に整えられた玄関であった。下駄箱は趣がある古風な作りとなっており、中には何も入っていない。
入り口を進むと床も綺麗に掃除がされており、先にあるリビングもソファーや木製の椅子や机においても全てが綺麗に清掃がされていた。
「家の中は凄い綺麗に整えられている……虎徹さんが掃除をしていたのかな?」
リビングに置いてあるソファーに座ると、出雲は虎徹の家にあった食料を保管する箱を見つけた。
「この中に確か食料とか飲み物が入っていたような」
近寄って保管箱のドアを開けると、そこには数日分の食料と飲み物が入れてあった。その1つである干し肉を手に取ると、出雲は虎徹さんが用意をしてくれていたのかなと呟く。
「初めから俺をここで暮らさせるつもりだったのかな? 先を読み過ぎでしょ……」
微笑した出雲は、配達士として働く準備をするかと考えた。
「とりあえず何かないかな」
家の中を探索すると、寝る部屋にリビング客間が1つと1人で暮らすには広い家だなと改めて感じていた。
「このタンスには何が入っているんだ?」
恐る恐るタンスを開けると、その中には数枚の紙とペンが1つ入れられていた。
出雲はその紙とペンを手に取ると、チラシを書き始める。
「とりあえず宣伝をしないといけないし、料金設定などを決めないと」
東山岳町でしていた時と同じ料金は高いだろうと思った出雲は、価格を低く設定していく。
「東山岳町の時より半額にしたから、これなら高いとは思われないだろう!」
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