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一章

第3話:封印解除と運命の支援者(2/3)

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 蓮司は興味本位からルナに質問を投げかけた。「共同作業の相手は誰だったんだ?」と。しかし、ルナの答えは曖昧であった。「よくわからないわ。ただ、人間ではなかったことだけは確かね」蓮司は半ば冗談交じりに続けた。「大層な計画を語りながら、実際は何も実現しなかったのかな?」ルナは首を傾げながら反応した。「そうね、彼らの真の目的はわからないわ。私が関わったのは単なる好奇心からよ」

 それに対し、蓮司は危険性を指摘した。「それって、世の中に力をばらまくことになるんじゃないか? もし、その力が乗っ取りを前提にしていたら……」ルナは深く考え込む姿勢を見せ「それで?」と続きを促す。蓮司は自らの仮説を伝える。「この世界を支配しようとする者が召喚されるんだ。悪魔崇拝とかじゃなければ、神に対抗する力を手に入れようとしたのかもしれない」彼にとって神は否定的な存在である。試練を与えるなどと言われることがあっても、それは彼にとって重要ではない。彼の日常を無慈悲に奪った罪は重大である。

 ルナの疑問には尽きることがなかった。「そうね、使う人が増えれば、それに越したことはないはずよね? なぜ私は殺されずに封印されたのかしら……」秘密を守るために殺すのではなく、封印するという行動の意味は何だろうか。もし、封印を解く者が現れたときに本当の罠が発動するとしたら……しかし、そのような複雑な策略が必要だったのか。

 これらはすべて憶測に過ぎない。しかし、ルナと共に歩むことで、いずれ真実が明らかになるだろう。

 蓮司はルナの純粋さ、あるいは無防備さに心を動かされる。初めて出会った妖精がこうも気楽であることは、意外な幸運だったかもしれない。ルナは蓮司に同行することに決めたが、彼女の半透明の姿が他人の目に触れれば大騒ぎになるだろう。しかしその心配は無用で、彼女が見えるのは蓮司に限られているようだった。

「あなたの目、赤くて黒いわね」とルナが指摘した。「え? どういうこと?」と蓮司が問い返した。言われてみれば何か赤いフィルター越しに世界を見ているような感じがしていた。さまざまな変化が起きすぎて、気が動転して気がつくのが遅れていた。通常白いはずの部分が黒く、黒いはずの部分が赤く変わっているらしい。この異常な変化に、蓮司は自分の外見が異様になってしまったのではないかと心配する。そして突然の鈍痛の症状に襲われ、目を押さえながらしゃがみ込んでしまう。

「大丈夫?」ルナが心配そうに尋ねる。しばらく鈍痛で頭を抱えた後、蓮司に変化が訪れた。先の痛みと不快感が一掃され、頭がスッキリとした感覚に包まれた。「あれ? なんだか頭がすっきりしたような……」蓮司が驚きを隠せずに言う。

 ルナは彼の目をじっと見て確認した。「うん、目がまた普通に戻ったわ。赤かった部分も黒くなって、本来の色になったし」蓮司は安堵の息をついた。「直ったのか。さっきのは一体何だったんだろう……」

 この出来事は、彼らの間に新たな謎を投じた。突如として現れた異常症状とその即時の回復について、それが何を意味するのか、またどのような力が作用したのかは明らかではない。しかし、この不思議な現象は、二人がこれから直面する未知の冒険における重要な手がかりとなるかもしれない。

 蓮司の身に起こった変化は、彼がこの異世界での役割や使命に一歩近づいたことを示唆している。一方でルナの存在と彼女の過去、そして彼女が関与した謎の計画についての情報は、彼らが解き明かさなければならない謎を深めている。

 ルナが封印された理由、彼女が言及した「共同作業相手」の正体、そして蓮司の目に起こった異常現象の原因。これら全てが、二人の運命を左右する鍵となり得る。


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