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暁×雪兎編
05 如何して……。(響也視点)
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俺がユキと別れたのは駅前だった。アカと待ち合わせしていると、嬉しそうに話していたのに、書店から出てきたら、アカが慌てたように何かを探していた。
「アカ?」
俺が声を掛けると、アカは驚いたように目を見開いたんだ。
「ユキは?」
駅前で待ち合わせていたんなら、一緒に居る筈だろう。
「ユキと来たの?」
「おう。俺は買いたいもんがあったし、一緒に出てきたけど」
しかも別れたのは一時間以上前だぞ。お前、遅れすぎだろう。
「……っ」
「どうしたんだよ」
「一緒に来てくれないか」
アカの様子が何かおかしい。何時もと様子も違うし、何より、身にまとう気配がぜんぜん違う。慌てたように走り出したアカを追いかけ、向かったのは地元の人間しか知らないような袋小路のような行き止まり。そこに蠢く人影が、嫌な予感を感じさせた。
「……あれ」
俺は体が竦んだ。あそこに居るのは確かにユキだ。でも、ユキはシャツが破かれていて、数人の素行が悪そうな男達に取り押さえられていて、如何して、アカがこの場所を知っているのか疑問だった。
アカの気配が完全に変わって、俺は身震いしたんだ。確かに怖い気配を持っていたし、怒らせたらただじゃ済まないだろうなと感じていたのも事実だ。
ゆっくり歩を進めるアカの気配に気が付いたのか、男達が振り返って。でも、アカを確認したら、動きが止まった。ユキは震え上がっているのか、涙を流していて、顔色なんて最悪だ。
「……俺が前に言ったこと、忘れたの」
ゆっくりと紡がれる言葉に、俺は動揺した。アカはこの男達を知ってるんだ。それも、アカを見ただけで竦み上がっているって判る。
「ユキは返してもらうよ」
動きはゆっくりなのに、どこか、薄ら寒いものを感じて、俺も身震いした。アカの腕の中に納まったユキだけど、完全に固まってる。
「キョウ、近くに公園があるから、そこで待っててくれない」
頼んでいるように聞こえるけど、有無を言わせない気配だ。俺は息を呑んで、アカに近付いて、ユキと一緒にその場を離れた。でも、あれは俺が知っているアカじゃねぇ。強いて言うなら、全くの別人。穏やかな気配で隠していた本性をむき出しにしたような感覚。
「大丈夫か?」
公園のベンチに腰掛けて、ユキに声を掛けた。ユキは震えていたけど、頷いた。
「何かされたのか」
ユキは強く首を横へ振った。
「……秋保の友達かって訊かれて、そうだって言ったんだ」
ユキの声は震えてた。そりゃ、あんな連中に囲まれて、服を破られれば、恐怖を抱くのは判る。
ユキは切れ切れに、アカの友人であると言うと、有無を言わせずあの場所に連れて行かれ、最初は痛めつけようとしていたらしかった。でも、ユキは下手な女より綺麗だから、暴行されそうになったって、彼奴等、何考えてんだ!
俺は近付いてくる気配に顔を上げた。そこに居たのはアカで、表情はなかった。
「何がどうなってんだよ」
俺はアカを見上げて、思わず訊いてたんだよ。これまで生きてきて、あんな連中の厄介になるようなことはなかったんだ!
「……俺のせいだよ」
アカの言葉に、俺とユキは固まった。
「アカ?」
俺が声を掛けると、アカは驚いたように目を見開いたんだ。
「ユキは?」
駅前で待ち合わせていたんなら、一緒に居る筈だろう。
「ユキと来たの?」
「おう。俺は買いたいもんがあったし、一緒に出てきたけど」
しかも別れたのは一時間以上前だぞ。お前、遅れすぎだろう。
「……っ」
「どうしたんだよ」
「一緒に来てくれないか」
アカの様子が何かおかしい。何時もと様子も違うし、何より、身にまとう気配がぜんぜん違う。慌てたように走り出したアカを追いかけ、向かったのは地元の人間しか知らないような袋小路のような行き止まり。そこに蠢く人影が、嫌な予感を感じさせた。
「……あれ」
俺は体が竦んだ。あそこに居るのは確かにユキだ。でも、ユキはシャツが破かれていて、数人の素行が悪そうな男達に取り押さえられていて、如何して、アカがこの場所を知っているのか疑問だった。
アカの気配が完全に変わって、俺は身震いしたんだ。確かに怖い気配を持っていたし、怒らせたらただじゃ済まないだろうなと感じていたのも事実だ。
ゆっくり歩を進めるアカの気配に気が付いたのか、男達が振り返って。でも、アカを確認したら、動きが止まった。ユキは震え上がっているのか、涙を流していて、顔色なんて最悪だ。
「……俺が前に言ったこと、忘れたの」
ゆっくりと紡がれる言葉に、俺は動揺した。アカはこの男達を知ってるんだ。それも、アカを見ただけで竦み上がっているって判る。
「ユキは返してもらうよ」
動きはゆっくりなのに、どこか、薄ら寒いものを感じて、俺も身震いした。アカの腕の中に納まったユキだけど、完全に固まってる。
「キョウ、近くに公園があるから、そこで待っててくれない」
頼んでいるように聞こえるけど、有無を言わせない気配だ。俺は息を呑んで、アカに近付いて、ユキと一緒にその場を離れた。でも、あれは俺が知っているアカじゃねぇ。強いて言うなら、全くの別人。穏やかな気配で隠していた本性をむき出しにしたような感覚。
「大丈夫か?」
公園のベンチに腰掛けて、ユキに声を掛けた。ユキは震えていたけど、頷いた。
「何かされたのか」
ユキは強く首を横へ振った。
「……秋保の友達かって訊かれて、そうだって言ったんだ」
ユキの声は震えてた。そりゃ、あんな連中に囲まれて、服を破られれば、恐怖を抱くのは判る。
ユキは切れ切れに、アカの友人であると言うと、有無を言わせずあの場所に連れて行かれ、最初は痛めつけようとしていたらしかった。でも、ユキは下手な女より綺麗だから、暴行されそうになったって、彼奴等、何考えてんだ!
俺は近付いてくる気配に顔を上げた。そこに居たのはアカで、表情はなかった。
「何がどうなってんだよ」
俺はアカを見上げて、思わず訊いてたんだよ。これまで生きてきて、あんな連中の厄介になるようなことはなかったんだ!
「……俺のせいだよ」
アカの言葉に、俺とユキは固まった。
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